脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
ブルーベリーは「観光農園」というビジネスモデルと相性のいい作物です。
ブルーベリーは比較的高単価で取引される作物ですが、「果実の熟期が揃わず、一粒ずつバラバラの時期に熟す」という特徴から、収穫の効率が悪いという弱点があります。
たくさんの量を出荷するには、すごく労力や人件費がかかります。
以前、働いていた農業法人では、観光農園もやっていましたが、どちらかというと出荷主体で、多くの労力投入して収穫や出荷をし、とても大変で、費用もかかっていました。
出荷主体だと大変ということを実感しました。
一方で、2~3週間の期間をかけて、少しずつ熟すという特徴は、観光摘み取り園にするとメリットになります。
ブルーベリーは追熟しない果物なので、完熟の一番いい状態の実をお客さんに選んでもらい、その場で食べてもらうことができ、しかも、長い期間実がなくならないためです。
少しでも摘み取り園という要素を入れると、作物の特性上も、農作業的にも経営的にも無理がなくなってくるように思います。
ここで悩ましいことがあります。
ブルーベリー農園をやるために、起業をして、農地を確保して・・・
「ブルーベリーを植えつけて、育って、どのくらいの期間でブルーベリー観光農園として開園するのか」
という問題です。
いろいろな経営の考え方があると思いますが、私の一例を紹介したいと思います。
ブルーベリー観光農園は植え付け3年目からスタートしました
私の場合は、2年生のブルーベリーの苗を植えつけて、3年目(まる2年)の2021年から、観光農園を始めました。
栽培方法にもよりますが、ブルーベリーの収穫は一般的に、植え付け3年目から4年目からはじめます。
私の取り組んでいる「ど根性栽培」は、成長の速度は一般的な地植えの栽培くらいだと思われますので、成長が順調にいけば3から4年目での収穫となります。
私は経験がないので詳細はわかりませんが、ポット式の養液栽培の場合は生長が早く、収穫までは一般よりも1年くらい早いそうです。
3年目で収穫するタイミングで観光農園も始めたので、私の栽培の条件からは最短でスタートしたことになります。
生育の良い樹に限定したため、収穫の対象にしたのは200本程度で、同年に植えた樹の半数程度でした。
まだ、収量も少なく1本あたりの平均収量は0.5kg以下であったと思います。
観光農園施設も、トイレ、駐車場、日陰のあるレストスペースに、キッチンカーでのかき氷など、
必要最小限のものでスタートしました。
収量が少なく、林業関係の仕事との調整もあったので、金、土、日、祝日限定でのオープンでした。
その年は、稀にみる夏の長雨で実が割れてしまったりと、もともと少ない収量がさらに減るトラブルもあり、10日程度しかオープンできませんでした。
しかし、翌年の2022年には、30日以上、オープンすることができました。
それぞれのペースでOK!でも、ビジネスはなるべく早く経験したい
ブルーベリーが順調に成長して、収穫ができるようになって、いつから観光摘み取り園をスタートするのかは、栽培方法や経営の考え方によると思います。
観光農園の運営のための時間や労力が確保できるか。
初期投資が多い場合など、ブルーベリーでなるべく早く収入を得る必要があるか。
などなど・・・・
様々な要素を考慮して、それぞれのペースでスタートすればよいのではないかと思います。
私の場合は、なるべく早く自分のサービスを売るという経験をしたかったことが一番大きく、
最短の期間で、小規模ながら観光農園を始めることにしました。
実は、小規模でのスタートは、今思うと「やって良かった」ことの一つです。
自分の栽培したブルーベリーが「美味しい」「喜んでもらえた」「お金を払ってでも欲しいと思ってもらえた」という実感のようなものを得ることができたためです。
特に、自分のビジネスを立ち上げて、自分の商品やサービスをつくり、それをお金を払って、買ってもらった経験の少ない人(私もそうでした)は、小規模スタートはおすすめです。
極端な話、観光農園でなくても、実の販売でも、苗木の販売でも何でもいいですが、なるべく早めに、自分のサービスや商品を販売するという経験をすることが大切です。
お客様の反応や生きた情報も経験として得られますし、
何よりも、自分の商品・サービスは、喜んでもらえるという「確信」のようなマインドを得ることが、その後にとても重要だと思っています。
いろいろと戦略を考えるのはもちろん大切ですが、実際にやってみないとわからないこと、得られないこともたくさんあることがわかりました。
ブルーベリー観光農園オープンの時の価格設定
最初でも安売りや無料にはしなかった
開園当時は現在より2割ほど安い価格設定でした。
ブルーベリーの収量が少なめということから、もともと予定していた価格より少し下げ、オープン価格という形にしました。
理想を言えば、定価で始めることだと思いますが、当時の私にはそのあたりが限界でした(笑)。
それでも、最初でも決して安売りや無料にはしませんでした。
集客をするときは、対象を漫然と広くするのではなく、必ず想定する顧客を設定する必要があります。
全ての人のニーズを満たす商品やサービスは存在しないからです。
想定は、単に「家族連れ」とか「独身男性(女性)」とか単純なものではなく、
「40歳女性共働き、子ども2人、年収〇〇、◆◆が趣味、□□という価値観を大切にする生活をしている」など、より具体的である必要があります。
顧客層により、同じブルーベリー観光農園でも、大切にするものや施設のテイストがかなりかわってきます。
自分が目指したい商品・サービスの形や顧客の層によって、サービスの特徴「差別化軸」がかわってくるためです。
(↓商品の差別化軸について詳しく知りたい方は過去記事をご覧ください)
価格の設定によって顧客層は変わる
価格により顧客層は大きく変わります。
つまり、価格は、顧客の層を決定づける最も大きな要素の一つです。
無料や安売りをした場合、「無料だから」「安いから」という人が必ず含まれます。
もともと、そういった価格帯の顧客を想定していれば、問題ありませんが、そうでない場合は、
翌年などに価格を正規価格にした瞬間に、安さで来ていた顧客は来なくなる確率が非常に高くなります。
そのような理由から、最初でも、無料にしたり安くすることはしませんでした。
自分の商品やサービスでお金を頂くこと自体にもドキドキしているので、「最初だから」「知ってもらうため」という理由で、価格を下げたり、無料に逃げたくなってしまうことがあります(私もそうでした)。
しかし、ドキドキしながらも、今のレベルでも、喜んでいただき、しっかり自分が得たい価格(それに近い価格)でお金も頂けたという経験が大切だと思っています。
価格の設定についても「やってよかったこと」の一つだと思っています。
まとめ
いつから、ブルーベリー観光農園をオープンするかについては、特に正解はないような気がします。
それぞれの経営や栽培の考え方、生活スタイルにもよります。
しかし、私が実際に経験して感じたことは、
自分の商品やサービスを売った経験の無い人は、無理の無い範囲で、小規模でも早めに経験した方がいいということ。
それは、生きたお客様の情報や、自分の商品・サービスは、喜んでもらえるという「確信」のようなマインドにつながります。
その際の価格は、安売りや無料にはせずに、できるだけ正規価格に近いもので始めた方がいいということです。
それは、お客様に喜んでいただき、しかも、しっかり自分が得たい価格(またはそれに近い価格)でお金も頂けたという経験を得て、今後の集客につながります。
ブルーベリー観光農園や自分のビジネスを始めようという方の、少しでも参考になれば幸いです。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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