脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
「ブルーベリーの森あづみの」では2019年からブルーベリーの栽培を始めました。
これまで、ブルーベリーの栽培を通じて、「最低限必要なもの」について、なるべく細かく解説します。
なお、当園では「ブルーベリーのど根性栽培」にとりくんでおり、以下の前提条件となります。
(前提条件)
栽培はど根性栽培による栽培
農業機械とは「エンジンやモーターで駆動するもの」
農具とは、上記農業機械以外の農業のための道具。
農業機器とは、「農業機械」と「農具」
●ブルーベリー栽培で必要な農業機械と農器具について「最低限必要なもの」は何なのか、理由も併せてよくわかります。
農業機械を「所有するのか」「レンタルするのか」を考える
農業機械は「所有するのか」「レンタル(リース)するのか」という問題があります。
所有する場合は購入費用が高額になり、維持費もかかります。
しかし、機械を頻繁に使う場合はレンタルより安くなる場合があり、使いたいタイミングで使用できるというメリットがあります。
一方、レンタルは、回数が少なければ購入費用より総合的に安く済み、修理やメンテナンスなどの維持費もかかりません(←けっこう農業機械壊れます)
しかし、頻繁に使う場合は購入より高くなる場合があります。
私は使用頻度の少ない機械、例えば、2tダンプ、バックホウなどは、レンタルか知り合いの農家さんにお借りしています。
土地を紹介していただいた農業委員さんから、機械を貸していただけるのも本当に感謝しております。
(↑使用頻度の少ない機械は、お借りするか、レンタルにしています)
同様の理由で軽トラも持っておらず、必要な場合はレンタカーにしています。
ブルーベリー栽培に最低限必要な農業機械
乗用草刈り機(乗用モア)
(↑乗用草刈り機。私の栽培だとメインの機械です。)
ブルーベリーを草生栽培をしているため、広い面積の草刈りを行う必要があります。
観光農園のレストスペースも含めますと約60a(6,000m2)の草刈りです。
観光農園もやってることから、だいたい年に7から8回ほど刈ることになります。
草刈りというと肩掛け式草刈り機(刈り払い機)のイメージが強いですが、この広さと頻度では大変で、効率化と省力化が必要です。
乗用草刈り機(乗用モア)は、カートのような機械に乗って、走り回るだけで、簡単に草刈りができます。
ブルーベリーの敷地・レストスペースを全面刈るのに3時間くらいですが、早朝に乗用草刈り機でやってしまうと、簡単に速く終わります。
新品だと40~50万円ほどするものが多いですが、私はヤフーオークションで約20万円の中古を買いました。
古い機械ですが、3年ほど使っても、まだまだ問題なく使えています。
なお、レンタルすると20,000(円/日)ほどなので、
レンタルした場合の年間費用は、
20,000(円/日)×7(日/年)=140,000(円/年)
となります。
20万円程度のものでも、1.5年以上使えば、レンタルより安くなるため購入しました。
肩掛け式草刈り機(刈り払い機)
(↑肩掛け式草刈り機(エンジン式)。細かい場所を刈ります)
乗用草刈り機で刈れない細かいところを刈ります。
エンジン式と電動式の2つをもっています(電動式はもらいもの)。
エンジン式は3万円ほどのもので新品買いました。
肩掛け式の刈払い機は、結構、酷使される機械なので、中古は少し不安だったためです。
肩掛け式の草刈り機は、作業よりも長時間での「重さで疲れる」ので、
最近は、軽い電動式をメインにしています。
電動式は太陽光パネルで発電したポータブル電源から充電しているため、「太陽エネルギーで草刈り」しています。
ただし、固い草が多いとパワー不足になる場合があるため、エンジン式を併用する場合もあります。
(↑肩掛け式草刈り機(電動)。軽くて便利です)
(↑太陽光でポータブル電源に充電)
(↑太陽光で充電したポータブル電源でバッテリーを充電)
なお、レンタルをした場合、5,000(円/日)ほどなので、使用頻度を踏まえると、購入した方が安くなる場合が多いと思います。
庭の管理にも使っています。
ブルーベリー栽培に最低限必要な農具
クワ(唐鍬)
(唐鍬は刃が重たいものの方が、掘る力が大きくて使いやすい)
ど根性栽培では、ラビットアイ系ブルーベリーの植え付けは、植床を作らないので、ポット分の穴しかほりません。
このサイズなら、移植ごてでも掘れてしまいますが、本数が多かったり、石の多い農地だと、唐鍬が必要になってきます。
唐鍬は刃に厚みがあって、刃の重量があるものがおすすめです。
一見、軽い方がいいように思いますが、鍬は刃の重量を落とすように、掘る農具なので、重量がないとその分掘る力がありません。
重量のある鍬の方が結果的に、楽に作業ができます。
ホームセンターなどで、1,000円くらいの唐鍬は形は似ていても、軽いものが多いのでおすすめできません。
フォーク
(↑フォークを使うと楽に木材チップを移動できる)
ど根性栽培は、植えつけるときに、1株あたり80L(ペール缶4杯)の木材チップのマルチングをします。
また、木材チップも経年で減っていくので、すこしずつ追加する作業が必要になります。
この木材チップをすくうのに、「フォーク」が大変便利です。
最初の頃はスコップ(角型スコップ、剣先スコップ)を使っていましたが、フォークとはくらべものにならないくらい労力がかかります。
なお、バックホウなどで、木材チップをすくう方法もあると思いますが、
機械を使う場合は、自分のほかに運搬する人が1人以上いないと効率が悪いこと、
私のバックホウ操作技術がいまいちなので、土を一緒に掘ってしまったり、ロスが出てしまったりするため、基本的に人力でこつこつとフォークですくって運搬しています。
大量の植えつけのときは、木材チップたくさん運ぶので、うまく使えれば機械も魅力的ですが、
植えつけ後に木材チップを補充する作業は、合間にちょこちょことやれるので、今のところ人力でもあまり困っていません。
(↑木材チップの運搬は、必ず下り方向になるように、資材の配置を工夫しています)
ペール缶
(↑ペール缶は木材チップの運搬と計量に使う)
ペール缶は木材チップの運搬や同時に計量できます(一缶は20L)
また、マルチングを機の周りにするときに、小回りがきいて微調整しやすいです。
人力で運ぶには無理の無い量でもあり、
ブルーベリー植樹体験のときにも重宝しました。
(↑ペール缶サイズだと運びやすく、イベントにもむいている)
販売もしていますが、ガソリンスタンドなどで使っているエンジンオイルなどの空き缶をもらえることが多いので、無料でも手に入ります。
オイルの空き缶を使う場合は、以下の手順で洗浄すると綺麗になります。
ペール缶の洗浄方法
①逆さにおいて、中に残っているオイルを出す。
②パーツクリーナーで拭き取る
③食器用洗剤で洗う。
一輪車(又はリアカー)
(↑ペール缶を積むには、バケットがフラットなタイプの方が使いやすい)
主に、前述の木材チップの運搬に使用します。
ノーパンクタイヤのタイプの方が長期的に見ればお得だと思います。
バケットが深いタイプと浅いタイプがありますが、私はペール缶を載せたかったので、浅いタイプにしています。
リアカーは使ったことがありませんが、草生栽培の場合は、凹凸があるので、一輪車の方がいいような気がしています。
熊手(柄の長い熊手)
(↑幸せフルーツ工房(ブルーベリーの森あづみの)のYouTube動画より、肥料を与えるときに熊手でチップをどかします)
熊手は、ブルーベリーの施肥のときに、一旦木材チップをどかすので、そのときに使用します。
最初レーキで代用していましたが、レーキだと刃の間隔が狭すぎるので、ひっかかることが多く、体力を消耗するので、熊手の方がいいと思います。
この用途に使う場合は、爪の間隔が広い、あるいは調節できるもの方が、ひっかりにくく、適していると思います。
剪定ハサミ
(↑愛用の剪定はさみ。学生の頃から、20年以上使ってます。)
剪定のときに使用します。
学生の時に「樹木学実習」という授業で使っていた剪定はさみを今でも使っています。
20年以上使っているので、手になじんでいます。
たくさん切っていくと、切れ味が落ちるので、汚れを落としたり研ぎながら使うと、疲れなくていいと思います。
作業中に研ぐには、後述する「ダイヤモンドシャープナー」が便利です。
最初は、ちょっとかっこつけて、1株剪定するごとに剪定ばさみをエタノールやライター消毒していましたが、
そもそも、うちの農園では病気のブルーベリーが基本的に発生せず、必要がないので、最近はやっていません。
ブルーベリーが年齢を重ねると、古い太い枝を更新したい場合が出てきます。
剪定ばさみで切るのは大変なので、林業あるい園芸用のノコギリなどがあると便利ですが、樹が若いうちはあまり必要ないと思います。
あると便利な農機具(好きな農機具)
大鎌(信州鎌)
(2021年秋に購入した大鎌(信州鎌)。以前使っていたもの一回りより大きく135cmの長さ)
数年前に「月刊現代農業(農文協)」の草刈りの特集で、信州鎌を活用している方(自然農法国際研究開発センターを退職された中川原敏雄さん)の記事を読んで、大鎌に興味を持ちました。
しかし、私が試しにAmazonで購入した大鎌は信州鎌ではなかったため、刃も小さく、独特の刃の角度もない商品でした。
(↑信州鎌は柄に対して、角度があるので、腰を曲げずに草刈りができる)
加えて、当時の私は大鎌の独特の使い方(刈り払うフォーム)がしっかり理解できていなかったため、肩掛け式草刈り機のサブ的に使っていました。
しかし、最近になって、あるご縁で、中川原敏雄さんから直接ご指導いただける機会をいただき、その魅力を実感しました。
その後、さっそく「信州鎌」も購入し、来シーズにむけて時々練習しています。
大鎌というと、もしかしたら、アナログ、全近代的なイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、
良い鎌を適切なフォームで正しく使うと、力がほとんど要らず、作業も早いです。
燃料も必要ないので、すぐにスタートできますし、給油もせずにどんどんできます。
観光農園の開園中は、草刈り機は危ないので使えませんが、鎌なら、開園中にもちょこっと刈ることもできます。
石油エネルギーを使って、太陽エネルギーでできた草を刈るのが、なんとなく、さみしくなるので・・・
石油エネルギーを使わない大鎌は自分としてはかなり魅力的です。
次のシーズンは、乗用草刈り機+大鎌をメインにできたら、いいなあ・・・と考えています。
「信州鎌」「大鎌」は引き続き、レポートしていきたいと思います。
ダイヤモンドシャープナー
(↑荒研ぎと仕上げ研ぎのリバーシブル)
前述の大鎌や剪定ハサミを研ぐのに便利です。
特に作業中に研ぐのには、さっと取り出して研げるので便利です。
前述の中川原さんに教えて頂き、私も購入しました。
荒砥ぎと仕上げ研ぎがリバーシブルになっており、鎌のような曲線にも対応できるので便利です。
砥石を使って研いだ方あ、全体のバランスはとれるので、作業の最後には砥石を使っていますが、
作業中やハサミなどの細かい器具を研ぐにもかなり重宝します。
(↑はさみのような小さいもの、曲線のあるものでも使いやすい)
ちなみに、「龍宝丸 ダイヤモンドシャープナー」が荒砥ぎ、仕上げ研ぎ、局面、平面にも対応しており、おすすめです。
最低限「所有する必要のある農機具」は少ない
私の場合、機械とよべるものは、「乗用草刈り機(乗用モア)」と「肩掛け式草刈り機(刈り払い機)」くらいで、あとは、比較的安価な農具です。
最近は、木材チップは運搬してくれる業者さんにお願いしているので自分では運んでいませんが、木材チップを運搬する場合はダンプ(2tなど)が必要になります。
しかし、使用頻度は長くて数日なので、レンタルなどでも対応できます。
また、観光農園施設の設置などに、バックホウを使いたくなる場合もありますが、こちらの使用頻度からすれば、やはりレンタルなどで対応可能です。
これは、ど根性栽培でブルーベリーを育てて、観光農園を運営する場合の栽培という前提では、
少なくともブルーベリーの栽培については、意外に「所有しなければいけない農機具」は少ないです。
農業というと、高額な機械設備に補助金や融資を使いながら投資していくというイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。
実際に、そういうケースもありますし、私のようにそうでないケースも実際あります。
ブルーベリー栽培、ブルーベリー観光農園、ど根性栽培、などに関心をおもちの方の少しでも参考になればうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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