「雑草は見つけたら刈るもの」
新規就農を目指す方の多くは、そう教わるかもしれません。
実際、私自身も就農当初は「いかに効率よく草を刈るか」ばかりを考えていました。しかし、ブルーベリー栽培を続ける中で、ある考え方にたどり着きました。
それは、「草を敵にしない」こと。
そして今では、農園の草管理の99%は、実は「刈らない」方法で行っています。
ブルーベリーの森あづみは「草生栽培」です

ブルーベリーの森あづみでは、園内の草を活かしながら育てる「草生栽培」を行っています。
草が生えていると、一見すると管理が大変そうに見えるかもしれません。しかし、適切に管理された草には、多くの役割があります。
- 夏場の地温の急激な上昇を抑える
- 土壌の乾燥を防ぎ、保湿効果を高める
- 天敵昆虫や小動物のすみかになる
- 草の根が土を耕し、通気性を高める
- 刈草や冬の枯れ草が微生物のエサになる
- 土壌有機物を増やし、土を育てる
農地は人工的につくられた環境ですが、その中で自然の力をうまく借りることができれば、作物の生育と省力化を両立できます。
もちろん、草を放置して良いわけではありません。
大切なのは、「草をなくすこと」ではなく、「草を管理すること」です。
草管理で最も大切なのは「観察」

草には、それぞれ異なる性質があります。
生える時期も違えば、成長速度も違う。倒れやすい草もあれば、何度刈っても勢いよく再生する草もあります。
そのため、私たちは季節や草の種類に合わせて、草刈りのタイミングや強度を変えています。
草刈りの考え方について詳しくまとめた記事も書いていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
▼関連記事
ひたすら刈るのではなく、観察しながら草と向き合う。
その積み重ねの中で見つけた方法の一つが、今回ご紹介する「刈らずに倒す」という管理方法です。
季節や草の種類にもよるので、全ての場合に適用できるわけではありませんが、条件があえばかなり有効な方法です。
草を「刈る」のではなく「倒す」

初夏の園内を見渡すと、イヌムギやハルガヤ、カヤツリグサなどのイネ科の草が種をつけている時期があります。
イネ科の一部の草には、ある特徴があります。
それは、成熟すると倒伏しやすくなること。
そこで、乗用モアの刈刃を回転させず、走行だけを行います。
乗用モアは比較的小型の農業機械ですが、それでも重量は100kg程あります。
すると、背丈の伸びた草がきれいに踏み倒され、まるで草刈りをしたかのような状態になります。

カラスノエンドウのように、イネ科の草に巻きついている植物も、一緒に倒れてくれます。
一方で、ギシギシのような倒れにくい草や、ブルーベリーの株元周辺だけは、必要に応じて部分的に刈り取ります。

それでも、全体の99%ほどは「刈らずに管理」できます。
「倒す」管理には3つのメリットがある
① 燃費が良く、省エネ
刈刃を回さないため、燃料消費を大きく抑えられます。
機械への負担も最小限に抑えられるメリットも。
② 倒れた草が「リビングマルチ」になる

踏み倒した草は、すぐには枯れません。
厚く倒伏した草が地表を覆い、天然のマルチとして機能します。
その結果、夏草の発生を抑えることができます。
一方、強力な機械で細かく粉砕してしまうと、分解が早く進み、地面が露出して、かえって夏草が生えやすくなることもあります。
③ 残したい草を守れる

春草の中でも、ハコベは比較的長く残り、地面を這うように広がって夏草を抑えてくれます。
しかし、機械で一律に刈ってしまうと、ハコベも一緒に早い段階でなくなってしまいます。
「倒す」管理なら、ハコベを残しながら、背丈の高い草だけを抑えることができます。
草を一括りに「雑草」と考えるのではなく、役割を見極めることが大切だと感じています。
春や秋に種をつけた草が、雨で倒れた後に起き上がれていないのが印象に残っていて、試してみたところ、かなり有効だということがわかってきました。
季節や草の種類にも左右されるので、全ての場合で有効とは限りませんが、条件が合えば、ぜひ試してみてください。
自然の力を活かすことが、省力化につながる

農地は、人が目的を持って管理する人工的な環境です。
しかし、そのすべてを人の力だけでコントロールしようとすると、労力もコストも増え続けてしまいます。
だからこそ、自然の仕組みを観察し、その力を借りる。
草は管理が必要ですが、「ひたすら刈る」ことだけが正解ではありません。
草の性質を理解し、季節に合わせて付き合い方を変えることで、作物の生育にも、省力化にもつながります。
これからも、ブルーベリーと草、そして土の変化を観察しながら、自然と折り合いをつける方法を探し続けていきたいと思います。

