脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
2021年春に植えたブルーベリーの幼木の施肥を行いましたので、
その様子などを紹介します。
「ど根性栽培」幼木の場合の施肥
肥料は年一回の元肥のみ
「ど根性栽培」では、年1回冬場に元肥として(菜種油かす」を与えます。
菜種油かすは、ゆっくり分解し、少しずつ効いてきます。
具体的には以下のとおりです。
分類 | 肥料の量 |
幼木 | 油粕お椀1杯(約180g) |
成木 | 油粕お椀3杯(約540g) |
分類 | ど根性栽培の窒素施肥 | ブルーベリーの一般的な窒素施肥 | 備考 |
幼木 | 180(g/本)×0.05=9g | 6~9g | アメリカ・ミシガン州の基準より定植2~5年までの平均値を算出 |
成木 | 540(g/本)×0.05=27g | 89g | 千葉県主要作物等施肥基準(H31年3月)より算出 |
幼木は、おおよそ一般的な施肥量であり、成木は3分の1未満の施肥量になっています。
幼木の場合は、原則、菜種油かすお椀1杯です。
基本的に木材チップのマルチを一旦どかして、油かすをまきます。
土壌酸度(pH)の変化を観察
2021年の春に植え付けたときに、
土壌酸度(pH)の調整として、硫黄粉を一株あたりお椀1杯(約200g)をまいています。
ブルーベリーの最適なpH(土壌酸度)は
ハイブッシュ系品種でpH4.3~4.6
ラビットアイ系品種でpH4.3~4.8
※ラビットアイはpH4.3~5.5という説もあります。
当初のpHが6.5程度だったのがpH4.5くらいになっているので、
およそ計算どおりだったことがわかります。
現在の土壌のpH | 砂土 | 壌土 | 埴土 |
4.5(目標)≒現在 | 0 | 0 | 0 |
5.0 | 20 | 60 | 91 |
5.5 | 40 | 119 | 181 |
6.0 | 60 | 175 | 262 |
6.5(植え付け時) | 75 | 230 | 344 |
7.0 | 95 | 290 | 435 |
この表は本来であれば、10aあたりの散布量(kg)を示すものですが、
ブルーベリーの株回りの散布範囲が約1m2なので、そのまま株回りの散布量(g)として適用しました。
実際に撒いた硫黄粉の量はお椀2杯分(約200g)です。
こちらも問題なさそうです。
さらに小肥でも問題ないかもしれない
ブルーベリーはもともと肥料要求が極めて小さい作物です。
一般的な施肥基準などを他の作物と並べてみると、よくわかります。
もともとやせ地で生育している植物が原種であり、
無機化してから吸収するという経路とは別に、
エリコイド菌根菌やアーバスキュラー菌根菌などの共生菌との協働作業により有機態の形で吸収したりといった別ルートで栄養源を得る能力も高いのではないかと思います。
サツマイモなど少肥または無肥で育てられるものも、やせ地に生育する植物が原種であったり、共生菌との共生のような別の機構をもっていることが一般的です。
実際、成木に近くなってきた5年目の成木に近いブルーベリーがどんどん成長する姿を見れば、僅かな肥料のみに依存しているとは思えません。
さらに少ない肥料か無肥料でも大丈夫なような気もしてきます。
まだ経験の少ない作物の栽培方法は、細かい部分を除き、極力アレンジせずに採用した栽培方法を実践することにしています。
「教科書どおりにはいかない」以前に教科書どおりにやってるかということ
最初から「正確に」やってないケースが多い
世の中には様々な、やり方が存在します。
自分には合うのか、現場に合うのか、やってみなければよくわからないこともあります。
やってみて、結果が出なければ、「教科書どおりにはいかない」とか「うちは特殊だから・・・」、「鵜呑みにしてはいけない」ということになりがちです。
しかし、そもそも実施する段階で、ちょっと面倒な部分を省いたり、そもそも教科書どおりにやっているのかという問題もあると思います。
そもそも、ある程度正確にやってみないと本質が理解できていないことも多いです。
実は、私もすごく多いです。
「次の3つを実施する」
と書いてあって、そのうち1つが面倒でやっていなければ効果が得られないことも実際にはあります。
書物での限界もあるかもしれませんが、そもそも本質的なことが理解されていないことも考えられます。
最初は、正確に理解する意味でも、自己のアレンジをせずに愚直に再現してみることも大切かもしれません。
これは、数年前に読んだ「星のリゾート」社長の 星野佳路 さんの本から学んだことです。
「星野リゾート」は長野県軽井沢町を拠点とし、全国で旅館やホテル、リゾート施設などを運営する企業です。
とくに、破綻しかかった観光施設を独自の手法で再生し、新たなブランドを確立する経営は高く評価されています。
常識にとらわれない・・・みたいな表現をしたくなりますが、
星野佳路 社長 自身は、「星野リゾートの経営は教科書どおりだ。」と言います。
古典的と言われるビジネス書を「正確に」実行してきた結果だといいます。
情報はあふれているけれども、「正確に」実施するのは難しいことかもしれません。
栽培当初は「愚直に」
私は、自分で一定期間を実際に経験して、何らかの結果を得る状態になったと判断できるまでは、
栽培方法は、細かい部分を除き、極力アレンジせずに実施することにしています。
特にコアな部分が理解できるようになるまでは・・・という感じです。
いろいろなやり方を混ぜてしまうと、因子が増えすぎて結果の検証ができなくなります。
これはブルーベリー以外の作物もそのようにしています。
また、最初に絶対はずせない条件などを実践者から教わるのもおすすめです。
どうしても、本の情報では読んでいる人の捉え方で誤解が生まれていたりする可能性があるためです。
今のところ「ど根性栽培」ブルーベリーたちは、よく育っていますし、
今年5年目の樹は、昨年と今年も、非常に美味しい実が収穫できました。
栽培プロセスにも非常に満足しています。
引き続き、「ど根性栽培」を実践しながら、ブルーベリーを様々な角度から考えていきたいと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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