前回の記事では、ブルーベリー農園で実践している「99%刈らない草管理」をご紹介しました。
乗用モアの刈刃を回さず、草を「刈る」のではなく「倒す」。
「本当にそんな方法で草が抑えられるの?」
そう思われた方も多いかもしれません。
今回は、その後約1カ月間観察した結果をご紹介します。
前回の記事はこちら
草生栽培だからこそ「管理」が重要

ブルーベリーの森あづみでは、草生栽培でブルーベリーを育てています。
草には、
- 地温の急激な上昇を抑える
- 土壌の乾燥を防ぐ
- 天敵昆虫のすみかになる
- 根が土を耕し、微生物を育てる
- 刈草や枯れ草が有機物となり土づくりにつながる
など、多くの役割があります。
だからといって放置できるわけではありません。
重要なのは、**草を無くすことではなく、「どう管理するか」**です。
そのため、私は就農以来、草の種類や季節ごとの性質を観察しながら、草刈りの方法や強度を変えてきました。
「倒す」管理とは?

春に花を咲かせるイネ科の草、例えばイヌムギやハルガヤは、初夏に種を付ける頃になると倒れやすくなります。
そこで、乗用モアの刈刃を回さず、そのまま走行します。
すると草はきれいに倒れ、まるで草刈りをしたような景観になります。
さらに、イネ科に絡みついたカラスノエンドウなども一緒に倒れてくれます。
一方で、ギシギシなど倒れにくい草や、ブルーベリー株周りだけを部分的に刈ります。
結果として、この圃場の約99%は「刈らずに管理」できました。

では、その後どうなったのか?
1週間後

見た目はほとんど変化ありません。
倒した草はそのまま地面を覆い続けています。
一方で、踏みつけてもダメージが少なかったホワイトクローバーは、少し元気になってきました。
2週間後

まだ大きな変化はありません。
倒れた草がしっかり地表を覆い、夏草の発生をかなり抑えていることが分かります。
ここまで変化が少ないことは、正直予想以上でした。
3週間後

ようやく夏草が少しずつ見え始めました。
それでも草丈は低く、全体としては十分抑えられています。
倒した草が天然のマルチとして機能していることが実感できました。
1カ月後

約1カ月経って、ようやくエノコログサなどの夏草が目立ち始めました。
「そろそろ草刈りかな」
そう感じる程度まで増えてきましたが、それでもまだ軽い管理で十分な状態です。
梅雨の時期に約1カ月も夏草を抑えられたことは、私自身とても驚きました。
当初は、
「倒した草がまた起き上がるのでは?」
という心配もありました。
しかし、そのような現象は全く見られませんでした。
倒したイヌムギなどの多年生イネ科は、実を付けた地上部が役目を終え、その下から新しい葉が伸び始めています。
この結果を見る限り、秋にも同じ考え方が応用できる可能性を感じています。
「刈らない」管理がもたらした効果

今回改めて確認できたメリットは、
- 燃料消費を大きく削減できる
- 機械への負担が少ない
- 倒れた草がリビングマルチとして機能する
- 夏草の発生を約1カ月抑えられた
- ハコベなど残したい植物も活かせる
- 景観を保ちながら省力化できる
という点です。
特に、「自然の力を利用することで、人の仕事を減らせる」ということを、改めて実感しました。
観察こそが最大の技術

農地は、人が目的を持って管理する人工的な環境です。
しかし、その中で働いているのは、植物や微生物、昆虫など自然の仕組みです。
だからこそ、管理の方法も「ひたすら刈る」だけではなく、草を観察し尽くし、その性質を利用するという発想が、省力化や作物の生育につながります。
もちろん、この方法はすべての草、すべての地域でそのまま使えるわけではありません。
だからこそ重要なのは、「この方法を真似すること」ではなく、自分の畑の草を観察し、その性質を理解することです。
自然と人間の活動、そして景観とのバランスを考えながら、その土地に合った管理方法を探していくことが、持続的な農業につながると考えています。
農業では省力化だけが目的になりがちですが、観光農園では「お客様に気持ちよく歩いていただける景観」も大切です。自然を活かしながら、管理された美しさを保つことも、この草管理の大きな価値だではないでょううか。
新規就農・観光農園づくりのご相談を承っています

ブルーベリー栽培や観光農園の経営では、「何を導入するか」よりも、「何を観察し、どう活かすか」が大きな差になります。
私は就農以来、栽培だけでなく、草管理や省力化、観光農園づくりまで、現場で試行錯誤を重ねてきました。
新規就農や農園経営についての個別相談・コンサルティングも行っています。
「自然を活かしながら、省力化できる農園をつくりたい。」
そんな方は、お気軽にお問い合わせください。

