農園のエコトイレを作る~環境トイレ「アグリレット」~ vol246

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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

かんざきたつやのプロフィールページを見る

「ブルーベリーの森あづみのホームページ」をみる。

インスタグラムもやってます。

ブルーベリー農園にエコ・トイレを設置しました。

排泄物を酵素により分解し液肥にして、浸透させ、栽培利用する方式です。

なるべく環境に負荷をかけない、資源の循環というコンセプトにぴったりのトイレです。

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なかなか悩んだ観光農園のトイレ方式

農園のテーマにあったトイレは?

ブルーベリー農園のトイレは、かなり悩みました。

近くに下水はきているので、水洗トイレを設置することは可能ですが、何となくひっかり・・・

水洗トイレも、汲み取りも、処理施設に運ばれて、エネルギーをかけて処理をし、川へ流すものです。

水洗を否定するわけではありませんが、資源の循環などをテーマにしていることから、なんとなくコンセプトにあわないようなきがしていました。

コンポストトイレは子どもには使いにくい?

じゃあ、「コンポストトイレ」がいいのではないか・・・と思い、ほとんど決まりかけたのですが、やはり問題点がありました。

電気などで加熱しない方式のコンポストトイレは、「大小分離方式」が基本です。

どういうことかいうと、小と大をはじめから分離してためることで、大小が混ざり嫌気発酵することで発生するアンモニア臭などを抑制し、効率的に発酵処理させる方法です。

非常に優れていると思いましたが、「子どもが使いにくい」という問題点がありました。

子どもが通っている野外保育の幼稚園にはコンポストトイレがあり、最初は大小分離で使っていたようですが、子どもが使いにくく、今は一緒にして、定期的に外で攪拌などをしているそうです。

親子で気軽に楽しめるということも大切にしているため、断念しました。

電気などで加熱する方式では、分離はしなくてもよいようですが、常に加熱しておく必要があり、エネルギーの観点から、こちらも断念しました。

農地用トイレ「アグリレット」に出会う

なかなかいい案もなく、しばらく放置していましたが、Twitterをみていたときに、農地のトイレについて投稿している方がいて、「アグリレット」を初めて知りました。

大小分離ではなく、排泄物をまとめて消化酵素で処理し、液肥にして、浸透させながら、農作物にも利用するという方式です。

コンセプトにもピッタリだと思いました。

価格は約37万円です。

アグリレットの特徴

アグリレットのメリット

アグリレットのメリットは、以下のとおりです。

(アグリレットのメリット)
・基本的に汲み取りが要らない
・電気や水の無い場所でも設置できる
・消化酵素で分解、液肥として利用するため環境負荷が少ない
・組み立てが簡単(大人2人で1日~1.5日)
・臭わない
 

この中で特に心が引かれたのが、液肥にして処理できるため、環境負荷が少ない点であり、子どもも使いやすい。

また、臭いがほとんど出ないという点も観光農園施設としては大切です。

アグリレットのデメリット

アグリレットのデメリットというか、注意点は以下のとおりです。

アグリレットの注意点)
・粘土が多い場所や締め固めた場所など浸透しにく場所には使えない
・地下水位の高い場所には設置できない

・農地以外には設置できない
液肥にして浸透させる方式なので、粘性土が多かったり、造成して締め固めたような場所では基本的に使えません。
 
また、農地での液肥利用ということを前提としているため、農地以外に設置することはできません。農地として液肥利用する形でないと違法になります。

アグリレットの施工の実際

①トレンチの場所を決める

最初にトレンチの位置を決めます。

地面に傾斜や凹凸がある場合は、あらかじめ均しておくと、その後の作業がしやすくなります。

説明書どおりの寸法で、スプレーで印をつけておきます。

処理槽は1130×700mmですが、その上に乗る建屋は1050×1050mmなので、スペースに若干余裕をもたしておくことが必要です。

②穴を掘る

便槽やトレンチパイプを埋めるための穴を掘ります。

便槽が埋まる場所は1130mm×700mmで、深さ460mmなので、人力で掘るには大変です。

近くの農家さんからバックホウをお借りして、組み立ての前日に掘っておきました。

人力でも掘れないことはありませんが、その分時間はかかるので、作業時間を考慮しておく必要があります。

③便槽の設置

便槽を設置します。

便槽は水平に設置できないと、その後の建屋の設置も水平がとれないので、ここだけは結構、慎重にやるといいと思います。

設置してから、初期水量として80Lの水を入れておきます。

埋め戻し地の浮き上がりと、土圧で潰れないために入れるのですが、かなりの重量になるため、水を入れたら動かすことができません。

設置がしっかりと完了してから水をいれましょう。

80Lの水は結構な量なので、水場が遠い人は、あらかじめ用意しておくといいと思います。

④浸透パイプの設置

便槽から液肥を排出するトレンチパイプを設置します。

トレンチパイプは、好機発酵を促すため、20cm以上埋めてはいけないようなので、浅めの溝を掘ります。

トレンチパイプは水平に設置する必要があることから、溝は水平にし、設置後、水平器でみながら、微調整をします。

水平がとれるのを確認したら、浸透促進剤(軽石みたいなもの)でパイプが隠れるまで埋めて、その上に高さ15cmの畝をたてます。

この畝に植物を植えます。

便槽も埋め戻します。

⑤トイレハウスの設置

便槽の上に、トイレハウスを組み立てていきます。

床のパネルを設置し、4枚の壁面材を組みながらビスで固定していきます。

壁ができたら、最後に屋根を設置します。

粗悪品の家具などにあるような、ネジ穴が合わないといったことは全くなく、すんなりと組みあがりました。

壁面材をもっていてもらわないとできないので、この作業は2人で行う必要があります。

この日は風がありませんでしたが、風が強い日は行わない方がいいように思います。

⑥便器とポンプの設置

トイレハウスができたら、便器とポンプを設置します。

給水パイプを外に通して、給水タンクから水が入るようにします。

説明書どおりに組み立てれば、すんなりとできました。

便器は陶器製で結構重量がありましたが、どっしりと動かないのでいいと思いました。

ペーパーホルダーをとめるナットが手が入らなくて止められない部分があったので、後ほど、長い工具で止めようと思います。

⑦転倒防止ロープの設置

ここまでくればほぼ完成ですが、強風での転倒防止のため、ロープを設置します。

ワイヤーなどでもいいと思います。

私はφ9mmのポリエチレン製のトラックロープ(引っ張り荷重650kg)を使用しました。

棉ロープの方が好みですが、白色で汚れが目立ちそうだったので、やむを得ずポリエチレン製にしました。

杭はハウスを建てるときに使ったらせん杭を使用しました。

らせん杭も簡単な構造のわりに150kg程度までは引っ張り荷重があるので十分だと思います。

⑧酵素の投入

消化酵素を80g、消臭酵素を20gを投入します。

計量カップとスプーンがついているので計量器具は不要です。

バケツに水を入れてかき混ぜてから、便器から直接投入します。

何回か、ポンプで水を流しておきます。

酵素の粉でちょっと便器が汚れた感じになるので、あまった水で流しておきます。

これで1か月ごとに投入します。

最初に1年分(12回分)の量がセットになっています。

アグリレットの施工の注意点

実際に作ってみての注意点をまとめました。

(アグリレット施工の注意点)
・穴を掘るのはなるべく機械で(大変です)
・初期水量の水(80L)を用意しておくのを忘れずに
・パッキンの差し込みに石鹸水を使うので用意を忘れずに
・便槽の設置だけは水平をしっかりとる(後々まで影響します)
・風の無い日に組み立てる(トイレハウスをささえるのが大変です)
・配送時になるべく設置場所まで運んでもらう(かさばるし重いので、自分で運ぶのが大変です)
 
 

特に、配送時ですが・・・・私は、農地まで運んでもらいました。

かさばるし、男性で2~3人で動かすくらい思いので、なるべく設置場所近くまで配送時に運んでもらうようにするのが大切です。

アグリレットを使ってみた(作ってみた)感想

まだ設置したばかりなので、耐久性や臭いや処理能力といった点は今後レビューしたいと思っています。

ポンプからは、十分な水量が流れ、20Lタンクで約70回流すことができます。

一日の便槽の処理能力も約70回だそうです。

中は明るく、一般的な仮説トイレよりも広く感じます。

便座に座ってみてもあまり圧迫感はありません。

臭いはしないという口コミも多いですが、消臭対策として炭の設置、芳香対策としてミントやラベンダーを使用したいと考えています。

便槽につながるパイプ入口に水が少し溜まる構造になっており、水で蓋がされるため、臭いも上がってきにくい構造だと思われます。

また、夏は暑いと思われるので、中には充電式の壁掛け扇風機と、外は朝顔などのグリーンカーテンで断熱対策をしたいと考えています。

施工に関しては、精密な部分はすでに組んであったりと、素人でも施工できるように配慮されているように思います。

前日に1名で半日(約3時間、機械の移動や給油含む)機械で穴掘りをして、翌日大人2人で、ゆる~く施工して、1日(約6時間)くらいでした。

アグリレットはどこから買うのがいいのか?

かなり調べましたが、メーカー直送、楽天、ヤフーショッピングが主な購入方法です。

メーカー直送だと、概ね37万円程度で、送料が別途かかります。

楽天、ヤフーショッピングだと、送料がかかりません。

楽天、ヤフーショッピングを比較した場合は、ポイントの還元率がヤフーショッピングの方が高いので、私はヤフーショッピングの方がおすすめです。

特に、ソフトバンクやワイモバイルのユーザーはさらに還元率が高いので、よりいいです(私はワイモバイルユーザーです)。

少し残念な点としては、ポイントの上限に達してしまうのか、本来の還元率から計算すれば6~7万円ポイントがつくはずなのに、実際には2.5~3万円分しかつかないという点です。

しかしながら、この還元率はお得です。

アグリレットの維持管理とランニングコスト

定期的に必要な維持管理は、消化酵素の投入です。

計量して水に溶き、投入して流すだけなので簡単です。

消化酵素は12回分が1セットで2万5千円くらいなので、ランニングコストは年間それくらいはかかることになります。

ただし、使っていない期間まで必要なのかは、メーカーに確認してみたいと思います。

また、基本的に汲み取りは不要ですが、トイレットペーパーの使用量などによっては、塵のようなものが堆積することがあるらしいので、数年に一度バキュームカーでくみ取る方がいいようです。

これも、シーズン終わりに定期的にやった方がいいかもしれません。

回数が少ないとはいえ、汲み取りのコストもかかります。

また、汚水フィルターの目詰まり防止のため、フィルターの清掃も定期的に行う方が良いようです。どの程度詰まるのかは、今後レビューしたいと思います。

まとめ

アグリレットは、もともとは、農地での仮設トイレを快適に(特に女性)、というコンセプトで設計された商品のようです。

観光農園でなるべく農地のまま利用したいというニーズにもピッタリではないでしょうか。

私の畑は火山灰質で水はけや浸透能力が高いので、かなり条件適していますが、田んぼの跡地や粘性土の多い畑、造成して締め固めた土ではあまり適さないようです。

私のように循環をコンセプトにしている者にもありがたい商品です。

今後、使い勝手なども確かめながら、増設も検討したいと思っています。

アグリレットはこんな人におすすめ
・農地にトイレを設置したい(特に女性が多い場合)
・観光農園に設置したい
・環境にやさしいトイレを農地や観光農園に設置したい
 

以下、ブログ内の関連記事です(動画もあります)。

今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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