地域貢献を目指してはいけない。本当に地域のためになる方法は別にある

新規就農を目指す人の話を聞いていると、

「耕作放棄地を解消したい」

「農業を盛り上げたい」

「地域に貢献したい」

そんな言葉を耳にすることがあります。

その志そのものは素晴らしいと思います。

しかし、正直なところ、私は少しだけ違和感を覚えることがあります。

なぜなら、まず最初に目指すべきことは「地域貢献」ではなく、「自分の事業を成立させること」だからです。

目次

農業を取り巻く問題は確かに大きい

日本の農村では、

・耕作放棄地の増加
・農業者の高齢化
・担い手不足
・農業人口の減少
・食料安全保障への懸念

など、様々な課題が存在しています。

ニュースや行政資料でも頻繁に取り上げられるため、それらの問題を解決したいと考える人が現れるのは自然なことです。

しかし、だからといって新規就農者が最初からその問題を背負う必要はありません。

むしろ背負わない方が良いと私は考えています。

まずは自分が生き残ること

事業で最も重要なのは継続です。

どれほど立派な理念があっても、利益が出ずに廃業してしまえば、その活動はそこで終わります。

まずは農地を維持管理し、収益を上げる。

経営を安定させる。

生活を成り立たせる。

最初にやるべきことはこれです。

そして経営がうまく回り始めると、不思議なことに様々な社会課題が結果として解決に向かいます。

規模拡大によって耕作放棄地が減る。

雇用が生まれる。

地域にお金が落ちる。

農業に興味を持つ人が増える。

新たな担い手が育つ。

つまり、多くの地域課題は「地域貢献を目的にした結果」ではなく、「事業が成功した結果」として解決されるのです。

食料問題も同じ

食料安全保障についても同様です。

もちろん重要な問題です。

しかし、それは本来、国の政策として考えるべきテーマです。

一農家が背負うには大きすぎます。

経営判断と国家の食料政策は分けて考える必要があります。

国がどの作物を守るのか。

どのような補助制度を設計するのか。

どの程度の自給率を目指すのか。

それは政策の領域です。

一方で経営者は、

「どうやって利益を出し、継続するか」

を考える。

まずは自分が生き残る。

その結果として食料供給にも貢献していく。

順番を間違えないことが大切だと思います。

「地域貢献」という言葉の落とし穴

私が最も危惧しているのはここです。

「地域貢献」

「農業界のため」

「社会のため」

という言葉は、とても聞こえが良い。

だからこそ危険でもあります。

時として、

「儲からなくても仕方ない」

「赤字だけど地域のためだから」

という言い訳になってしまうことがあるからです。

しかし、利益を出せない事業は長続きしません。

継続できなければ地域にも貢献できません。

本当に地域のためになるのは、

利益を出し、

納税し、

雇用を生み、

事業を続けることです。

そして余力が生まれたときに、地域活動や行政への協力、後進の育成などに取り組めば良いのです。

センターピンを外さない

産業である以上、利益は必要です。

それも一時的ではなく、持続的に利益を生み出す仕組みが必要です。

「地域貢献」

「農業のため」

という言葉は魅力的です。

しかし、それらは目的ではなく結果として生まれるものだと私は考えています。

まずは自分の事業を成立させる。

利益を出す。

継続する。

地域を守ることも、農業を盛り上げることも、その先にある。

だからこそ私は、

「地域貢献を目指すな」

ではなく、

「地域貢献を目的にするな」

と言いたいのです。

その違いを見失わず、経営のセンターピンだけは外さないようにしたいものです。


農業経営や新規就農の相談を受けていると、多くの方が技術や栽培方法より先に「何のために経営するのか」で悩まれています。

当農園では、新規就農や農業起業を検討されている方向けに個別相談・コンサルティングも行っています。

理想と経営を両立させるための考え方に興味のある方は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

脱サラ元公務員。
13年働いた県庁を辞めて、農業法人を経て独立。
ブルーベリー農園を経営しています。

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