脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
有機JAS認証を取得した「オーガニックブルーベリー」を栽培しています。
今年の夏は、「とっても暑くて、雨が少ない」という印象でした。
ブルーベリーに大きな被害はありませんでしたが、今後も気になるこの気候。
しかし、そもそも、私の感覚「とっても暑くて、雨が少ない」という認識が正確であったのかを検証してみました。
気象庁の統計データから検証
気象庁のホームページに公表されている、気象データ(観測所名:穂高)を用いて、検証しました。
解析にはMicrosoft ExcelのX.SET関数で計算し、分析ツールで検算しました。
2023年の7月は暑かったけど雨は並
7月は、前年までの10年平均(以下、便宜上「平年」と記載します)と比較して、平均気温は高く、降水量は少ない数値となりました。
統計的に意味のある差(有意差)は、平均気温のみに確認することができましたので、
2023年の7月は暑かったけど降水量は並と言えます。
2023年の8月は暑かったけど雨は並
8月は、平年と比較して、平均気温は高く、降水量は少ない数値となりました。
統計的に意味のある差(有意差)は、平均気温のみに確認することができましたので、
2023年の8月も暑かったけど雨は並と言えます。
2023年の9月は暑くて雨も少なかった
9月は、平年比較して、平均気温は高く、降水量は少ない数値となりました。
統計的に意味のある差(有意差)は、平均気温と降水量の両方に確認することができましたので、
2023年の9月は暑く雨も少なかったと言えます。
9月は本当に雨が少なかったのか?!
9月のみ、雨も少ないという結果でしたが、なんとなく違和感がありました。過去に同じように雨が少ない年もあったような気がしたからです。
そのため、9月の降水量をグラフ化してみたところ、3~5年周期で雨の少ない年が発生しているように読み取れました。
今度は、5年毎の平均値同士を比較してみたところ、5年周期単位でみると、有意な差は確認できませんでした。
全体の平均値で比較すると、傾向がわかりにくい場合もあるので、その場合は区切って検討すると新たな傾向が見える場合があります。
これをデータのスライシングという言い方をすることがあります。
以上のことから、確かに今年の9月は雨が少なかったけれど、9月はもともと周期的に雨が少ない年があるため、それ自体は珍しい現象ではないと考えられます。
2023年7月~9月のまとめ
7月、8月、9月は、平年よりも、統計的にみても気温が高く、暑い夏であったと言えます。
降水量は、7月、8月は平年並み。9月は平年より少なかったが、もとも周期に雨が少ない年があり、珍しい現象ではないと考えられます。
暑くて雨が少ない印象がありましたが、真に「異常気象」と言えるのは、高温であったことだと考えられます。
ブルーベリー栽培への影響
品種により、実にシワができる被害が見られましたが、全体では被害は限定的で、収量に大きな影響はありませんでした。
うちの農園は、草生栽培でやっていますが、乾燥防止のため、例年よりは、株周りの下草を多めに残したことや耐暑性の強いラビットアイ系品種の特性もあったように考えられます。
ラビットアイ系比較すると耐暑性の劣るハイブッシュ系にも、水切れなどの発生はなく、実にも影響は見られませんでした。
ハイブッシュ系は、もともと趣味でポット栽培していたものを移植したもので、植えた年の夏に少し水切れで地上部が枯れたことがありましたが、その後は発生しなくなり、今年の条件でも大丈夫で、いい意味で意外でした。
気象について今後考えられること
2023年に気温が高いというのは確かに、「異常気象」でした。しかし、気温の上昇傾向は続いており、今後も、気温が高い年と、雨が少ない周期と重なると、乾燥による被害が発生する可能性があると考えられます。
今のところ、うちの農園のブルーベリー栽培、特にラビットアイ系は問題なさそうです。
しかし、作物などによっては(うちもブルーベリー以外もいろいろやってます)、灌水も想定はしておく必要があるのかもしれません。
短期的には、あらかじめ灌水の作業工程を組み込んでおく。
中長期的には、作物によっては灌水設備の整備の検討、耐暑・耐乾性のある作物や品種への転換の検討も必要なのかもしれません。
統計は「あるがままに受け止める」ため
もしかしたら、「そりゃそうだろ!」という内容だったかもしれません(笑)
一方で、私も含め、ほとんどの人は、経験による思い込みや偏見・色眼鏡で物事をみてしまいます(心理学的には「認知バイアス」といいます。)
それがある程度正確である場合もありますが、不正確である場合もあります。
私は、実は、物事を決断するときは「勘」みたいなもので判断することも多いのですが、最終的な検証は数値をかなり大切にしています。
なるべく、ニュートラルに、正確に、結果を受け止めて、次につなげたいという思いがあるためです。
単に「統計マニア」だという部分もあるかもしれませんが・・・
(この記事の参照データ)
- 気象庁WEBサイト(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php)観測所名「穂高」
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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