脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
私は3つの森をつくっています。
一つは「ブルーベリーの森」、ブルーベリーの森あづみのです。
もう一つは「ナッツの森」。ヘーゼルナッツを栽培しています。
さらに今年は「ハーブの森」を本格的につくりはじめます
ナッツの森のヘーゼルナッツは2021年の春に植え付け、本格的にスタートしました。
今回は2021年のヘーゼルナッツ栽培を振り返ってみます。
イタリア、ピアモンテ産ヘーゼルナッツを長野に
ヘーゼルナッツは「西洋ハシバミ」と呼ばれ、お菓子作りには欠かせないナッツです。
現在日本で流通しているのは輸入品が中心であり、国産のものはほとんどないようです。
世界的にはイタリアやメキシコが主要な産地となっており、特にイタリアのピアモンテ地方のヘーゼルナッツが品質が高いことで知られています。
イタリアのピアモンテ地方は山岳地帯で、冷涼な気候が長野県によく似ているそうです。
長野県長野市での岡田浩司(フル里農産加工㈱代表取締役)さんという方が、長野県をヘーゼルナッツの産地にしたいという取り組みをされています。
多くのメディアにも出演されており、今やかなり有名人ですが、
いちから、長年、ヘーゼルナッツに取り組んでこられ、ここまでの道のりは本当にご苦労があったとお聞きしております。
私が以前長野市に住んでいたときに、知り合い、ヘーゼルナッツに興味をもつきっかけになりました。
岡田さんには苗木の購入、ヘーゼルナッツ栽培にでも大変お世話になっています。
ヘーゼルナッツは、健康食品としても優れており、前述のとおり、スウィーツづくりには欠かせない食材です。
また、栽培についても、無農薬・無肥料・無灌水といったことも可能です。
私がとりくんでいるブルーベリー栽培とも共通する部分があり、育ててみたいと思うようになり、
2021年4月からついにスタートすることができました。
ヘーゼルナッツ植え付け
まずは測量(位置だし)から
5×5m間隔で植え付けるため、農地での測量を先行して行いました(肥沃な圃場の場合は6×6m)。
測量の前に、地積測量図などで、あらかじめ作図しておき、現地に落とし込みます。
最初に全体を測量しておくと、ほぼ完ぺきにできると思いますが、そこまでしなくても
既存資料でざっくり計画して、現地でのずれを補正しながら、最終的な形を決めても十分だと思います。
現地で最初から決めてもできることはできますが、概略図を作っておくほうが全体が見えるので、総合的にスムーズにいきます。
ブルーベリーの時も同様に行っています。
(↑作図にはJwCADなどの無料のCADソフトが便利です)
測量器具がなくても、現地で直角を出すときは、5:4:3の三角形をつくれば、巻き尺やロープだけでも直角がだせるので便利です。
私は前職で森林などで測量設計の仕事をしていたことがあるたため、測量自体は慣れているのですが、
こういういアナログな作業をやっている測量の本質に触れているような気がしてきます。
ヘーゼルナッツ苗がとどいたら「仮植え」
(↑2品種、55本植えました)
苗が届いたのは2021年の3月末でした。
植えたのは2つの品種で、以下のとおりで、名前がものすごく長く、しばらく覚えられませんでした。
- トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ・トリバータ 50本
- トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ・ロマーナ 5本
トリバータの方がメインで、ロマーナは受粉木的な意味合いで少し加えました。
異なる品種を混植した方が実つきがよくなるそうです。
ブルーベリーも特にラビットアイ系品種はそのような傾向があります(自家不合和性といいます)。
届いたら、植え付けまで乾燥させないように「仮植え」しました。
すぐに植える場合や、冷蔵施設などが確保できる場合は、仮植えはしなくてもいいと思います。
(↑庭に一旦、「仮植え)しました。)
4月早々には植えたのですが、日程がずれることも考慮して、念のため仮植えしておくことにしました。
植えつけて木材チップでマルチング
植えつける前日に、仮植えした場所から掘り出して、バケツや桶などに水をはっておき、「水あげ」をしておきます。
このヘーゼルナッツの苗は「裸苗(はだかなえ」という根鉢のない苗だったので、水につけた状態で畑にもっていき、植え付けの直前まで浸し、乾燥しないように工夫しました。
また、翌日にまとまった雨が降る日を狙って植えつけました。
こうすることで、灌水を省略できます。
植えつけたあとは、木材チップでマルチングしました。
保湿効果のほか、苗のすぐ周りには草が生えなくなるので、草刈り作業の効率がよくなります。
西日で苗が弱ることがあるため、支柱は苗の西側に立て、支柱に結束しました。
(↑支柱は西側に立てて、結束)
(↑植え付け後の様子)
ヘーゼルナッツ栽培の管理
栽培管理は、主に「草刈り」でした。
ヘーゼルナッツのまわりには、木材チップでマルチングをしているため草が生えませんが、あまりに周囲の草が大きくなると日照を遮ってしまいます。
主に6月から8月にかけて4回ほど草刈りをしました。
(↑草刈り後)
乗用草刈機で行うため、約14a(1,400m2)で1時間弱くらいの作業です。
灌水は夏場も含めて、一度もやりませんでしたが、特に問題ありませんでした。
また、肥料は特にやっていません。
ヘーゼルナッツの病害虫などのについて
植えつけてからひと月ほどたった頃、「ドクガ」が発生し、新しく出てきた葉っぱを食べているのを発見しました。
葉の裏にいるため、一枚ずつみながら、ピンセットで取り除きました。
ドクガは毒のある蛾の総称ではなく、種の固有名詞です。
体は黒っぽく、小さいうちはみつけるのが難しいです。
その名前のとおり毒があるため決して素手では触ってはいけません。
ちなみに、毛虫の中で毒がある種類は極めて少数派なので、毒のある種類だけ覚えておくといいと思います。
日常的に畑や庭みられるのは、
「ドクガ」「チャドクガ」「キドクガ」「イラガ」「マイマイガ」「マツカレハ」などです。
なお、うちの農園では「ドクガ」「チャドクガ」しかみかけません。
ヘーゼルナッツに発生したドクガは、一週間に一度程度の「テデトール(手で取る)」というアナログな手法で、いつの間にかいなくなりました。
これは、天敵の効果もあったかもしれません。
生態系が極端に壊れていなければ、天敵も後追いで増えてきます。
(↑テントウムシの幼虫と脱皮したときのぬけがら。テントウムシが増えてきてます)
(↑これはテントウムシの卵なので、とらないようにしましょう)
なお、病気は特に発生しませんでした。
ヘーゼルナッツの生育状況
2021年は、25~40cm程度の成長で、全体的にみればそれほど大きくなったという印象ではありません。
しかし、活着率(根付いた本数÷植えつけた本数)は100%でした。
裸苗で100%は、けっこう優秀だと思います。
今年、しっかり根付いて、冬芽もびっしりついていたので、来年からの成長にも期待です。
(↑冬芽もしっかりついています)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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