農業の栽培で「一番大切なこと」は何?~栽培技術以前のこと~vol857

観光農園の始め方
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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

有機JAS認証を取得した「オーガニックブルーベリー」を栽培しています。

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農業で栽培を始めるにあたり、大切なことは何でしょうか?

栽培技術、栽培方法・・・もちろん、それらも大切ですが、「一番」となると、もっと大切なことがあると思います。

今回は、農業のため、「生業」としての栽培で「一番大切なこと」について書いてみました。

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「どこで何をつくるか?」が一番大切

適地適作

私が最も大切にしているのは、実は栽培方法ではなく、それに入る前「企画」の部分です。

と、いうのも、農業は、土地や気候と一体として運営していくものなので、

その土地にあった作物かどうかという点が、栽培の難易度や、成果に大きく、しかも長期にわたって影響するからです。

その土地の土壌や気候などの条件にあった作物を育てる、「適地適作」が基本となります。

言われてみれば、極めて当たり前のようですが、意外と、栽培方法や資材などに比べて議論されていないように思います。

ブルーベリーの適地

(水はけの良い「黒ボク土」)

ブルーベリーの場合は「土」に関して言えば、優先されるのは「水はけ」です。

それ以外の要素も当然ありますが、優先順位では一番にくると思われます。

うちの場合は、水はけの良い火山灰質の「黒ボク土」という土壌の分布している地域を探して、今の農地で始めました。

水田跡地などでも栽培できないことはないと思いますが、排水を良くするための作業などが必要となり、労力やお金、時間を要する場合もあります。

既に農地を所有していて有効活用したいなど、何らかの理由があれば別ですが、そうでなければ、最初から適地を探す方がおすすめです。

ちなみに、地面に直接植える植え方を「地植え」と言うことがあります。

地植えではなく、ポットで栽培する場合は、水はけのよい資材を使えば、水はけの問題は土地とは関係なくなります。

品種選びも大切

作物と土地が合っていそうだという場合であっても、品種選びは大切です。

品種によって難易度が違うことはもちろんですが、気候にあうかどうかも品種によって違う場合があるためです。

私が育てているブルーベリーの大半は「ラビットアイ系」という品種系統で、もともとは暖地向けの品種です。

近年の温暖化で、冬に枝枯れなどは起こりにくくなっており、長野県安曇野でも十分経済栽培は可能だと思います。

ただし、関東とはおよそ1カ月近く成熟期がずれるため、その時の気候がブルーベリーの実の味などにも影響しているようです。

他の地域で栽培する人たちと情報交換する中で、一般的に評価が高い品種の品質がいまいちだったり、その逆もあります。その辺りも考慮していく必要があると感じています。

「育てられる」ということと「収穫物の品質」両方を考慮する必要があります。

そういう意味では経済栽培で言う「育てられる」には「商品とできる収穫物が収穫できる」が含まれてると解釈しています。

コンサルなどで品種を提案させて頂く場合は、例えば関東のクライアントさんであれば、近隣でブルーベリーを育ている方の意見などもお聞きした上で、提案させていただくようにしています。

「産地」のメリット

いわゆる「産地」のメリットは、その土地にあった作物や品種が工夫されていることです。

周辺に競合が多いとも言えますが、栽培の難易度という点では、安心できます。

前述の「品種」も適したものが既に研究されていたり、経験として知られていることが多いためです。

行政等の思惑も絡んでいることもありますが、栽培できるかどうかの情報が多いという点だけを活用すると思えば、メリットは大きいです。

また、産地自体がブランド化していることで、作物自体の価値を高めているとも言えます。

自分がどういった個性をしっかり伝えていけるかは、競合があっても無くても大切なことなので、

「産地であること」は総合的にはメリットの方が大きいと私は考えています。

「販売方法」によっても適地は違う

(観光農園)

少し栽培とは、話がずれますが、「販売方法」によっても適地は変わってきます

例えば、観光農園であれば、基本的に観光地周辺の方が有利になります。

もともと観光を目的とした人の流れが出来上がっているためです。

私もブルーベリーの観光農園をやっていますが、長野県安曇野市は農村の観光地であることは、安曇野を選んだ理由の一つでした。

また、例えば、健康や環境にやさしい栽培方法の野菜などを売りにしているのであれば、東京近郊など大消費地に近い方が有利と言えます。

インターネットで全国どこでもつながることはできますが、取引先が物理的に近いことは送料を安く抑えられますし、マルシェなどのイベントでの広報がしやすくなるためです。

もちろん、そうでなくてはいけないことはありません。

工夫次第ではいろいろな方法があると思いますし、例えば「自分の地元を盛り上げたい」などの、別の目的があれば、それも意義があることだと思います。

立地戦略の考え方の一つだと考えていただければと思います。

まとめ

(林業では「適地適木」と搬出のための地形条件で、かなりの部分が決まってしまう)

適地適作、その土地や気候にあった作物や品種を選ぶことが、栽培方法や技術以前に大切です。あるいは最も大切な技術とも言えます。

私はもともと、林業を学んでおり、農業を始めるまで林業関係の仕事をしてきました。

林業は、そもそも農業でいうところの「自然栽培」であり、もちろん資材も添加しません(というかできない)。

植えてからできることが限られているため、適地適木が成果にダイレクトに表れてきます(それも数十年後に・・・)。

もしかしたら、農業の教科書の一ページ目に書いてあるかもしれません。

そんなの当たり前と言われるかもしれません。

しかし、あえて強調したいのは、その当たり前すぎることをしっかりと守ることが、長期的に成果を上げるためには最も大切だと思うのです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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