脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
美味しいブルーベリーは小鳥たちも大好きです。
小鳥たちに食べられないため、あの手この手で守るわけですが、もっともメジャーなのが、「防鳥ネット」で栽培地を覆う方法です。
ブルーベリーには防鳥ネットが必要というのは、ある意味では「常識」なのですが、必ずしも全てにあてはまるわけではないようにも思います。
まだ結論が出ているわけではないのですが、今考えていることを書いてみました。
ブルーベリーに小鳥がほとんどこなかった?
ブルーベリーを食べにくる鳥は、主に、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、カラスなどです。
このうち、最も被害が多いのがヒヨドリで、実をまるのみして持ち去ってしまうので、いつのまにか実がない・・・という芸当をやってのけます。
うちの庭で育てているブルーベリーにも毎年のようにやってきていました。
ラビットアイ中心のブルーベリー農園ではどうだったかといいますと・・・
防鳥ネット無しで、小鳥の被害はほとんどありませんでした。
実は、農園にあるハイブッシュブルーベリー20本ほどには簡単な防鳥ネットをかけたのですが、作業が遅れて、完成したのが7月中旬・・・
とっくに完熟していましたが、こちらもほとんど被害はありませんでした。
こっちもネットは要らなかったのかもしれません・・・・
ちなみにラビットアイ系に防鳥ネットをかけなかった理由は、
ど根性栽培の師匠、江澤 貞雄さんの著書に
ヒヨドリは8月以降は、渡りで移動するという内容や、よく観察してから設置を検討でもいいのでは・・・といった記述を参考にし、よく観察して決めようと考えたためです。
しかしながら、鳥獣被害は地域差も大きいので、すごい被害でたらどうしようか・・・という不安も正直ありました。
(↑ハイブッシュブルーベリーのサイトには簡易的なネットを張りましたが、張る前からも被害はほとんどありまえせんでした。要らなかった(?))
ブルーベリーに小鳥が来なかった理由は?
仮説1 鳥がまだ気が付いていない説
だいたい、鳥があまり来ないと人に話すと「まだ気が付いていないんだよ~そのうちくるようになるよ」的なことを言われることが多いです。
実際にそうかもしれません。
この「鳥が気が付かない」ということは、経験的にちょっと疑問があるところではありますが、本格的に実をならしたのが今年からであり、まだ樹が小さかったりもするので、目立たない可能性も否定できません。
「疑問」については後述します。
仮説2 猛禽類などの天敵を恐れている説
ブルーベリーの森あづみのは、山麓の扇状地付近に位置しており、山林と平野が接している環境です。
このような環境は、トンビなどの大型の猛禽類の餌場になりやすく、実際に上空には滑空するトンビをよくみかけます。
農園内には茂った樹があまりないので、猛禽類に襲われた場合に逃げ場が少ない、ひらけた場所に出てくるのを小鳥たちは避けているのかもしれません。
カラスの被害をトンビを呼び寄せることで防いでいる事例もあるようで、同じような現象がおこっている可能性もあります。
(↑上空には滑空するトンビが多く見られます。よく「ピーヒョロロ」とないています)
鳥被害が少ないことの結論(今のところ)
私は、今のところ、仮説2「天敵を恐れている説」ではないかと考えています。
これまで、いくつかの場所でブルーベリーを育ててみましたが、初めての場所でも、ミツバチと小鳥たちは、どんなに小規模な場所でも必ずブルーベリーの花や実を見つける光景を何度も目の当たりにしました。
野生の小鳥たちのセンサーは半端なく、みつけられないことは考えられないと思っています。
実際に、農園から500mほどの自宅には小鳥たちはすぐに来ます。
庭木が茂っているため、ひらけた環境ではないので来やすいのかもしれません。
また、近くで育てている人も小鳥の被害が少ないと証言していることからも、栽培をはじめたばかりで鳥が気が付いていないという理由ではなさそうです。
まとめ
ある時、草刈りをした後、しばらく景色をながめていたら、突然トンビが急降下してきて、私の10mほど前の何かをとらえていきました。
さっきまで、上空にいたのに、あっと今に降りてきたのです。
私は学生の頃に「野生鳥獣管理学研究室」というところに属していたのですが、恥ずかしながら猛禽類が狩りをするのを実際に見るのは初めてでした。
これは小鳥たちからは脅威かもしれません。
私は今のところ「天敵を恐れている説」を推していますが、まだ1年目なので、結論まではいたっていません。
もし天敵を恐れている説だとしても、ブルーベリーが大きくなって茂ってきたり、その他の果樹が大きくなって森になってくれば、また状況は変わるかもしれません。
「鳥が気が付いていない説」も現段階では否定はできません。
しかしながら、鳥獣の被害は地域差が大きく、環境によっては、ブルーベリー栽培で防鳥ネットが必ずしも必要ないという可能性があるかもしれません。
防鳥ネットは大規模に行えば高価ですし、設置撤去の労力もすごく大変です。
費用面も大きいですが、農業法人で働いていた頃、広大な敷地の防鳥ネットを数日かけて、作業をしていて、その作業本当にイヤだったので、救われた思いです。
圧迫感がなく景観上も優れており、ブルーベリーの森あづみのの綺麗な景色をより活かすことができる点もありがたいです。
収量が大きくなれば、さらに気にならなくなるかもしれませんし、もともと落ちてしまう実もあるので、そもそも鳥から全ての実を守る必要はないとも考えています。
まだまだ検証が必要ですが、引き続きよく観察していこうと思います。
動画でも解説していますので、そちらもぜひご覧ください↓