脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
今回はブルーベリー農園の始め方3回目「農地はどうやって確保するか。」についてです。
農地がなければ農業をはじめることも、ブルーベリー観光農園をつくることもできません。
最初は、40aほどからブルーベリー栽培をスタートし、現在は80aほどの農地でブルーベリー観光農園、ヘーゼルナッツ栽培をやっています。
来年はさらに10aほど、ハーブ園をつくる予定です。
いまでこそ、広大な農地で農業や観光農園をやらせていただいていますが、私は家族や親戚で農業をやっている人もいなく、サラリーマン家庭で育ちました。
しかし、全くつてのない土地で農地を探し、ご縁もあり、お借りすることができました。
私の体験を踏まえて書いてみたいと思います。
〇全くつてのない土地でどういう経緯で農地を確保できたか
〇農地を確保するためどういう工夫をしていたか
実体験で紹介します。
農地のあてが無いということは「場所に縛られない」ということでもある
正直、最初は「本当にみつかるのだろうか・・・・」という焦りもあり,家で農業をやっていたり、親戚などから借りることのできる人はいいなあ・・・とうらやましく思っていました。
しかし、今思うと、場所に縛られていなかったからこそ、理想の場所を選ぶことができたと思うのです。
具体的にいいますと、ブルーベリー栽培に適した土壌は、火山灰質などの水はけのよい土壌で、特にに「黒ボク土」とよばれる土壌が最も適しています。
(↑黒ボク土。水はけがよくブルーベリー栽培に適する)
私は、黒ボク土の分布している地域と観光農園というビジネスモデルから、農村を感じるスポットが多い長野県安曇野市の穂高地区を選びました。
また、子どもの頃からよく訪れていて好きな土地柄でもあったことも大きいです。
もし、実家などで自身が簡単に農地を確保できる条件があったら、苦労して、理想の地域を選んだかどうか、少し自信がありません。
「無かった」からこそ、苦労してでも理想の地域で農地を探そうと思い、それを実現できたのではないかと思っています。
もし、私のようにイチから農地を探すような方がいましたら、それは長期的にみればチャンスでもあると言えます。
市役所に「相談する」のではなく「地元の方につないで」もらう
市役所の人は農地をあまり知らない?
農地をさがす場合、市役所などの新規就農担当の部局が最初の窓口になることが多いと思います。
ここで大切なのが、
市役所で「相談」するのではなく、「地元の方につないでもらう」ように頼むことです。
自治体にもよりますが、よほど力を入れていない自治体でもない限りは、市町村職員はそもそも農地の情報自体を把握していないことが多いと思います。
最初私も、農地の相談にいったといに「なかなか無いですね~」と言われていましたが、
その後、希望する地区の農業委員会の会議に出席してお願いしたときは、全く違う反応で、農地を紹介していただけることになりました。
これには、実は、市役所の方も驚いていました(笑)
農業委員会は地元で農業をやっている方たちの組織なので、まず農地などの情報量が全く違いますし、耕作放棄地の問題などにも直接向き合っていますので、市の職員とはむいている方向が違うと感じました。
そして、市役所の「農地は無い」というのは正確に言えば「業務の範囲では農地は承知していない」という意味だと理解しました。
悪気はないと思いますが、ある意味、そのあたりが行政の限界かもしれません。
「農地は無い」というのを鵜呑みにせずに、農業委員会などの地元の方に近いところに、早めにつないでいただくのが良い方法だと思います。
決して、対応していただいた市の職員の方を非難しているわけではなく、むしろ感謝しています。
しかし、こういった立場や役割の違いの構図を理解した上で、できることをお願いした方が効率がいいと思います。
地元の方にお願いするときに工夫したこと
履歴&事業計画書を持参で説明
私が耕作を希望する地区の農業委員会で定期的に行われている会議に出席し、直接お願いすることになったときに工夫したことがあります。
それは、自分の履歴や農業経験、事業計画をまとめて、資料として提出したことです。
家族構成や年齢、職歴、農業経験(農業法人でも少し経験をつみました)、作物や規模などの事業計画をA4で1枚にまとめました。
農地を紹介する方も、万が一、放棄されたりなどが起こったら、紹介した方の信用にも関わります。
そのため、慎重になったり、不安になるとうことは、当然のことだと思ったので、
少しでも、情報をたくさん提供し、不安材料を少なくしたい、それから、口頭ではなく資料でも配布したのは、それを持ち帰っていただければ、それをみながら、所有者の方にも話がしやすいのではないかと考えたためです。
もちろん、市を介さなくても直接連絡がもらえるように、連絡先も記載しました。
最近になって、農地を紹介していただき、その後も大変お世話になっている農業委員さんから、当時のお話をお聞きする機会があり、
「直接お願いにきてくれたし、事業計画もしっかりしていたからね。」とのことでした。
これでよかったんだ・・・と確信をもった出来事でした。
もっと大事なのはお借りしてから「大切に管理すること」
まじめにやることで次の農地につながります
縁があって農地をお借りするなどができましたら、それからもっと大事なのは「大切に管理すること」です。
当たり前のことですが、その当たり前を確実にやっていくことで、近隣でまた農地を追加でお借りしたりといったことにつながっていきます。
(↑2021年に追加でお借りした農地に植えたブルーベリー)
真面目にやっていけば、次の農地からはとてもハードルが下がります。
まとめ
まとめますと、私の場合は
①市役所から地元の方へつないでもらう
②自身の履歴や事業計画資料を持参して地元の方へ説明
③お借りした土地は、大切に管理する(次にもつながる)
という流れでやってきました。
実際には、②の方法がわからなかったので、①のところで足踏みしている時間が少し長かったかもしれません。
③もすごく大切だと思っていて、信用していただければ次の農地にもつながります。
一方、規模を大きくする場合でも。確実に管理できるよう無理に拡大しすぎないことも大切です。
なお、動画でもお話していますので、興味のある方はご覧ください。
紹介していただいた農業委員さん、土地の所有者さん、市の職員さんなど、関係していただきた方には本当に感謝しております。
これから、新規就農される方などの少しでも参考になれば幸いです。
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