【雑草のはなし】脱サラ元公務員の農園日記vol.8〜ひきよせ農業~

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 脱サラ元公務員、いまは、長野県の某農業法人にて、ブルーベリーの栽培をやっております。まして、現在は独立し、就農しております。かんざきたつやです。子どもたちが笑顔になる観光摘み取り園をつくるべく、日々、まい進しております。

 

今日は、雑草の話を書きたいと思います。

 

「雑草」とは、何でしょうか?デジタル広辞苑には、以下のように書かれています。

1自然に生える、いろいろな草。また名前も知らない雑多な草

2農耕地や庭などで、栽培目的の植物以外の草

3生命力・生活力が強いことのたとえ。「雑草のようなしたたかさ」

 

1の名前も知らない雑多な草は、ちょっとひどい気がしますが、農業の立場からすると2の栽培目的の植物以外の草であると言えると思います。私が前職で専門としていた林業の世界では、造林した木以外は雑木と呼んでいました。林業で育てる木以外の木であり、同じ使い方です。作物以外の植物のことですね。

 

「農業は、雑草との戦いだよ。」という声は、周りで畑をやっている人からよくききます。一般的には駆除すべき対象であるから、多くのひとは畑の雑草を必死になって駆除しています。

また、「上農(上級の農業者)は、草を見ずして草をとる。中農(中級の農業者)は草を見て草をとり、下農は草をみて草をとらず」といったことわざまであり、「あそこの畑は草だらけだ。」とか、草をとらないのは、なまけものの象徴のような扱いをうけることも多々あります。

 

しかし、私は、雑草が好きなのです。

 

理由は、いろいろあるのですが、作物が育つうえで、重要な役割を果たしているためです。また、雑草には、その場所(土)いろいろな情報がつまっており、おもしろいからです。

 

例えば、雑草が茂っている場所は、多くの場合、メヒシバ、エノコログサ、スズメノカタビラなどのイネ科の草本が目立つ場所が多いと思います。これらの草本は、比較的根が深く張るため、排水性をたかめることができます。根が地中深く進入し、植物が枯れれば、根もまた、腐り、地中の穴は、水のとおり道であったり、ほかの植物が利用することもできます。また、多くの種類でケイ酸(Si)を多く含むことから、地上部が枯れれば、ケイ酸(Si)を供給されます。

 

スギナなどは、いわゆる「つくしんぼ」を食用にすることもありますが、酸性の土壌に多く生える植物で、地下茎(地中の茎)を広げて群生するため駆除が難しく、また、酸性とうイメージから、植物を育てている人からは嫌われることが多いです。しかし、スギナ自体が、土壌を酸性化するわけではなく、むしろ、カルシウムを多く含み、スギナが枯れると土壌にカルシウムを供給し、土壌を中和し、多くの植物が生育できる環境を作ってくれます。そして、スギナ自身は、土壌が中和されることで、少しずつ絶えていきます。また、光合成によってできたカルシウムは、石灰由来のものと異なり、ペクチン酸カルシウムという、生物が吸収しやすいカルシウムだそうです。

スギナの話は、主に循環農法を実勢している大分県の赤峰 勝人氏の著書「ニンジンから宇宙へ」((株)なずなワールド)に書かれていた内容の抜粋ですが、同様の主旨のことが、オーガニックガーデンのコンサルや造園業を営む曳地トシ氏・曳地義治氏の著書「雑草と楽しむ庭づくり」(築地書館)にも記載がありました。

この話を読んだときに、私は涙がでました・・・。この世界に不要なものはないんだな・・・。と思った瞬間でした。

 

(庭のスギナ)

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しかし、条件によって、作物と競合するため、雑草を抜いて駆除したり、刈り取って、草勢を弱めることが必要となります。しかし、それは必要な範囲に留めておくことが望ましいと考えています。雑草帯を残しておけば、害虫の天敵の住処になります。刈り取った草などは、草のマルチとして畑に敷き詰め、また、畑に還すようにしています。堆肥化して土壌を豊かにしてくれるほか、敷きつめた草の下には、クモやゴミムシなどの住処になり、蛾の幼虫などの害虫を食べてくれます。

 

(草のマルチング)

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また、畑の雑草も、畑の状態とともに変化します。最初は、土も肥えておらず、ギシギシ、スギナ、ハハコグサなどが生えていますが、土壌が豊かになるにつれて、アカザやカラスノエンドウ、スベリヒユなどが増えてきます。されらに土が豊かになり理想的な状態になれば、ナズナやハコベ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリなどが増えてきます。

家でも仕事でも草取りをするときは、その草が生えている場所の状態を想像しながら草をとるのが意外と楽しく、実は、草取りは嫌いではないです。仕事で、作業を急がされているときは、別ですが・・・。

 

畑や庭に生える雑草の種類はそんなに多くないので、名前を覚えれば、名前も知らない草ではなくなり、また、その役割もわかってくると、愛おしくなります。雑草の魅力・・・半端ないっ!

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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