農産物の食品表示~知らずに違反しないように注意したいこととは?~vol570

脱サラ農業・起業
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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

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食品表示は、日本はかなり厳密な基準があります。

特に加工品については、細かい基準があるように思います。

農産物はどうでしょうか?

加工品ほどではありませんが、当然、農産物にも表示のルールがあります。

平成29年に食品表示法が改正され、令和4年3月までの猶予期間が終了していますので、注意が必要です。

今回は、私の前職で行政職員だった時の経験も踏まえて、農産物の食品表示として、注意したいポイントについて書いてみました。

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食品表示法と食品表示基準

食品表示法」(平成二十五年法律第七十号)は平成25年に、食品衛生法、JAS法(旧:農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)、健康増進法で、それぞれ規定されていた食品表示について、統合した法律として公布されました。

食品表示法の具体的な基準は、食品表示法に基づいて、定められる「食品表示基準」(平成二十七年内閣府令第十号)で決められています。

基本的には「食品表示基準」の方を抑えておけば問題ないと思います。

農産物に必須の「産地表示」

食品衛生法、食品表示基準は平成29年に改正されました。

特に加工食品で比較的大きな改正であったことから、令和4年3月までの猶予期間が設けられました。

現在(令和5年1月)では、改正は完全施行となっていますので、注意が必要です。

農産物で重要なのは、「産地表示」です。

一 農産物
国産品にあっては都道府県名を、輸入品にあっては原産国名を表示する。ただし、国産品にあっては市町村名その他一般に知られて
いる地名を、輸入品にあっては一般に知られている地名をもってこれに代えることができる。

(食品表示基準第18条1項の表)

国産の場合は、原則として都道府県名を表示。

輸入品の場合は「原産国名」の表示が必要です。

国産の場合は、市町村名や一般的に認知されている地域名での表示も可能ですので、

私の場合(長野県安曇野市穂高地区)は、「長野県産」のほか「安曇野市穂高産」「安曇野産」などの表示でもOKです。

直売所などで販売する場合は、運営者側で価格や生産者名のシールに印字してくれてあったりと、

既に対応済の場合が多いですが、念のため生産者でも確認した方がよいと思います。

(直売所では、運営者側で印字してくれる場合も多い)

なお、摘み取り園など、生産した場所で、摘み取ったブルーベリーを量り売りする場合は対象外ですので産地表示は不要です。

第十八条 食品関連事業者が生鮮食品(業務用生鮮食品を除く。以下この節において「一般用生鮮食品」という。)を販売する際(設備を設けて飲食させる場合又は容器包装に入れないで、かつ、生産した場所で販売する場合若しくは不特定若しくは多数の者に対して譲渡(販売を除く。)する場合を除く。)には、次の表の上欄に掲げる表示事項が同表の下欄に定める表示の方法に従い表示されなければなら
ない。

(食品表示基準第18条第1項)

「有機栽培」などの特殊な栽培の表示

(ブルーベリーの森あづみののブルーベリーは有機JAS認証を取得しています)

例えば、有機栽培などの場合は、有機JASの認証を取得することで「有機農産物(〇〇)」「有機〇〇」「オーガニック〇〇」等の表示をすることができます。

有機農産物の定義や規格は、「有機農産物の日本農林規格(平成12年 1月20日農林水産省告示第 59号)」で定められており、

有機JASの認証は、国が定める認証機関に、有機農産物の日本農林規格(有機JAS)に適合していることを証明してもらうという意味です。

有機JAS認証を取得しない場合は、法令上は有機JASの規格に適合しているとみなせないことから、有機等の表示をすることはできません。

尚、ブルーベリーの森あづみのでは、有機JASの有機認証を取得しています。

第5条 有機農産物の名称の表示は、次の例のいずれかによることとする。
(1)「有機農産物」
(2)「有機栽培農産物」
(3)「有機農産物○○」又は「○○(有機農産物 」)
(4)「有機栽培農産物○○」又は「○○(有機栽培農産物 」)
(5)「有機栽培○○」又は「○○(有機栽培 」)
(6)「有機○○」又は「○○(有機 」)
(7)「オーガニック○○」又は「○○(オーガニック 」)
(注 「○○」には、当該農産物の一般的な名称を記載すること。

(有機農産物の日本農林規格)

有機農産物の日本農林規格を満たさない農産物(認証を受けていない農産物)の有機等の表示は、食品表示基準の第23条にも違反することになります。

(表示禁止事項)
第二十三条 食品関連事業者は、第十八条、第十九条及び第二十一条に掲げる表示事項に関して、次に掲げる事項を一般用生鮮食品の容器包装又は製品に近接した掲示その他の見やすい場所に表示してはならない。ただし、生産した場所で販売される食品又は不特定若しくは多数の者に対して譲渡(販売を除く。)される食品にあっては、第五号に掲げる事項については、この限りでない。
実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語

(食品表示基準第23条第1項1号)

また、類似したもので「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(最終改正 平成19年 3月23日18消安第14413号 総合食料局長、生産局長、消費・安全局長通知)による「特別栽培農産物」等があります。

ガイドラインなので、法令上の扱いは「行政指導」で、行政目的のための「任意のお願い」という比較的ゆるい縛りになります。

また、有機農産物の認証とは異なり、ガイドラインによる表示は、生産者側の自己申告による表示です。

ガイドラインだから任意でしょ?という見解もありそうですし、食品表示法の違反なのかどうかは、最終的には司法判断になります。

しかしながら、同ガイドラインは、かなり体系的に作り込まれており、農産物の表示に関する行政の一般的な見解を示すものと考えられます。

そのため、有機農産物以外の特別な栽培で「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に適合しない表示は、

最終的に前述の食品表示法第23条に抵触する可能性が高いと考えられます。

以上のことから、

「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」で禁止している「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」といった表記を、販売している農産物のパッケージなど表示することは、基本的には避けた方が無難だと思います。

5 表示禁止事項
(1)~(6)略

(7)「無農薬栽培農産物」、「無化学肥料栽培農産物」、「減農薬栽培農産物」、「減化学
肥料栽培農産物」等の表示

(特別栽培農産物の表示ガイドライン)

こういった内容の栽培を表示する場合は、ガイドラインに準拠した表示方法で農薬や化学肥料の「栽培期間中不使用」や栽培責任者・確認責任者等の表示をする必要があります。

(特別栽培農産物に関わる表示ガイドラインより引用)

但し、食品表示は、あくまで農産物を不特定多数の者に販売する場合の、農産物の梱包材などの表示や送り状などの表示が対象となります。

対象が農産物でない場合、例えばWEBサイトなどで農園の栽培方法などを紹介しているケースや、観光農園などで体験サービスとして提供している場合もこれらのルールには拘束されません。

また、ECサイトの表示も現行では対象外です(2023年1月現在)。

ECサイトについては、インターネットの普及により影響力が大きいため、国でも検討を行っているようですので、いずれは、現物の表示に準拠した形でルール化されるものと考えられます。

農産物冷凍した場合の表示ルール

農産物を冷凍やカットした場合はどうでしょうか。

そういった場合でも、単に冷凍やカットしただけでは「加工食品」扱いにはなりません。

農産物として取り扱われます。

これは、食品表示基準には明確に示されているので、

あまりないとは思いますが・・・万が一、保健所等の担当者が不慣れで、冷凍した農産物などを加工食品という見解を示した場合は、法令の解釈が間違っているので、抗議した方がいいと思います。

別表第二(第二条関係)
1 農産物(きのこ類、山菜類及びたけのこを含む。)
(1)~(5)略
(6) 果実(収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び単に凍結させたものを含む。
かんきつ類、仁果類、核果類、しょう果類、殻果類、熱帯性及び亜熱帯性果実、その他の果実

(食品表示基準 別表第二)

ただし、表示については、加工食品に準じた表示をすることを指導されることがあります。

私の場合も、冷凍ブルーベリーについて保健所に問い合わせたところ、そのように指導がありました。

もちろん、義務ではないため、行政指導(任意のお願い)ですが、

冷凍ブルーベリーを梱包して販売する場合の保管方法や賞味期限の表示は、

クレームを避ける意味でも販売として、そもそも表示をしたい内容だと、私は考えています。

わかりやすさ、実際のところ、表示ルールの矛盾もあるが・・・

無農薬など比較的定着してるわかりやすい用語が使用できなくなったりと、食品表示のルールが消費者にとって必ずしも利益になるのか・・・と疑問に思う部分もあります。

一方で、戦後に日本農林規格が制定されて背景もは、まがいものの粗悪加工品が多く流通した混乱がありました。

有機農産物の日本農林規格が2000年に制定された背景にも、既に認証制度のあった欧米に合わせること以外にも、

当時、任意表示だった有機農産物の基準が不明確で、やはり、怪しい有機農産物等が流通してしまったという混乱もあったようです。

認証制度や表示については、完璧な共通ルールをつくることは難しいですが、

一方で、現状での最低限の品質は保証され、消費者を守っている側面もあるのも事実です。

食品表示そのものも、極論を言えば、生産者と消費者の信頼関係があって、良い物を直接取引していれば、本質的な問題ではないのかもしれません。

しかしながら、商品を代わりに販売してもらう場合や、より広く広めたい場合は、

法令などのルールも少し頭の片隅に置きつつ、魅力が伝わりやすい方法で農業を運営していくことも大切だと考えています。

(参考資料)

  • 食品表示法(平成25年法律第71号)
  • 食品表示基準(平成27年内閣府政令第10号)
  • 食品表示基準Q&A(平成27年3月(最終改正 令和3年3月17日消食表第115号)消費者庁 食品表示企画課))
  • 有機農産物の日本農林規格(最終改正 平成18年10月27日農林水産省告示第1463号)
  • 有機農産物及び有機加工食品のJAS規格のQ&A(平成28年2月農林水産省 食料産業局 食品製造課)
  • 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(最終改正 平成19年 3月23日18消安第14413号総合食料局長、生産局長、消費・安全局長通知)
  • 特別栽培農産物に係る表示ガイドラインQ&A(平成20年6月農林水産省消費・安全局表示・規格課

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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