新規就農は何歳から始めるのが良いのか?~ベストなタイミングは~

「新規就農するなら、何歳くらいがいいのでしょうか?」

農業を始めたいと考えている方から、こんな質問を受けることがあります。

私の農園には、新規就農や農業ビジネスについて相談に来られる方、コンサルティングのクライアントさんなど、20代から70代まで、さまざまな年代の方がいらっしゃいます。

では、新規就農は何歳から始めるのが良いのでしょうか?

目次

「思ったとき」が始めどき

私は、**「思ったときが始めどき」**だと思っています。

もちろん、「明日から会社を辞めて農業を始めましょう」という意味ではありません。

むしろ、

  • 家庭菜園で作物を育ててみる
  • 農業体験に参加してみる
  • 気になる農家を訪ねて話を聞いてみる
  • 新規就農について情報収集してみる
  • 自分のやりたい農業を具体的に書き出してみる
  • 収支や必要な資金を計算してみる
  • 実際に農業をしている人に相談してみる

といった、**「農業を始めるための要素を、今の生活に少し取り入れてみる」**ことも、立派なスタートです。

「いつか農業をやりたい」

そう思っているだけでは、「いつか」はなかなかやってきません。

人間は、良くも悪くも変化を嫌うところがあります。

だからこそ、いきなり人生を大きく変える必要はありません。

まずは、少しだけ動いてみる。

具体的に考えてみる。

すると、少しずつ計画に現実味が出てきます。

そして、気がつけば「いつかやりたい」が「○年後に始めたい」に変わっている。

いつの間にかやっていた。

そんなことも、意外と多いのではないかと思います。

思い立ったら、すぐに全てを変える必要はありません。

でも、思い立ったときに、少しでも動いてみる。

それが「始めどき」なのだと思います。

ただし、本格的に新規就農するなら「年代による違い」はある

ここは少し分けて考える必要があります。

「始めたいと思ったときが始めどき」とはいっても、実際に農業を仕事として始める場合には、年齢によって置かれている状況が違います。

若い人には若い人のメリットと課題があります。

ある程度年齢を重ねた人にも、それならではのメリットと課題があります。

大切なのは、自分の年代を気にしすぎることではなく、自分の状況を理解して、足りない部分を工夫で補うことです。

若い年代で新規就農するメリットと課題

若い年代で農業を始める大きなメリットの一つは、やはり体力です。

農業は、思っている以上に体を使います。

また、家庭や仕事など、状況にもよりますが、若い頃の方がフットワークを軽くしやすいという面もあります。

「まずやってみる」という行動が取りやすいのは、大きな強みです。

一方で、若い人の場合、社会人として働いてきた年数が短いため、貯蓄などの自己資金が少ないケースもあります。

また、会社員としての経験を、農業経営にどう活かせばよいのか分からないということもあるでしょう。

ただ、私はこの点を必要以上に心配する必要はないと思っています。

農業経営は、サラリーマンとは求められるものがかなり違います。

会社員としての経験が少ないことを嘆くよりも、

経営・マーケティング・販売・情報発信などを、自分で学んでいくこと。

こちらの方が大切です。

資金面についても、新規就農者向けの制度や融資などを検討したり、最初から大きく始めず、小さくスタートしたりすることで補える場合があります。

つまり、

「若いから経験がない」ことを弱点と考えるより、「若いからこそ身軽に動ける」ことを活かす。

そんな考え方もできると思います。

ある程度の年齢から新規就農するメリットと課題

一方、ある程度の年齢になってから農業を始める場合は、若い人と比較すると体力面では不利になることがあります。

そのため、

  • 自分の体力に合った作物を選ぶ
  • 無理のない規模にする
  • 作業工程を効率化する
  • 機械化を検討する
  • 繁忙期の労働力を確保する

など、若い人以上に、**「体力を前提とした経営設計」**が重要になります。

一方で、これまでの仕事や人生で得てきた経験、資金面などは、大きな強みになる場合があります。

若い頃から働いてきた人であれば、ある程度の自己資金を準備できているケースもあります。

また、これまでの仕事で培った、

  • 人とのつながり
  • 営業経験
  • マネジメント経験
  • 経理や事務の経験
  • 専門的な知識
  • 社会人としての経験

なども、農業経営に活かせる可能性があります。

つまり、若い人には若い人の強みがあり、年齢を重ねた人には、それまで積み上げてきた経験という強みがあります。

「何歳だから有利」というより、今の自分が持っているものをどう使うか。

こちらの方が重要なのだと思います。

70代以降で「多年生作物」を始める場合に考えてほしいこと

そして、最近少し気になっていることがあります。

それは、70代以上の方が、これから果樹などの多年生作物を植えたいというケースです。

「自分がやりたいから」

「せっかく農地があるのだから、次の世代のために価値のあるものを残したい」

こうした思いそのものは、とても素晴らしいことだと思います。

ただし、果樹などの多年生作物の場合、植えたら終わりではありません。

何年も管理が必要になります。

そこで、ぜひ考えてほしいのが、

「自分が管理できなくなった後は、誰が管理するのか?」

ということです。

特に、次の世代がいる場合には、

「自分はこうしたい」

だけではなく、

「次の世代はどう考えているのか?」

という意思疎通も必要だと思います。

本人にとっては「価値あるものを残したい」という思いでも、引き継ぐ側からすれば、管理するものが一つ増えることになります。

これは、農業に限った話ではありません。

誰でも年齢を重ねれば、自分ができなくなった後のことを考える必要があります。

ただ、スタートする年齢が高い場合は、**「始めるときから、その先のことまで考えておく」**ことが、より重要になると思います。

新規就農に「遅すぎる」はあるのか?

結局のところ、私は、

「何歳なら新規就農に適している」という明確な答えはない

と思っています。

若ければ、体力やフットワークの軽さがある。

一方で、資金や経験が少ない場合がある。

年齢を重ねれば、体力面では不利になる。

一方で、資金や社会経験、人脈など、それまで積み上げてきたものを活かせる場合がある。

どの年代にも、メリットとデメリットがあります。

だからこそ、

自分が置かれている状況を冷静に理解すること。

そして、

有利なところは活かし、不利なところは工夫して補うこと。

これが、新規就農を考えるうえで大切なのだと思います。

私の場合は36歳で就農しました

ちなみに、私自身は36歳のときにサラリーマンを辞めて、農業法人で1シーズンほど働いた後、独立就農しました。

それ以前から、作物を趣味で育てたり、農業について情報収集したりしていました。

そう考えると、いきなり36歳で農業を始めたわけではありません。

その前から少しずつ「農業を始めるための要素」を生活の中に取り入れていたわけです。

そして、ある時点で、

「そろそろ本格的にやってみよう」

となりました。

私自身は、若すぎず、年齢を重ねすぎてもいない、ちょうど中間くらいのタイミングだったのかもしれません。

でも、今振り返ってみると、

「36歳がベストだった」というより、「自分の中で準備が整い始めたタイミングだった」

という方が近いように思います。

「いつか」ではなく、小さく始めてみる

新規就農を考えている方に、私がお伝えしたいのは、

「思い立ったときが始めどき」

ということです。

ただし、これは、

「今すぐ会社を辞めましょう」

という話ではありません。

むしろ、思い切らなくてもいいと思います。

いきなり全てを変えなくても、

  • 週末に作物を育ててみる
  • 農家の話を聞いてみる
  • 農業体験をしてみる
  • 興味のある地域を調べてみる
  • どんな農業をしたいのか書き出してみる
  • 必要な資金や収入を計算してみる
  • 事業計画を作ってみる

そんな小さな一歩からで十分です。

そして、具体的に考え始めると、

「自分は何が足りないのか」

「何を準備すればいいのか」

「本当に農業を仕事にしたいのか」

といったことも、少しずつ見えてきます。

「農業を始める」前に、「農業を始める準備」を始める。

これも立派な新規就農への一歩です。

新規就農は、年齢より「自分の状況」を見る

新規就農のベストな年齢に、決まった答えはありません。

だからこそ、

「何歳だから遅い」

と考えすぎる必要もありません。

大切なのは、自分の年齢だけを見るのではなく、

  • 体力
  • 資金
  • 家族
  • 経験
  • 技術
  • 人脈
  • 農地
  • 販売先
  • 目指すライフスタイル

など、自分の現在地を一つずつ整理してみることです。

そして、足りないものがあれば、学んだり、人に相談したり、仕組みを作ったりして補っていく。

それを少しずつ積み重ねていけばいいのだと思います。

「いつか農業をやりたい」

そう思っているなら、今日から人生を大きく変える必要はありません。

まずは、少し調べてみる。

少し育ててみる。

誰かに話を聞いてみる。

計画を一枚の紙に書いてみる。

そんな小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

新規就農・農業起業について、一緒に整理してみませんか?

新規就農や農業起業を考えていると、

「自分の場合、何から始めればいいのか?」

「この年齢からでも可能なのか?」

「どのくらいの規模から始めるべきか?」

「農業を仕事として成立させるには、何を考えればいいのか?」

など、一人では整理しにくいことも出てきます。

私自身も、脱サラして農業法人での経験を経て独立し、現在は農園を経営しています。

これまでの経験をもとに、新規就農や農業ビジネスについての相談・コンサルティングも行っています。

「まだ具体的な計画がないけれど、相談してみたい」

という段階でも大丈夫です。

まずは、自分の現在地と、これからやりたいことを整理するところから始めてみませんか?

新規就農・農業起業について相談してみたい方は、お気軽にお問い合わせください。

「いつか」を「具体的な一歩」に変えるところから、一緒に考えていきましょう。

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この記事を書いた人

脱サラ元公務員。
13年働いた県庁を辞めて、農業法人を経て独立。
ブルーベリー農園を経営しています。

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