脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
ブルーベリーのような果樹栽培で、一番最初にチェックしたいことがあります。
「1本でも実がなるのか」と「栽培地で冬越しができるのか」ということです。
まず、この2つだけはチェックした方がいいポイントです。
「1本の樹だと実がならない場合」は複数品種をそろえる必要があります。
予算や植えるスペース的にも大切なポイントです。
ブルーベリーはどうでしょうか。
ブルーベリーは「1本の樹でも実ができるのか?」について書いてみました。
自分で受粉できない?「自家不合和性」
ブルーベリーに限らず、多くの被子植物は、自家受粉(自分の花の花粉による受粉)すると、実ができない、あるいはできにくい性質があります。
これを「自家不合和(じかふごうわせい)」といいます。
被子植物の半分くらいは、この自家不合和性の性質をもっています。
自分以外の遺伝子との受粉することで遺伝的に多様な子孫を残すことができます。
遺伝的に多様な子孫で様々な環境の変化で生き残ってきました。
これが、現在、植物のほとんどが被子植物に占められている要因の一つと言われています。
ブルーベリーの系統によって異なる「自家不合和性」
しかし、他の遺伝子の花粉でないと、全く実ができないケース、できないわけではないけど少なくなるケースなど中間のような場合もあります。
どちらかというとブルーベリーの場合は後者に近く、実ができないわけではないけど、実ができにくいタイプです。
特に、ラビットアイ系ブルーベリーは自家不合和性が強く、自家受粉だと、他家受粉と比較して、1/3程度しか結実しないという研究報告があります。
一方、北部ハイブッシュ系は、自家不合和性が弱いタイプで、1本の自家受粉でも結実は8割程度になるようです。
しかし、北部ハイブッシュ系も他家受粉の方が結実する確率がやや上がり、実のサイズが優れるというデータがあります。
ざっくり言うと、1本ではラビットアイ系は1本ではほとんど実がならない。
北部ハイブッシュ系は、ほぼほぼ実はなるけど、少し量や実のサイズが落ちるといった感じではないでしょうか。
まとめ
ブルーベリーも2品種以上育てた方が無難
北部ハイブッシュ系、ラビットアイ系どちらの場合でも、ブルーベリーは異なる品種を2種類以上で育てた方がよさそうです。
品種が同じだと、クローンということなので、同じ遺伝子になってしまうためです。
その場合はせっかくなので、少し実の成熟する時期がずれる品種を選択すると、より長く楽しめるのではないかと思います。
私の農園でも、植えた列ごと品種を変えています。
品種ごとに、少しずつ時期をずらしながら、なるべく長い期間、摘み取り園が楽しめるようにしています。
なお、北部ハイブッシュ系とラビットアイ系は基本的に交配しないので、それぞれが2品種ずつ必要となるので注意が必要です。
北部ハイブッシュ系とラビットアイ系ブルーベリーは、生物分類の基本単位である「種」が異なっているため、自然状態では交配しないためです。
どちらも、農林水産省の作物分類では「ブルーベリー」ですが・・・
「ツツジ科」以下の生物分類は、
ツツジ科>スノキ属>シアノコカス節>種(以下のとおり)>(この下に各品種)となります。
北部ハイブッシュ系ブルーベリー Vaccinium corymbosum
ラビットアイ系ブルーベリー Vaccinium virgatum
北部ハイブッシュとラビットアイ系は「種」を表している学名が異なることから、
品種よりも上の分類の「種」レベルで違うことがわかります。
同じ名前で呼ばれている農作物の中に、品種より上の「種」レベルで違うものが、複数含まれているのは、わりと珍しい気がしますが…
北部ハイブッシュ系とラビットアイ系が基本的に交配しないことや、
全く違う植物かと思うくらい違い(特に樹勢)を感じる部分もあるのも、少し納得がいくように思います。
(参考文献)
〇ブルーベリー全書(日本ブルーベリー協会編、創森社)
〇ブルーベリーの作業便利帳(石川駿二、小池洋男、農文協)
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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