脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
有機JAS認証を取得した「オーガニックブルーベリー」を栽培しています。
ブルーベリーの森あづみのでは、ラビットアイ系品種を中心に20種類ほどの品種を育てています(いただいた樹で特定できていない品種も一部あり)。
うちの農園で、育てている品種を少しずつ紹介していきたいと思います。
気候や土の条件によって、人によって印象もかわってくると思いますので、
あくまで一つの事例としてお読みいただければ幸いです。
今回は「ティフブルー」です。
品種を紹介しようと思った理由
実は、いままで、私はブログではブルーベリーの品種をあまり紹介していませんでした。
理由は、単純に私自身が品種のことをあまり、把握しきれていなかったからです。
しかしながら、最近、ご来園いただいた方から品種について、質問されることが増えてきました。
2023年で本格的な収穫を初めて3年目。何シーズンか、栽培~収穫~販売を通じて、
いろいろとわかってきたことがありますので、生産者目線で紹介してみようと思いました。
以前、どこかのSNSでみかけたんですが、人によっては品種構成は企業秘密という考え方もあるようです。
「何の品種を育てるか」ということ自体は、正直、マネしようと思えばだれでもマネできるので、私は独自資源とは考えていません。
また、土壌などの条件が違うので、全く同じ結果になるとは限らないとも思っています。
参考情報として、お読みいただければ幸いです。
ラビットアイ系の早生「ティフブルー」
現代でもトップクラスの品質を誇るクラシック品種
ティフブルーは、1955年に発表された品種なので、なんと70 年近く前のすごく古い品種です。
しかし、未だにラビットアイ系の「標準品種」と呼ばれることもあり、現代においても、トップクラスの品質を誇ります。
日本にラビットアイ系ブルーベリーが導入された頃に一番最初に入ってきた品種の一つで、
同時期に導入された「ティフブルー」「ウッダート」「ホームベル」とあわせて、ラビットアイ御三家と呼ばれることがあるようです。
皮はやや厚めですが、まん丸の実は甘味が強く食べやすいです。
やや早採りしても、十分に甘味があります。
初期の頃は大きいサイズもありますが、全体的には中粒だと思います。
収穫時期は、うちの農園では8月下旬から9月下旬になり、ブライトブルーより少し遅いくらいの時期です。
ブルームは多めで、やや白ぽい気品のある見た目です。
ティフブルーは紅葉も綺麗
ティフブルーは紅葉も綺麗です。
ラビットアイ系ブルーベリーの紅葉は一般的にはハイブッシュ系ブルーベリーよりは見劣りすると思われますが、中には綺麗な品種もあります。
ティフブルーはその中の一つです。
前述の「ラビット御三家」の「ウッダート」と「ホームベル」も、みんなそろって紅葉が綺麗なのもおもしろいところです。
ティフブルーの欠点
収穫適期をやや逃しやすい
ティフブルーの欠点は、収穫適期をやや逃しやすいことです。
熟し始めてから、過熟までが速いので、ちょっと目を離していると、すごく軟らかくなってしまいます。
鈴なりにたくさんの実ができることが多く、バラバラの時期に熟してくるため、房状になっている実のかたまり全体が概ね熟す頃には、一部の実が軟らかくなりすぎていることがあります。
軟らかくなりすぎると、摘み取り園では、大丈夫かもしれませんが、輸送での潰れリスクを伴う、産直販売では使えなくなってしまいます。
同じような特徴がブライトブルーにも見られますが、ブライトブルーの方が顕著なので、ティフブルーはまだマシな気がしますが・・・
少々早採りしても、十分合格点の甘味はあるので、産直販売(通販)の場合、割り切ってやや固いうちに、収穫するというのも一つの方法かもしれません。
しかし、なるべく完熟に近いものをお届けしたいという思いもあり、少々悩みどころではあります。
熟し始めたら、目が離せません。
ティフブルーの樹形~直立性~
本などには直立性の樹形と書かれている場合が多いです。
確かに、ほかの品種に比べると、明らかに枝が立気味の樹形をしています。
実がなると、重みでけっこう枝が垂れ下がりますが、剪定の時期に見ると直立している様子が印象的です。
そのせいなのか、ほかの品種に比べると、やや垂直に伸びる栄養生長型の枝(徒長枝)が多いような気がします。
栄養生長型の枝は、花芽つきにくいです。
しかし、他の枝には花芽もたくさんつく品種なので、あまり収量全体にあまり影響はないような気がします。
夏の間に徒長気味の枝を「摘心」をして、枝の分岐を誘発しておくと、花芽も増えてきます。
直立性の品種には、摘心を行うと、よりいいのかもしれません。
私は直立性の品種は、特にこまめに夏の摘心をしています。
剪定は、直立する分、中心部が混みあいやすいので、やや外側に広げ気味になるように剪定しています。
逆に、クライマックスのような開帳性の樹形の品種は、やや立ち気味になるように剪定しています。
ティフブルーの評価
収穫適期を注意深く観察する必要がありますが、
観光農園にも産直販売にも適正があり、味も安定して美味しいティフブルー。
ブルーベリーの森あづみのでは、後半の主力品種という位置づけです。
ティフブルーは、苗も生産中であり、まだまだ増やしてもいいと考えています。
※あくまで、うちの農園での一例であり、評価はブルーベリーの森あづみのの事業に適しているか、又は私の個人的な好みによるものです。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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