農作物の通信販売は本当にレッドオーシャンなのか?~通信販売で売るための考え方~

「農産物の通信販売は、もうレッドオーシャンですよね。」

新規就農を目指す方や農業経営者の方から、このような相談を受けることがあります。

たしかに現在では、多くのECサイトがあり、生産者が直接販売できる環境が整っています。全国の生産者が競争相手になり、価格競争も起こりやすいことから、「もう飽和状態」と感じる人も少なくありません。

しかし、実際に数年間取り組んできた私の答えは少し違います。

売り方を考えれば、今でも十分に売れる市場です。

目次

お客様の声から始まった通信販売

私の農園では、2022年頃からブルーベリーの通信販売を始めました。

それまではブルーベリー狩りや農園での直売が中心でしたが、

「遠方なので通販で購入できませんか?」

というお問い合わせをいただく機会が増えたことがきっかけです。

試行錯誤を重ねながら続けてきた結果、売上は年々増え、現在では農園経営を支える大きな柱の一つになっています。

最大の魅力は「市場規模」

通信販売の一番の魅力は、市場規模の大きさです。

例えば農園へ直接来園する場合、

  • 距離
  • 時間
  • 旅行の予定
  • 家族の都合
  • 夏の暑さ

など、様々な条件があります。

安曇野は観光地なので比較的人の流れはありますが、それでも「行きたいけれど行けない」という方はたくさんいます。

一方、通信販売なら、インターネットがあれば全国どこからでも購入できます。

冷房の効いた部屋で、自宅にいながら旬の農産物を楽しめる。

これが通信販売の大きな価値です。

市場が大きいことは、それだけで強みになる

ビジネスでは「競争が少ないこと」に目が向きがちですが、それ以上に重要なのは欲しい人が十分に存在する市場かどうかです。

もちろん全国販売になれば競争相手も増えます。

しかし、市場が十分に大きければ、その中のわずかなシェアを獲得するだけでも事業は成立します。

小さな市場で大きなシェアを狙うよりも、大きな市場で自分の強みを活かす方が、結果として成長しやすいケースも少なくありません。

「普通に売る」と埋もれてしまう

とはいえ、通信販売は商品を並べただけでは売れません。

常に考えなければならないのは、

「お客様が、あなたの商品を買う理由は何か?」

ということです。

この問いに明確に答えられないと、多くの商品の中に埋もれてしまいます。

販売サイト選びも戦略の一つ

通信販売といっても、販売サイトにはそれぞれ特徴があります。

価格の安さを重視するサイトもあれば、

品質やストーリー、オーガニックなどの価値を重視するサイトもあります。

つまり、

自分の商品を求めているお客様が集まる場所を選ぶこと

がとても重要になります。

どんなに良い商品でも、お客様との接点を間違えれば魅力は伝わりません。

新規のお客様とリピーターは分けて考える

私が特に重要だと考えているのが、

「最初に買う理由」と「買い続ける理由」は違う

ということです。

新規のお客様は、まだ商品を食べたことがありません。

だから味だけでは判断できません。

そのため、まずは客観的な「買う理由」が必要になります。

例えば、

  • 有機認証など第三者が認めた価値
  • 購入者のレビュー
  • 生産者の日々の発信
  • 栽培へのこだわりやストーリー

などです。

もちろんストーリーも大切ですが、初めてのお客様にとっては、有機認証やレビューのような客観的な情報の方が購入の後押しになりやすいと感じています。

リピーターを生むのは、結局「品質」

そして、もっと大切なのは購入後です。

実際に食べて、

「また食べたい。」

「誰かに紹介したい。」

「レビューを書きたい。」

そう思っていただける商品でなければ、リピーターにはつながりません。

期待通り、あるいは期待以下で終わってしまえば、次回購入される可能性は高くありません。

逆に、期待を上回る感動があれば、

リピーターが増え、レビューが増え、そのレビューが新しいお客様を呼び込む。

この好循環が生まれます。

私自身、この循環を意識して取り組んでいます。

収穫技術を磨き、一粒一粒の熟度を見極めながら丁寧に収穫する。

特別な裏技があるわけではありません。

むしろ、ごく当たり前のことを徹底して積み重ねることが、一番大きな差別化につながると感じています。

レッドオーシャンの中に、自分だけのブルーオーシャンをつくる

農産物の通信販売は、確かに競争がある市場です。

しかし、現在の社会では、競争がまったく存在しない市場は、そもそも需要そのものが小さいことも少なくありません。

だからこそ大切なのは、

人気のある市場の中で、自分だけのポジションを築くこと。

奇策や一発逆転を狙う必要はありません。

商品の強みを磨き、お客様が感動する品質を届け続けること。

その積み重ねこそが、最も再現性の高い差別化であり、結果として「レッドオーシャンの中のブルーオーシャン」をつくることにつながるのだと思います。


おわりに

私は農園経営を行う中で、通信販売だけでなく、観光農園や直売など複数の販売方法を組み合わせながら経営を続けています。

実際に現場で試行錯誤してきた経験をもとに、新規就農者や農業経営者向けのコンサルティングも行っています。

「通信販売を始めたいけれど何から考えればいいかわからない。」

「ECで思うように売れない。」

「自分の商品ならではの強みを整理したい。」

そのようなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

現場で実践し、成果につながった考え方をもとに、一緒に販路づくりを考えていければと思います。

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この記事を書いた人

脱サラ元公務員。
13年働いた県庁を辞めて、農業法人を経て独立。
ブルーベリー農園を経営しています。

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