脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
有機JAS認証を取得した「オーガニックブルーベリー」を栽培しています。
ここ数年の9月は「暑い」「雨が少ない」という印象をお持ちの方も多いのではないかと思います。
私もブルーベリーシーズンは屋外にいることの方が多いので、体感としてはそう感じています。
データ的にみた場合、実際のところはどうなんでしょうか?
今回は、気象庁の観測データを元に2024ブルーベリーシーズン(概ね8月から9月)の気候(気温と降水量)の振り返りを書いてみました。
なお、この記事では、気象庁の公式WEBサイトの気象データ(観測所「穂高」)を元に検定と解析をしています。
検定方法は、t検定(片側検定、両集団の分散が等しくないと仮定、有意水準5%)を用いています。
2024年9月の気候
9月の気温
過去10年の平均(2013年~2022年)の平均と比較すると、以下の値でした。
- 平均気温24.1℃(過去10年平均は20.5℃)
- 最高気温30.2℃(過去10年平均は26.0℃)
- 最低気温20.1℃(過去10年平均は16.4℃)
いずれの数値も、過去10年平均より統計的に有意な差(偶然ではない差)があるものでした。
気温は、過去10年平均、5年平均いずれと比較しても高く、明らかに温暖化の傾向が見られます。
「暑い9月」というのは間違いないようです。
9月の降水量
降水量は、10年平均と比較すると以下の数値でした。
- 50.5mm(過去10年平均は141.2mm)
降水量は、過去10年平均と比べ、有意に少ないという結果になりました。
しかし、9月のデータをよく観察してみると、9月はもともと、降水量自体にばらつきがあり、概ね5年程度で、周期的に雨が少ない年が見られます。
今年のように雨が少ない年が、一定周期で現れること自体は、珍しい現象ではないようにも見えます。
2024年は、雨が少ない年でしたが、長期的にみて、雨が減っているとは、言い切れないのではないかと思われます。
このように、データを区切って検証するのを、データの「スプライシング」と言います。
平均だけでは、よくわからない傾向がわかる場合があります。
2023年と比較した場合
2024年9月は2023年と比較すると、気温も降水量も同水準という結果になりました。
昨年に引き続き、暑く、乾燥しやすい9月であったと言えます。
年々、後半に収穫できる品種の収量が増えてきているのもありますが、昨年と同程度の期間を収穫することができました。
気温がブルーベリー栽培にもたらした影響
ブルーベリーの森あづみので栽培しているブルーベリーの品種系統は9割以上ラビットアイ系ブルーベリーです。
ラビットアイ系ブルーベリーはもともと暖地向けの品種なので、ブルーベリーの中では暑さや乾燥には比較的強い品種系統です。
ラビットアイ系ブルーベリーの場合は、むしろ、秋に入り、気温が低かったり、日照不足で実が甘くならないことや雨で実が痛むことの方が懸念されます。
2024年の9月は、そういった心配が少なく、8月よりは和らいだ気候が、観光農園としても、良い条件になっていました。
2024年9月の気候まとめ
2024年9月の気候は、暑く雨が少ない年であったと言えます。
しかしながら、近年の降水量を周期的にみると、降水量が少ない年があるのは、もしかしたら普通なことなのかもしれません。
そういう意味で真に異常気象だったのは「暑さ」だったのかもしれません。
しかし、そのような気候であったが故に、ラビットアイ系ブルーベリーの実が熟する条件としては好条件で、比較的長く収穫できていました。
「温暖化」のいろいろな側面
地球の「温暖化」を現場でもデータでも感じることが多くなりました。
環境への影響という面では、もちろん心配です。
しかしながら、ある意味では9月の気温が高く、降水量が少ないという条件であったからこそ、ラビットアイ系ブルーベリーが比較的長く収穫できているとも言えます。
植物の生育は、様々な生き物の関係でなりたっているので、ある側面だけを見て、本当にいいのか、正直なところ、わかりません。
少々、複雑な心境です。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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