脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
私がブルーベリー栽培で採用しているのは、「ど根性栽培」と言われる方法です。
千葉県木更津市のエザワフルーツランドの江澤貞雄さんが提唱している栽培方法で、ブルーベリーがもっている力を発揮させる栽培方法の一つです。
今回は、ブルーベリーの「ど根性栽培」で肥料をどのようにやるのかについて、書いてみたいと思います。
ブルーベリーの「ど根性栽培」って?
ブルーベリーの潜在能力を発揮させる栽培方法
過去記事でも多く触れていますが、ブルーベリーの「ど根性栽培」は、ブルーベリーの持っている力を発揮させる栽培方法です。
土壌適応性の広い、ラビット・アイ系の品種がメインとなりますが、重要なポイントは以下のとおりです。
2土壌改良材は使わない(そのまま植える)※1。
3幼木は、強い剪定で成長させる。
※1土壌適応性の低いハイブッシュ系の品種はピートモスを少量(1株あたり40L)使用する。
一般的なブルーベリーの栽培方法で推奨されていることを「ほとんどやらない」栽培方法です。
「やらない」ことで、ブルーベリーをその土地に適応させます。
ブルーベリー「ど根性栽培」の肥料
肥料は年一回の元肥のみ
ど根性栽培では、年1回冬場に元肥として油粕を与えます。
ゆっくり分解させるため、有機肥料である、なたね油粕を使います。
具体的には以下のとおりです。
分類 | 肥料の量 |
幼木 | 油粕お椀1杯(約180g) |
成木 | 油粕お椀3杯(約540g) |
※あくまで目安。土壌条件なども考慮する必要があります。
なたね油かすの窒素成分は約5%なので、
1株あたりの、窒素成分は以下のとおりです。
分類 | ど根性栽培の窒素施肥 | ブルーベリーの一般的な窒素施肥 | 備考 |
幼木 | 180(g/本)×0.05=9g | 6~9g | アメリカ・ミシガン州の基準より定植2~5年までの平均値を算出 |
成木 | 540(g/本)×0.05=27g | 89g | 千葉県主要作物等施肥基準(H31年3月)より算出 |
幼木は、おおよそ一般的な施肥量であり、成木になると3分の1未満の施肥量になっています。
窒素肥料は、植物ホルモンである「ジベレリン」の活性を促し、ジベレリンは同じく植物ホルモンである「エチレン」の活性を妨げます。
エチレンは病害虫への対抗する働きがあることから、窒素肥料は可能な限り少ない方が望ましく、施肥量が多い作物は農薬とセットになってしまうことの要因の一つです。
植物ホルモンの性質や微生物の条件などを整えながら、最終的には無肥料栽培も考えていきたいと考えています。
今でも、窒素肥料を与えるというよりは、炭素分の多い木材チップに窒素分を加え、一部分解を促進、木材チップもマルチング兼栄養分としつつ、微生物のバランスをとっているようなイメージをもっています。
施肥作業(幼木)
株元に敷いてある木材チップを熊手などで一旦どかします。
写真は、昨年植えたクライマックスです。
菜種油かすをお椀1杯(約180g)をまきます。
株元から少し離して散布します。
木材チップを株元だけ残しておくと、近くに蒔きすぎないので、作業しやすいです。
木材チップを戻します。
この作業を繰り返していきます。
1株2~3分くらいでした。
(↑こちらは、2年前に植えた現在4年生のブルーベリー。なかなか貫禄が出てきました。)
木材チップのマルチの中のおもしろい世界
施肥作業をやっていると、ふだんあまりみないマルチの中をみることができておもしろいです。
一例を紹介します。
マルチの中のはんぺん
例えば、「はんぺん」と呼ばれる土着菌の塊ができていました。
糸状菌(きのこやカビの仲間)が活発に活動しているようです。
土着菌を使ってかし肥や堆肥などを作る人もいますので、なかなか貴重品です。
(↑こんなにたくさんのはんぺんが・・・・!竹林内などにも見られます)
(↑きのこのような、いい匂いがします)
サッカーの控え選手?
ブルーベリーは、数本の幹がブッシュ状になる樹形になるのが特徴で、幹になる前にサッカー(ひこばえ)が出てきます。
マルチの中には、サッカーになる準備をしながら、控えていると思われるものがみられました。
(↑ひこばえになると思われる部分を発見しました)
まとめ
マルチをどかしながらの肥料散布は、少し手間がかかりますが、マルチの中の様子なども見られるのでおもしろいです。
何も変わっていないように見えても、土の中、植物の体内、マルチの中、絶えず変化をしています。
木材チップは徐々に分解され、微生物が増えていったり、
マルチの下で次の幹が準備されていたり、
生き物や微生物が増えていったり、
植物や自然の世界も、きっと私たちをとりまく世界も絶えず変化しています。
変化を感じ、楽しんでいきたいと思います。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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