脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
ブルーベリーの森あづみのでは自然の力とブルーベリーの潜在能力をフル活用する「ブルーベリーど根性栽培」にとりくんでいます。
ブルーベリーの「ど根性栽培」では肥料として少量の菜種油かすを使用します。
今回は来年4年目(5年生)を迎えるブルーベリーの肥料のやり方について書いてみました。
〇ブルーベリーの森あづみので行っている「ブルーベリーど根性栽培」4年目の肥料のやり方の検討
ブルーベリー「ど根性栽培」の肥料
肥料は年一回の元肥のみ
「ど根性栽培」では、年1回冬場に元肥として(菜種油かす」を与えます。
菜種油かすは、ゆっくり分解し、少しずつ効いてきます。
具体的には以下のとおりです。
分類 | 肥料の量 |
幼木 | 油粕お椀1杯(約180g) |
成木 | 油粕お椀3杯(約540g) |
(↑お椀一杯の油粕 280g-100g(お椀の重さ)=約180g)
これらは、あくまで目安で、土壌条件なども考慮する必要があります。
菜種油かすの窒素成分は約5%なので、
(↑油粕の窒素成分は約5%)
1株あたりの、窒素成分は以下のとおりです。
分類 | ど根性栽培の窒素施肥 | ブルーベリーの一般的な窒素施肥 | 備考 |
幼木 | 180(g/本)×0.05=9g | 6~9g | アメリカ・ミシガン州の基準より定植2~5年までの平均値を算出 |
成木 | 540(g/本)×0.05=27g | 89g | 千葉県主要作物等施肥基準(H31年3月)より算出 |
幼木は、おおよそ一般的な施肥量であり、成木になると3分の1未満の施肥量になっています。
窒素肥料は、植物ホルモンである「ジベレリン」の活性を促し、ジベレリンは同じく植物ホルモンである「エチレン」の活性を妨げます。
エチレンは病害虫への対抗する働きがあることから、窒素肥料は可能な限り少ない方が望ましく、施肥量が多い作物は農薬とセットになってしまうことの要因の一つです。
植物ホルモンの性質や微生物の条件などを整えながら、最終的には無肥料栽培も考えていきたいと考えています。
私は、窒素肥料を与えるというよりは、炭素分の多い木材チップに窒素分を加え、一部分解を促進、木材チップもマルチング兼栄養分としつつ、微生物のバランスをとっているようなイメージをもっています。
植え付け4年目(5年生)ブルーベリーの肥料
今年、悩みどころだったのが、植え付けが、来年で4年目。2年生の苗を植えたので5年生のブルーベリーの施肥です。
概ね成木と幼木との中間のような年数です。
成長具合にも樹によって若干のばらつきはあります。
もともと、幼木・成木の施肥量自体も、目安でしかなく、土壌の状態や生育状況によっても変えていく必要があると、以前、栽培の師匠である江澤貞雄さんからは、お聞きしており、そもそも様々な施肥基準もそういうものだという認識でした。
念のため、アドバイスをお聞きしたく、連絡しましたが、
「お椀3杯というのは目安で、そちらの土壌がわからないから、何とも言い難い」という趣旨の回答をいただきました。
ごもっとも・・・・。
現地を直接見ていただいたわけでもなく、近隣では参考になるような栽培事例もないことから、まさにおっしゃるとおりです。
ここは、現地を一番見ている自分が判断するほかありません・・・・
うちの農園の土壌は、水はけが良いですが、前作の牧草地から草生栽培を少なくとも10年くらいは継続しているため、団粒構造や腐食の堆積も多く、保肥力も低くない埴土と考えられます。
土壌分析も一つの方法ですが、ゆっくり分解される油粕のほか、刈草や木材チップなどの有機物の堆積などによっても肥料効果を得ている圃場なので、瞬間的な無機物の成分だけ把握しても、あまり意味がないようにも思いました。
そこで、今回は、目安として目標数量を考慮して考えることにしました。
エザワフルーツランドの収量が10aあたり、166本植えで、1500~2000kgほど(「ブルーベリーをつくりこなす(江澤貞雄、農文協)」P33参照)とのことですので、その平均値の1750(kg/10a)÷166(本/10a)で10.5(kg/本)となると思われます。
※1本あたりの平均数量は私の勝手な計算上の推測ですのでご了承ください。
来年は、ブルーベリーの樹の大きさなども考慮して、概ね4(kg/本)を目標にすることにしました。
4(kg/本)÷10.5(kg/本)=0.38≒約40%ほどになります。
540g×0.40=216gとなりますが、作業上、わかりにくいので、1本あたり半数の270g(お椀1杯半)を目安にすることにしました。
さらに、樹の成長具合をみながら、若干増減し、特に小さいものは、お椀1杯(180g)にとどめるなど、過剰にならないようにだけは注意しました。
(↑およそ150kgほどの肥料、撒き終えました)
まとめ
まとめると以下のような感じです。
植え付け4年目(5年生)のブルーベリーの目安
分類 | 肥料の量 | 備考 |
幼木(植え付け1~3年、2~4年生) | 油粕お椀1杯(約180g) | |
成木(植え付け4年、5年生) | 油粕お椀1.5杯(約270g) | 成長の遅いものは幼木と同量にする |
成木(植え付け5年~、6年生~) | 油粕お椀3杯(約540g) | 6年生以降については来年の様子で検討 |
あくまで、うちの農園の条件でもあり・・・正直、これでいいのかは試行錯誤の段階です。
ただ、これまでも非常に少肥で育ってきており、実をつけたシーズン中も含めて、肥料切れのような症状はでたことがありません。
(↑実をつけた2021年シーズンもぐんぐん伸びました)
刈草や木材チップの分解、下草が深部から吸い上げる微量要素、エリコイド菌根菌やVA菌根菌などの共生菌など、相当量が周囲の生物や資源循環で賄われているのではないかと考えております。
(↑刈草も乾燥した10Lで200gくらいあり、およそ1gほどの窒素が含まれていると思われる)
そういう意味では、生態系がうまく回っていれば、あまり窒素など、化学成分としての肥料を細かく計算しても、大した問題ではないような気もしています。
もしかして、無肥料でも育つのではないか?
そんな気すらしています。
今後の様子もみながら、さらに検証していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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