脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
「微気象(びきしょう)」という言葉をご存じでしょうか。
微妙な凹凸や、斜面の方向などの違いにより、発生する気象、環境の違いのことです。
パーマカルチャーでは、よく取り入れられる考え方で、
自然の力を活かす、多様性を求める栽培には特に大切な視点です。
具体例も交えながら紹介したいと思います。
意外に身近な「微気象」
北側に綺麗に溶け残る雪
(↑日があたりにくい、北側(写真右側)は雪が残る)
しばらく雪が積もり、少し暖かくなったため、雪が溶けました。
しかし、北側(写真右側)だけは綺麗に溶け残っています。
こういう現象は、経験的にご存じの方も多いかと思います。
特に冬は、日差しの角度が低いので、北側は陰になりやすいです。
葉っぱがおちたブルーベリーや高さが10cmくらいの木材チップマルチという、ちいさな陰ですら、これほど影響を与えます。
暑い夏でも草の陰で生えるきのこ
(↑真夏でも草むらの中は、湿度や温度が保たれているため、きのこまで生える)
写真は8月のものです。
暑さのピークはすぎているかもしれませんが、まだまだ、暑さや日差しが厳しい時期です。
しかし、ブルーベリーの株元、下草のオーチャードグラスの陰では、きのこが生えていました。
きのこは、乾燥した状態では生えてこないので、下草の陰では一定の湿度が保たれており、地表面の気温も低いと考えられます。
グリーンカーテンの効果として、コンクリートの壁と、グリーンカーテンを比較した場合、10℃以上の表面温度の差が出ているそうです。
コンクリートと土などは一概に比べられませんが、かなりの効果があることは間違いないです。
今度、地温などを比較してみようと思っています。
微気象を利用させてもらう
微気象は、それを観察し、工夫したり活かすこともできます。
草生栽培で夏の日差しから作物を守る
(↑草を活かす「草生栽培」でブルーベリーを栽培しています)
前述のきのこの例からも、草を生やす「草生栽培」を行うことで、
地温の極端な上昇や乾燥を防ぐことができるということになります。
最近では、寒冷地と思われている地域でも、夏の最高気温がかなり高くなっており、ここ長野県安曇野市も例外ではありません。
今後、地球温暖化に対応していくためにも、暑さから地表や作物を守る草を活用した栽培は重要になってくると考えています。
多様な環境を生み出す「スパイラルガーデン」
(↑農園のスパイラルガーデン、多様なハーブを栽培しています)
パーマカルチャーの手法の一つである「スパイラルガーデン」。
直径2mほどの渦巻き状に、小山のような植床をつくるものです。
斜面方位や高さを変化させることで、多様な環境を生み出し、様々な作物を育てる方法です。
ブルーベリーの森あづみのにあるスパイラルガーデンでは、ハーブを多種類育てています。
西日から苗を守る工夫
(↑ヘーゼルナッツの苗木。西側に支柱をたてることで、西日から守っている)
これは、私が苗木の植え付けのときに、やっていることなのですが、
西日から苗木を守るために、西側に支柱を立てる工夫です。
強い西日は、植えたばかりの苗木を弱らせることがあるため、支柱の陰になることで、西日から守るためです。
これは以前、垂直仕立て「道法スタイル」で有名な道法正徳さんの講習会に参加させていただいた時に学んだことです。
まとめ
一見、同じに見える畑の中にも、実はかなりの微気象が存在しています。
動植物のサイズや視点からみれば当たり前のことかもしれません。
大量に生産し、発芽や収穫をそろえたい場合は、逆に微気象の要素を取り除く技術が必要になります。収穫時期が揃わないと、効率が落ちるためです。
例えば、植床の凹凸などを無くし、なるべく均一にすることです。
逆に、多品目栽培や家庭菜園など多様性をもたせたり、収穫時期をばらつかせたい場合は微気象を利用して、作物や収穫時期に多様性をもたせることもできます。
一見、見落とされがちな「微気象」ですが、自然の力を活用させていただく、多様性を求める、私のような栽培では、特に大切な要素だと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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