脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
ブルーベリーの森あづみのでは、ブルーベリーはもちろん、園内で栽培している果実も含めて無農薬で栽培しています。
無農薬栽培というと「食の安全性」をイメージされる方も多いと思います。
これについては、賛否両論あるのも事実で、さまざまな対立論を目にする機会も多いです。
もちろん、より安全性の高い作物を作りたいという思いはあるのですが、最大の理由は実は別のところにあります。
自然や生物が本来もっている力、仕組みを壊したくないから「無農薬」
無農薬栽培を徹底している一番の理由は、「自然や生物が本来もっている力や仕組みを壊したくない」からです。
栽培という行為は、特定の作物得ることを目的としているので、自然な状態の植物や環境とは、目的を設定時点で異なります。
しかし、自然の力を完全に再現することは科学技術はできないので、少なからず「自然の力」をお借りすることになります。
栽培方法の違いは、人為的な関与の違いともいえるかもしれません。
私は、作物が自然環境の中で様々な生き物と関わり合いながら生育していく様子を感じること、そして誰かにその収穫物を喜んで食べていただける瞬間が、農業をやっていて一番幸せに感じます。
そのため、生物同士のつながりや自然の本来の力を損なう可能性をもつ行為は自然と避けたいと思うようになりました。
特定の害虫や病気に作用する薬剤であっても、それに関連した生物のつながりなどが立たれたり、発見されていない生物どうしのつながりに影響することが心配です。
そのため、栽培品種でもなるべくワイルドな原種よりの品種を選んだり、現状では無農薬での栽培が実現していない作物や作型ではそもそも栽培しないようにしています。
農薬よりも自然の力はもしかしたら合理性もあるのかもしれない
ブルーベリーは、工夫をすることで今のところ無農薬で問題なく栽培できています。
その他の果物なども、今のところ問題ないように思います。
観察をしながらよく考えるのですが・・・
あまり環境を壊さなければ、害虫も病気も、そう簡単には広がらないのではないかということです。
たまにみかけるガの幼虫なども、いつの間にかいなくなって(多分食べられて)しまっているようです。
ときどきみつけて、少し離れた場所に置くときもあります。
「戻ってくるから、必ず捕殺する」ということが防除の基本のようですが、
無事に戻ってこれたのを見たことがありません。
(↑シャクガ(しゃくとりむし)の幼虫。映画「タイタニック」のワンシーンのようです。)
別の場所で雑草を食べているのか、途中で食べられてしまうのかわかりませんが、いずれにしても、害虫も生き残るのは大変なことのようです。
ガの幼虫がさなぎになれるのはわずか0.2%ほどなので、当然のことかもしれません。
特にクモ類に顕著ですが、天敵となる生物は農薬によりいなくなってしまうので、それも避けたいため農薬は使わないようにしています。
(↑寄生バチに寄生されたベニシジミの幼虫。蛾や蝶の幼虫は常に危険にさらされています。)
ブルーベリーは本来は酸性度の高いやせ地で生育するツツジの仲間が原種の植物です。
栄養分の乏しい酸性土壌という過酷な環境で生きるために菌根菌との共生という方法を取得し、現在でもかなり肥料要求の少ない作物です。
ブルーベリーが本来もっている菌根菌との共生という仕組みにも影響を与えたくありません。
そして、それらは結果として、防除や肥料の労力や資材を少なくしています。
もしかしたら、自然の力を活かすことは、一番合理的なしくみなのかもしれません。
(↑ハナグモ。ブルーベリーの樹には数匹のクモが住んでおり、害虫を狙っています。)
「分離ではなく統合」を大切にしたい
以上の理由で私は無農薬で育てています。
無農薬は目的ではなくて、大事にしているものを追求してく過程での手段であり結果でもあります。
しかし一方で、それを誰にも押し付けたくないと思ってもいます。
大事にしたいことはそれぞれであり、農法や安全性などをめぐり批判しあっているのをみかけると悲しくなってきます。
批判ではなく、自分が大切にしていることを、楽しそうに実践していくことで、共感していただける人が増え、広がっていったり、意見が異なるとしても尊重しながら共存できれば本当に幸せだと思っています。
「分離」より「統合」を大切にしていきたいです。
それが「自然な」形でもあるからです。
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