脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
私は「ど根性栽培」とい江澤貞雄さん(千葉県木更津市エザワフルーツランド)が提唱している栽培方法でブルーベリーを育てています。
(ど根性栽培については、過去記事などをご覧ください↓)
今回、久しぶりに少しだけラビットアイ系ブルーベリーを植えました。
「ど根性栽培」の植え方としては変わっていませんが、
実践しながら自分なりに細かいところを少しアップデートした部分もあるので、現在やっている植えつけ方などを紹介したいと思います。
植え付ける前にまずは・・・調査!
まずは何よりも水はけ
植えつけ場所の地形や土壌を調査します。
土壌の成分分析をするわけではありませんが、主に水はけと土壌酸度をチェックします。
この辺りの土壌は火山灰質の「黒ボク土」であることから、基本的には水はけが良い土壌です。
しかし、地形やこれまでの農地の使用方法によっては、部分的に水はけが悪くなる場合もあるので、確認します。
栽培していた場所と違い、農道や隣接する農地から、少し低い位置の農地なので、もしかしたら少し水がたまりやすいかもしれないと思いましたが、
これまで、かなり雨が降っても水がたまったのをみたことがないこと、から水はけは問題ないと思われます。
今朝も朝方まで降っていましたが、水が全く溜まっていませんでした。
浸透試験をやる時もありますが、今回は省略しました。
(↓別の場所で浸透試験をやった時の動画です)
土壌酸度もチェック
比較的高めの弱酸性でした。
ブルーベリーの最適なpH(土壌酸度)は
ハイブッシュ系品種でpH4.3~4.6
ラビットアイ系品種でpH4.3~4.8
※ラビットアイはpH4.3~5.5という説もあります。
と言われています。
土壌酸度は、pH6.0を少し切るくらいでした。
野菜などにはそれなりに良いですが、ブルーベリー栽培には少しpHを下げる必要があります。
ラビットアイ系なら、酸度調整しなくても育ちそうですが、
今のところ、植え付け初期は基本的に酸度調整をしています。
土壌の深部のチェック
土壌の「やや深部」も大切です。
この場所は、もともと野菜畑だった場所であり、おそらくトラクターによる慣行農法だったので、硬盤層ができている可能性があります。
硬盤層は、トラクターなどの接地圧などによってできると言われています。
石灰資材の化学肥料などが堆積し、土が固く、根が張りにくい層です。
(あるいは化学肥料そのものが、硬盤層の原因ともいわれたりと、諸説あります)
硬盤層は水はけが悪く、根が伸びられず、根が無いということは微生物も少ない層です。
草生栽培を何年か続けているうちに、イネ科草本などの根がだんだんと層を壊すため、徐々に解消されていきますが、時間がかかるケースもあります。
あまり浅い位置にこの層があると、初期成長を妨げ、生長が悪くなる要因なります。
私は軸長35cmのマイナスドライバーを差し込んでみて簡易的にチェックしています。
これまで、いろいろな場所で調べてみましたが、硬盤層ができている場合は20cm以内にできている場合がほとんどでした。
たとえ大型機械であっても耕せる深度がそれくらいだからだと思います。
大型機械で頻繁に耕起して、いつも草が少ない、いわゆる「綺麗な畑」は、硬盤層ができていることが特に多い印象でした。
逆に、耕作放棄地だった場所や、数年耕していない一角の方が、草が深くまで耕しているのか、 硬盤層がはっきりとは確認できなかったりすること多いように思います。
今回の場所で数か所確認すると、ほとんど抵抗がなく、30~35cm突き刺すことができたため、
前作が慣行的な栽培のケースの初期状態としては、かなりいい方だと思われます。
前作は野菜畑でしたが、あまり頻繁に耕していない、隅の方だったことが幸いしたのかもしれません。
植える場所の位置だし
土壌の確認を終えたら、位置だしをします。
私は株間2m×列間3mで植えています。
外周には乗用モアの旋回できる幅なども考慮し、配置を決めます。
広い面積で植える場合は、もう少し角の直角なども、正確に出しますが、
今回は、株数が少ないので、巻き尺とポールだけで、簡単に出しました。
アナログ測量ですが、この辺りは、長年、森林の測量をやってきた勘が役に立ちます。
久しぶりにブルーベリー定植~ど根性栽培(ラビットアイ)~
①植穴づくり
植穴部分の草などを唐鍬で、除きます。
草を除かずに掘っても植穴はできますが、草が植穴のなるべく混入しないように、最初によけておきます。
最初の頃は、後述する木材チップの敷設範囲まで草を除いていましたが、最近は、植穴周辺だけにしています。
木材チップをかけると、草は枯れてしまうので、植えるのに影響のある範囲でも問題ないと思うようになりました。
12cmポットが収まるだけの穴を唐鍬で掘ります。
穴が小さいので、移植ごてサイズのスコップでも掘れます。
植樹体験の時は、移植ごてサイズのスコップでやりました。
深植えにならないように、やや根鉢の高さより浅いくらいにしておきます。
②植え付け
植穴に苗を入れて、隙間が無いように土を戻します。
深植えにならないように、やや根鉢が出ている状態から、踏みながら押し込む感覚で植えています。
裸苗ほど、乾燥に対して鎮圧に気を使う必要はないかもしれませんが、足で踏んで、しっかりと鎮圧し、土と根鉢の隙間がないようにします。
植えつけた後は穴を掘るために、よけておいた支柱をたてます。
西側にたてると、強い西日(苗が弱る)を少し遮ってくれるらしいので、西側にたてています。
この支柱をたてる位置を意識して植えつけることも大切です。
苗が斜めになっていたり、偏心しているときは、西よりに先端がいくように植えます。
こうすることで、支柱に誘引し、垂直に近い樹形に誘導することができます。
このとき根鉢は少し傾いたとしても、問題ないと思います。
樹形を立てながらしっかり固定できることが優先です。
③酸度調整と施肥
植えつけたら、硫黄粉を散布します。
念のため、少し根鉢から離すように散布しています。
硫黄粉の量は、お椀1/2杯分(約100g)としました。
現在の土壌のpH | 砂土 | 壌土 | 埴土 |
4.5(目標) | 0 | 0 | 0 |
5.0 | 20 | 60 | 91 |
5.5 | 40 | 119 | 181 |
6.0(植え付け時) | 60 | 175 | 262 |
6.5 | 75 | 230 | 344 |
7.0 | 95 | 290 | 435 |
(ブルーベリーをつくりこなす(江澤貞雄、農文協)P54表3-1を参考に作成)
この表は本来であれば、10aあたりの散布量(kg)を示すものですが、ブルーベリーの株回りの散布範囲が約1m2なので、株回りの散布量(g)として適用しました。
計算上は1杯(約200g)程度でも良いようにも思いますが、
もともとの測定機器の精度が+-0.5程度であること、
硫黄粉は半年から1年くらいで聞き始めて、比較的長く効いてくるので、様子をみながらの加減する方がよいと考えました。
さらに、菜種油粕もお椀1杯程度(約180g)散布します。
秋に散布することで、春から分解されます。
④木材チップマルチング
木材チップでマルチングをします。
保湿や夏期の防草対策はもちろん、
微生物や天敵などの住処などにもなります。
1株あたり、20Lのペール缶を4杯分、計80L敷設します。
均すとだいたい直径80cm程度の円形で厚さ10~15cmのマルチングができあがります。
水やりはしませんが、木材チップマルチと草生栽培で十分です。
木材の種類により、生長阻害物質が出て来る場合(スギは少ない)
あまりに生だと発酵してくることもあります。
私の場合は、杭などを加工する際に発生する木材チップを使用しているため、
すでに一定期間残置され、乾燥された木材(材質はカラマツ)であることから、あまりこれらの心配はないと思います。
しかし、念のため、できるだけ、使用前に半年程度はおくようにしています。
おいておくと、水分を含んでだんだん重くなってしまうのが、ちょっと難点です。
⑤支柱へ誘引
最後に、支柱へ誘引します。
最初は麻紐を使っていましたが、最近は、梱包用の「紙紐」を使っています。
安価で意外と丈夫で、使い終わったらそのまま土に還るので便利です。
麻紐より伸びないので、樹が大きくなる前に忘れずにはずすようにします。
樹が小さくても、風にあおられると、根が傷んでしまうので、冬や春先の風対策として有効です。
また、樹をなるべく垂直に立てることで、植物ホルモンの活性化を促し、生長をよくする効果もあるようです。
以前、参加した道法正徳さんの道法スタイルの講習会で学びました。
久しぶりに植えたら・・・ちょっとしんどかった
かなり久しぶりにこの作業をやったので・・・
少ない本数だったはずなのに、ちょっとしんどかったです(笑)
ここ数年は、手伝ってもらったり、植樹体験で植えていただいたりすることが増えましたが、
始めた頃は、一人でたくさん植えていました。
今はいろいろな意味で本当にありがたく、楽しいです。
(参考文献)
〇高糖度、大粒多収ブルーベリーを作りこなす(江澤貞雄、農文協)
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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