ブルーベリーにコガネムシの被害が発生しない理由を考える vol288

コガネムシの画像 ベリー&ナッツ&ハーブ
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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

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インスタグラムもやってます。

ブルーベリー栽培、特にポット栽培ではコガネムシの幼虫の被害は深刻です。

しかし、うちの農園では全く被害はありません。

なぜでしょうか・・・・

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コガネムシの幼虫はブルーベリーの根を食べる

(↑コガネムシの幼虫。大量発生すると根をほとんど食べつくしてしまうこともある。)

コガネムシは成虫もブルーベリーの葉を食べますが、それほど深刻ではなく、どちらかと言えば、幼虫が根を食べてしまうことが問題となります。

自宅でポット栽培をしていたときに、いくつかのブルーベリーが被害にあい、枯れてしまったものもありました。

いつのまにか、グラグラとしだして、気が付いたつきには手遅れ・・・という場合が多いのが特徴です。

微生物資材やマルチング資材の工夫で対処する例もあるようですが、決定的な方法というのは確立していないように思います。

一般的に地植え栽培の場合はコガネムシの幼虫被害は問題にならないことが多いようです。

ブルーベリーにコガネムシ被害が発生しない理由

地植えにした場合にコガネムシの被害が発生していない理由として、以下のようなことが挙げられます。

  • ①周りにも草が生えているため、根を食べる対象が分散
  • ②コガネムシの幼虫を食べる天敵が多い

コガネムシはブルーベリーを好んで食べるわけではない

(↑草を定期的に刈るほか、通路の中央に野草帯を残すなどの工夫もしています)

①は、草生栽培の場合です。

うちの農園は、ブルーベリーの株元には木材チップのマルチングをしてありますが、それ以外は牧草や雑草を刈りながら管理する「草生栽培」です。

ブルーベリー栽培で用いられるピートモスや木材チップなどの有機物にひきよせられるという説もありますが、人工培地などでピートモスを使用していなくても、被害があるようです。

しかし、コガネムシは特にブルーベリーだけを好んで食べるわけではなく、様々な植物を食べているようです。

ポット栽培の場合は、ポットには基本的にブルーベリーしかいないので、ブルーベリーだけを食べます。

一方、草生栽培の場合は、食べる対象がブルーベリーだけではなく、様々な植物なので、単純に被害が分散していると考えられます。

ブルーベリーも食べているかもしれませんが、被害が発見できないくらい小さなものであると思われます。

ちなみに、サツマイモにとってもコガネムシはなかなかの害虫ですが(食べられると見た目と貯蔵性が悪くなる)、草生栽培で育てたところ、やはりサツマイモはほとんど食べられていませんでした。

地植えであっても、防草シートなどで覆い、他の植物をはやさないようにした場合は別の状況になるかもしれません。

コガネムシの天敵がいれば大量発生することはない

(↑草生栽培できれいにできたサツマイモ)

②は、コガネムシにかぎりませんが、ある生物が集まると、それを食べる生物も集まってくるので、数が調整されて、大発生することはありません。

自然界では、特定の生物のみが大量発生しないように抑止力が働きます。

そのため、食べられやすい生物ははじめからたくさん生まれる数を多くして、全滅しないような戦略をとっています。

そういった意味では、いつまでも大量発生している状況がある時点で何かしら自然の抑止力が阻害されている環境だと言えると思います。

最終的には天敵も増えるのかもしれませんが、人工的な環境だと、タイムラグが大きかったりして、抑止力が働く前に、作物が枯れてしまったりということがおこります。

地植えであっても、農薬や除草剤の使用などによっては、抑止力が働きにくくなる場合もあるのかもしれません。

コガネムシ幼虫はモグラやアリ、ゴミムシなどにも捕食され、「シオヤアブ」というアブの仲間はコガネムシの成虫も捕獲します。鳥や、さらに、病原体などにも感染することもあります。

夕方に農園にいるときにシオヤアブがコガネムシを捕食するシーンを目撃したことがあります。

私が農薬を使用しない理由は、食の安全性というよりは、複雑な自然のしくみに影響を与えたくないという理由の方が大きいです。

まとめ

決して栽培方法の良し悪しを言いたいのではなく、

自然よりから人工的な環境に近づくほど、別の形でそれをカバーする必要が出てくるということを理解しておくことが大ではないかと考えています。

農業は、栽培方法にかかわらず、作物のみを育てることを目的としているので、それ自体は自然の植物と比較すれば不自然な状態です。

そういった状況でも、私は、自然の力を最大限お借りしたいと考えていますので、栽培方法や、自然の力を阻害する恐れのある要素(農薬、除草剤、耕起、防草シートなど)はなるべく、使わないようにしています。

環境をコントロールして、人工的な要素を増やせば、管理などのメリットが出てきますが、自然の抑止力のかわりに、それに対処する必要性も出てきます。

メリットとデメリット、どこに落としどころをもってくるのかは、農業者の考え方によるのかと思います。

そういう意味でも農業に正解はないのではないでしょうか。

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