脱サラした元地方公務員、現在はブルーベリーをメインに果樹や野菜の作物エンターテイメントの仕事しています。神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz))です。
農園は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
ブルーベリーの森あづみのでは、ブドウを少し栽培しています。
人気のシャインマスカット・・・ではなく「ナイヤガラ」という、今ではややマイナーな品種です。
(まだ収穫できていないため、写真はイメージです。胡麻油さんによる写真ACからの写真です)
現在ではワイン用になることが多く、生食ではほとんど出回っていません。
独特の香りと、甘味があり、病気にも強いですが、実が柔らかく、流通に不向きなためです。
実は私が子どもの頃はよく食べていた懐かしいブドウなのですが、産地の近くに住んでいたため、例外的に多く流通していたようです。
どうせなら、ここでしか食べられないものを作ろうという思いと、無農薬で育ててみたいと思いから・・・ナイヤガラの無農薬栽培にチャレンジしています。
この記事では、ブドウ棚作りの様子の第4弾、ブドウ棚の下に「積層マルチ」を作ります。
積層マルチって何?
「積層マルチ」とは、有機物の資材を厚く積みかさね・・・・
保湿、泥跳ね防止、雑草の防止、といった一般的なマルチング※1の効果と、
炭素資材と窒素資材の有機物の組み合わせで、微生物の活動を活発にして、植物の生育に良い環境をつくる手法です。
パーマカルチャー※2 の技術書などでよく紹介されています。
材料がたくさん必要になりますが、一度作ってしまうと、有機物をときどき足すだけでメンテナンスが楽になります。
パーマカルチャーは、「自然への配慮」だけでなく、「人間への配慮」も理念として掲げており、作業の負担をなるべく少なくすることも大切にし、楽しくやろうとしているのが、すごく好きです。
※1 作物を植えた畝などをワラやポリエチレンでできたシートなどで被うこと。保湿、泥跳ね防止、雑草防止、地温の調節、微生物の活性化、害虫よけなどを目的とする。効果は資材により異なる。
※2
パーマカルチャーとは、オーストラリアのビル・モリソンとデビット・ホルムグレンが構築した人間にとっての恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことです。 この言葉は、パーマネント(永久な)とアグリカルチャ-(農業)あるいはカルチャー(文化)を組み合わせた造語です。 パーマカルチャーの祖、ビル・モリソンは、パーマカルチャーの目的を「地球を森で覆い尽くす」ことと言った。 人類が永久に存在し続けるために、農薬などで土地を痛めることなく、自然の恩恵を最大限に受けることに注力していく時代となりつつある。 パーマカルチャーは、伝統的な農業の知恵を学び、現代の科学的・技術的な知識をも組み合わせて、通常の自然よりも高い生産性を持った『耕された生態系』を作り出すとともに、人間の精神や、社会構造をも包括した『永続する文化』をかたちづくる手法である。
(安曇野パーマカルチャー塾 WEBサイトより引用 http://www.ultraman.gr.jp/perma/index.html)
積層マルチの手順
第1層 窒素の層(刈草と鶏糞)
第1層は、その場の草を刈ります。
もともと刈ってあったので、軽く刈りました。
マルチングで覆われて枯れてしまうのであまり完璧にする必要はないです。
鶏糞を少し蒔きます。
第2層 炭素の層(段ボール)
段ボールを敷き詰めます。
新聞紙10枚程度でも代用できます。
炭素分の補給と雑草を抑える効果があります。
隙間がないように幅10~15cmくらい重ねて設置しました。
第3層 窒素の層(大量の刈草と鶏糞)
雑草や野菜くずなどの窒素の多い層を再び作ります。
隣の畑との境目の土手の草刈りをして、刈草を敷きました。
まだ足りなかったので、農道の草なども利用しました。
段ボールが完全に隠れました。
マニュアル的には7.5cmとありましたが、半分ほどしか敷くことができませんでしたが、土手の草刈りができ、すごく綺麗になりました。
このように身近な資源を利用することで、周辺が綺麗に整備される側面があるように思えます。
ここで鶏糞をまた少し足します。
第4層 炭素の層(木材チップ)
最後に、再び炭素資材で覆います。
ブルーベリーで使用している木材チップを利用しました。
木材チップで見た目も良くなります。
マニュアル的には15cm程度とありましたが、10cmくらいで力つきました・・・様子を見て足したいと思います。
木材チップが少しチクチクするので、お客さんがサンダルのような履物だと不快に感じるかもしれません。
さらに「コモ」や「麻布」、「よしず」などを敷くか、検討中です。
まとめ
ブドウ栽培とレストスペースの整備を両立させるため、厚い積層マルチを採用しました。
「積層マルチ」は、炭素資材と窒素資材をバランスよく組み合わせることで、
窒素が多い有機物の腐敗を防いだり、炭素資材で糸状菌(カビの仲間)を活性化することで、細菌類が炭素資材を分解する過程で土壌の窒素を大量消費してしまうのを防止できるのではないかと考えられます。
有機物が作物に与えるマイナスの部分を防止し、微生物が分解した栄養素を作物に届けるとともに、保湿などで外的環境から守る働きがあるのではないでしょうか。
また、私の場合は、レストスペースを兼ねていることもあり、人が踏み固めることを緩衝する効果も考えました。
課題もありましたが、ほぼ計画どおりに完成です。
ぶどう棚はあと1か所作りますが、手作りが本当に楽しくなってきました。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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