私が「無農薬でブルーベリーを栽培」できている理由について vol323

ベリー&ナッツ&ハーブ
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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

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ブルーベリーの森あづみので栽培しているブルーベリーは無農薬で栽培しています。

ブルーベリー以外の作物も無農薬で栽培していますが、今回はブルーベリーを無農薬で栽培できている理由について、

ブルーベリーという作物が本来もっている特性、栽培方法や自身で工夫していることなどの観点から、まとめてみました。

(この記事でわかること)
〇私が無農薬でブルーベリーを栽培できる理由
〇私が無農薬でブルーベリーを栽培するために工夫していること
 
 
 
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収穫物の目的を定義~「栽培できる」は目的よって意味が違う~

無農薬で栽培できる、できない、簡単、難しい・・・という議論をする時は、まず、収穫物の目的を定義をすることが必要だと思います。

「栽培できる」というのは、収穫物の目的を決めないと意味がかわってしまうからです。

生食で贈答品となる場合、摘み取り体験で食べる場合は、作物に求められるものが全く違います。

前者は、一般的に見た目が最優先になり、見た目のためだけに農薬散布をすることもありますが、後者はそれよりも、味や安心感などのがより求められます。

そのため、「何を目的として、誰にむけて作っている作物か」といったビジネスモデルを定義しないと、無農薬で作れる、作れないという議論はできないと思います。

私の場合は、ビジネスモデルが「観光摘み取り園」ですので、農園で一番美味しいときに食べてもらうということ、安心感をもって食べてもらうということを優占した作型になります。

見た目は軽視するという意味ではなく、一番求められることを大切するという意味です。

また、私自身が、作物をとりまく生き物同志のつながりを感じることが好きなので、私自身もやっていて楽しいことも理由ではありますが・・・・

私が無農薬でブルーベリーを栽培できている理由

理由1:見た目に編中のビジネスモデルではない

前述のとおり、私のビジネスモデルは観光摘み取り園という「体験」であり、ブルーベリーという「商品」を売っているわけではないので、

た目のための農薬使いませんし、使う必要もありません。(といっても、特に見た目も特に悪くなりませんが・・・・)。

それよりも、無農薬にすることで、摘み取ってそのまま、安心して食べること、オーガニックの環境でまわりの自然の豊かさも体験できるといったことが大切になります。

理由2:仕立て方が「垂直仕立て」に近いブルーベリー~道法スタイルから~

(ブルーベリーはほかの果樹とは異なり、基本的に「切り上げ剪定」をして樹形をつくります。)

「道法スタイル」「垂直仕立て」で著名な道法正徳さんの講習会に参加した時に学んだことですが、

ざっくりいうと、「植物は立てた方が元気になる」ということです。

多くの果樹は、横へ樹形を誘導する剪定方法ですが、道法スタイルは逆で「切り上げ剪定」で縦へ誘導し、植物ホルモンを活性化させる手法です。

これにより樹勢と収穫を両立させることができるという理論ですが、

ブルーベリーはもともと「切り上げ剪定」をすることが標準で、病気になりにくいという理由はこういう部分にもあるかもしれません。

理由3:施肥量が少ない栽培方法~肥料と病虫害の関係~

(↑ど根性栽培での肥料は少量の油粕だけです。)

前述の植物ホルモンにも関係しますが、窒素肥料を与えると、「ジベレリン」という植物ホルモンが増えて、枝葉が伸びますが、それと拮抗する形で、同じく植物ホルモンの「エチレン」が減少します。

エチレンは病原菌などから植物を守る働きがあるため、窒素肥料により、病気になりやすくなります。

そのため、窒素肥料の投入と農薬がセットになりやすい傾向があります。

ブルーベリーはもともと肥料要求の少ない作物ですが、私のとりくんでいるブルーベリー「ど根性栽培」は、一般的な施肥量より、さらに少なく、病気などになりにくいと思います。

また、ブルーベリーは「エリコイド菌根菌」という菌根菌(カビやキノコの仲間)と共生しており、根に共生し、養分や水分の調達・病気などから守ってくれます。

最近の研究では、エリコイド菌根菌と合わせて「VA菌根菌」とも共生関係にあることも知られています。

ブルーベリーの原産地はやせ地の酸性土壌であったため、過酷な環境を菌根菌との共生で生き残った植物の子孫です。

肥料の過多は菌根菌の活動を低下させ、病気などの原因となります。

このため、無農薬で育てるためには、できるだけ肥料は少量に、限りなく無肥料に近づけていくことが大切だと考えています。

理由4:周りの生態系が豊で天敵が多い~無農薬・草生栽培の効果~

(↑テントウムシの幼虫。アブラムシなどを食べます。農園内にはたくさん住んでいます)

鶏が先か卵が先か、みたいは話ですが、農薬も除草剤も使わないで育てることで、食害する昆虫の天敵や病原菌の天敵も増えて、大量発生はしないようになっています。

草生栽培で雑草や下草を活かしていることも天敵のすみかになり、特に、農薬に弱いクモ類やテントウムシ類の数・種類が多いです。

最初の頃、ときどき発生するドクガやシジミチョウの幼虫が気になっていたのですが(何故かイラガやマイマイガはいません)、

大量発生することはなく、いつの間にかいなくなってしまいます。

今では、見回りの時にみかけたら、ちょっととるくらいです。

また、前述のエリコイド菌根菌も、農薬を使わないことで、より活発に活動できるのではないかと考えています。

(↑タママユバチに寄生されたベニシジミの幼虫。生態系が正常なら、ガやチョウの幼虫が無事さなぎになれるのはわずか0.2%)
(↑ブルーベリーには必ずクモが住んでいて、害虫を食べてくれます。)

理由5:植物自体が健康である~ど根性栽培&適した土壌~

これで、ほとんど総括されてしまうような気がしないでもないですが・・・・

水はけのよい、ブルーベリーに適した土壌を選び、過度に人為的な干渉せずに、「ど根性栽培」で潜在能力を発揮されたブルーベリーは、なかなか病気にもなりにくのかもしれません。

植物が弱り、生命力がよわれば、それを病害虫が分解者のように、土に還すという自然の摂理が働きますが、植物自体が健康であれば、なかなか病気などにはなりません。

まとめ

なんだか書いているうちに、無農薬で育てているから、無農薬で育てられる・・・といった「鶏が先か卵が先か」みたいな、感じになってしまいました。

意識していることは、自然をよく観察して、余計なことをしないということです。

これは、私が好きな古代中国の思想家、「老子」の「無為自然」という考え方にも似ています。

肥料を「足して」、水を「足して」、農薬を「足して」・・・全部足し算の発想です。

一方、私の場合は、それらを全て、やらずにしておくことで、もともともっている自然のシステムが働き易くなる「引き算」をやっているようです。

ソースなどの味付けを足していくフランス料理と、素材の味を活かす和食みたいに、どちらが、優れているということではなく、どこによって立つかということだと思います。

ただ、少なくとも、私はこの栽培方法や方向性に幸せを感じています。

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