ブルーベリー「ど根性栽培」~植え付け6年目へ~vol754

ブルーベリー
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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

有機JAS認証を取得した「オーガニックブルーベリー」を栽培しています。

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ブルーベリーの森あづみのでは、ブルーベリー「ど根性栽培」という方法で、ブルーベリーを栽培しています。

2024年で、植えつけてから6年目(収穫を始めてから4年目)になります。

これまで、実践してきたことを振り返ってみました。

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ブルーベリー「ど根性栽培」とは?

「ど根性栽培」とは、千葉県木更津市でエザワフルーツランドというブルーベリー農園を営んでいる、江澤貞雄さん(日本ブルーベリー協会会長:2024年1月時点)が提唱している栽培方法です。

以下のような特徴があります。

  • 植え床作りはしない(大地に直接植える)
  • 植え付後水やりをしない(してはいけない)
  • 肥料はたくさんやらない(1年目から育てようとしない)

(出典:エザワフルーツランド公式WEBサイト:https://www.ezawafl.com/#dokonjo

ど根性栽培の植え付け等については、日本ブルーベリー協会の公式WEBサイトなどでも紹介されています↓

もともと、農協の営農指導員をされていた江澤さんが、1983年頃、当時ではまだ日本ではめずらしい作物であったブルーベリーと出会い、自身もブルーベリー農家となり、数々の失敗を経て、たどりついた栽培方法とのことです。

江澤さんの著書にもありますが、上記のポイントのほかにも、水はけの良い火山灰質の土壌などの適地を選ぶことなど、いくつかポイントがあります。

使用する資材も少なく、「ローメンテナンス」なことも特徴です。

私は、県の職員を辞め、自分で農業を始める前に、一年程、農業法人の社員として働いていました。

そこでの栽培は、ポットでの施設栽培が中心だったので、もう少し違うアプローチで栽培をしたいと考え、独立にあたっての栽培方法を模索していました。

その頃、たまたま、近所の書店で江澤さんの著書「高糖度、大粒多収 ブルーベリーをつくりこなす(農文協)」を手に取ったのがきっかけで「ど根性栽培」を知りました。

その後、江澤さんに直接教えを乞い、2019年から、実際にラビットアイ系品種のブルーベリーでど根性栽培を始めました。

2024年で植え付け6年目となります(収穫を初めてからは4年目)。

およそ5年の振り返ってみると、率直に言えば、「手ごたえ」を感じています。

まだまだ、ブルーベリーの樹は若いですが、品質・収量ともに経済栽培ができる水準には達し、収量は年々、増え続けています。

ど根性栽培、植えつけた2019年から2023年まで

「ど根性栽培」1~2年目はゆっくり成長(2019~2020)

(植え付け直後。どこにブルーベリーがあるのか、わからないくらい小さいです)

エザワフルーツランドから購入したラビットアイ系品種のブルーベリーを植え付けてから2年くらいは、成長は非常にゆっくりでした。

1年目などは、ちょっとだけ伸びた枝を、切り詰めて剪定したら、もとの大きさに戻った感じでした(笑)。

(ゆっくりですが、着実に成長してきました)

それでも、地下部はしっかり根を張ってくれたのかもしれません(掘って根をみてないので、正確にはわかりませんが)。

2年目の途中くらいから、急にいい新梢(シュート)が伸びることが増えてきました。

(だんだんいいシュートが伸びるようになりました)

このあたりから、成長速度が上がってきました

水は植えつけ時も含めて、全くやっていませんが、枯れたものは、ほぼありませんでした。

ラビットアイ系ブルーベリーの樹勢の強さを感じました。

「ど根性栽培」3年目は半分くらいの樹を収穫しました(2021)

(プレオープンの年)

ブルーベリーを植えつけてから、2年間は、実をつけないようにしていました。

3年目に、成長の比較的よい樹を、本数で言えば半分くらいの樹を収穫し、プレオープンという形で、観光農園も始めました。

無理をさせないように、したつもりでしたが、今思うと、やはりちょっと樹が小さかったようにも見えます(笑)

実をつけたら、成長速度が鈍るか心配でしたが、最初から成長がよかった樹は、実をつけても、あまり関係なく、その後もどんどん成長してくれたように思います。

この頃は、圃場が増えてきた時期で、植樹体験などをやりながら、新たに、ブルーベリーの森が増えていきました。

2024年からは、この年植えたブルーベリーの一部も収穫が始まります。

「ど根性栽培」4年目は、収穫できる樹が増えました(2022)

4年目(収穫2年目)は、ほとんどの樹で収穫できるようになり、1本あたりの収量も増えました。

収量が増えたことで、前年より、長く営業することができました。

コロナの影響が少しずつなくなってきて、県外のお客さんが増えてきたと感じました。

前年は、営業をスタートして運営するのに精いっぱいで、品種の特徴がよく理解できないままシーズンが終わってしまったのですが、この年から、品種の特徴が少しずつわかるようになってきました。

産直サイトなどでの通信販売も始めたのもこの頃です。

「ど根性栽培」5年目は、収量も売上も大幅に増えました(2023)

「ど根性栽培」で使用する資材は「菜種油かす(肥料)」「硫黄粉(酸度調整と獣よけ)」、「木材チップ(マルチング)」です。

これまでも菜種油かすは、かなり少量でしたが、メインで栽培している圃場では、成長がよく、問題なさそうだったため、試行的に油かすは全く散布しませんでした。

(菜種油かす。使用する場合は、国産の圧搾抽出の資材を使用しています)

「硫黄粉」はもともと植え付けの時以外は散布しておらず、

一昨年から、マルチングの木材チップは足さずに、替わりに下草の牧草を大量に刈り取りながら伏せて、「草マルチ」にしていました。

つまり2023年は、外部から持ち込む、資材は全く足さずに栽培していたこととなります。

それでも、5年目となるこの年は、前年比からは、およそ2倍程度の収量となりました。

今後、どうしていくかは、生育の様子や各種データみながら検討していくという感じになるかと思います。

どの栽培方法も、そうだと思いますが、土壌などの環境は圃場によって違うので、当然ながら資材は状況にあわせて調整することになります。

コアな部分は外さないようにしつつ、自分の圃場にあったカスタマイズは必要です。

数年前に江澤さんに施肥量などを相談したときも、やはり同様の主旨のことをおっしゃっていました。

昨年から今年にかけて、いくつかの「ど根性栽培」の圃場を見る機会がありましたが、やはり条件は様々だと感じています。

一番影響のある違いは何なのか、少しだけ思い当たる内容があるのですが、まだ確信を持てていないため、さらに調査して、確信をもってから、また、ブログなどに記載したいと思っています。

(2023年のプレオープンした、山梨県北杜市のSHIZENブルーベリー園。「ど根性栽培」仲間の友人がやっています)

この年は、ブルーベリー狩りのお客さんの数も、産直販売の注文数も大幅に増え、それらの収量調整が難しかった面もありますが、どうにかバランスがとれて、ほぼ売り切り、ロスも少なく、ブルーベリーを活かしきることができたと思っています。

NHKの「趣味の園芸」という番組で、江澤さんの「ど根性栽培」と木更津市での取り組みが紹介されることとなり、それに付随して「全国各地の取り組み」としてうちの農園も紹介していただきました。

これまで現代農業などの雑誌には何回か、掲載していただいていますが、

TVは初めてで、すごく緊張していましたが、うまく編集していただけてよかったです(笑)

天候にも恵まれたこともあり、収穫期間もかなり長くなり、9月末くらいまで収穫していました。ブルーベリー農園の営業期間も大幅に長くなりました。

生業としての、目途も立った年でもあり、栽培開始以来、初めてホッとしたというのが正直なところです。

「ど根性栽培」6年目の2024年にむけて

最近は、うちの農園にも、県内外から見学にこられる方も、けっこう増えてきています。

私は、自分が興味ある栽培方法や作物等については、なるべくなら、見学をさせて頂き、実践者の方に直接お話を聞いた方がいいと思っています。

そのため、可能な限りは応じています。

著書やその他の媒体などの情報も、もちろん、完璧に表現できるわけではないので、一定の確率で誤解を生んだりします。

実際に実物を見ながら、実践者にお話しを伺うと、今はアップデートされている情報あったり、その人の著書などで自分が理解していたニュアンスと微妙に違うこともあります。

また、実践しながら、やっと理解ができることも結構あります。(やっていくうちに、逆にわからないことが増えていくことも多々ありますが・・・)

そういう意味でも、栽培を始める前に、江澤さんに直接お話をお聞きできて、その後も相談させていただいているのは、本当にありがたいことです。

ブルーベリーにも様々な栽培方法があるかと思います。

おそらく生産者は、その中から、自分の考え方やビジネスモデルに最もあった方法を選んでいるのではないかと思います。

あくまで私の場合ではありますが、「ど根性栽培」でラビットアイ系品種のブルーベリーを育ててみて、本当によかったと思っています。

多くの収量が得られるまでの成長速度は、決して速くありませんが、ブルーベリーが適応して、成長していく様子、ブルーベリーがとても美味しく、毎年増えていくのが、本当に楽しいからです。

まだまだ、ブルーベリーの樹は若いですが、品質・収量ともに経済栽培ができる水準には達し、ブルーベリーの生育ステージ的にも収量は年々、増え続けています。

また、資材もごくわずかで、エネルギーも費用も非常にミニマムのように思います。

前述の「ローメンテナンス」という言葉は、NHKのTV撮影の時に、プロデューサーの方が注目していた内容であり、番組や趣味の園芸のテキスト(雑誌)にも使われていました。

「ど根性栽培」に、わりとしっくりくる表現だと思いました。

生産分野は、ブルーベリーがとても、がんばってくれているので、それを、どうやって活かしていくのかは、私の仕事だと思っています。

今年も収量が増えそうなので、また全数を売り切ることができるかちょっとだけ、心配な面もありますが、新年の今から、とても楽しみです。

 

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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