ブルーベリー栽培について調べると、
「高品質なのはハイブッシュ系」
「ラビットアイ系は品質が落ちる」
という意見を目にすることがあります。
しかし、本当にそうでしょうか。
私は有機ブルーベリー農園を経営し、多くのラビットアイ系ブルーベリーを栽培していますが、その考え方には少し違和感があります。
今回は、私がラビットアイ系ブルーベリーを主力として栽培している理由と、「収穫技術」が品質を左右するという考えについてお話ししたいと思います。
ブルーベリーには大きく2つの品種系統がある

日本で栽培されているブルーベリーは、大きく分けると
- ハイブッシュ系
- ラビットアイ系
の2つの品種系統があります。
厳密にはハイブッシュ系も
- 北部ハイブッシュ
- 南部ハイブッシュ
- 半樹高ハイブッシュ(ローブッシュ)
などに分類されますが、今回はまとめて「ハイブッシュ系」として話を進めます。
一般的には、
- ハイブッシュ系は寒冷地向き
- ラビットアイ系は暖地向き
と言われています。
しかし近年は気候が大きく変わっています。
私の農園がある長野県安曇野市も、以前は寒冷地と言われていましたが、夏の暑さは年々厳しくなっています。
昔の気候を前提に品種を選ぶ時代ではなくなってきたと感じています。
農業は「育てやすさ」も重要な価値

ラビットアイ系最大の魅力は、何と言っても栽培しやすさです。
- 樹勢が強い
- 暑さに強い
- 土壌への適応性が高い
- 樹が丈夫
こうした特徴は、経営という視点では非常に大きな武器になります。
「難しい品種ほど価値がある」
そう考える方もいるかもしれません。
それも一つの考え方だと思います。
しかし私は、
農業は事業である以上、まずは安定して育つことが重要
だと考えています。
成長や収穫量が安定しなければ、経営は成り立ちません。
だからこそ私は、品種選びにはかなり時間をかけています。
品質は本当にハイブッシュ系の方が上なのか?

品質面では、
「ハイブッシュ系の方が美味しい」
と言われることがあります。
確かに、
- 皮が薄い
- 種が目立ちにくい
- 大粒品種が多い
という特徴があり、食感や見た目では有利な部分があります。
一方ラビットアイ系は、
- 皮がやや厚い品種が多い
- 種を感じやすい品種もある
ため、この点はハイブッシュ系に軍配が上がるかもしれません。
しかし、味はそれだけでは決まりません。
ラビットアイ系最大の魅力は「旨味」

私がラビットアイ系を好きな理由は、
味の濃さ
にあります。
しっかり熟したラビットアイ系は糖度20度を超えることも珍しくありません。

しかし魅力は糖度だけではありません。
甘いだけではなく、
「旨い」
という表現がぴったりの深い味わいがあります。
口いっぱいに広がるコクや余韻は、ラビットアイ系ならではの魅力だと感じています。
美味しさを決めるのは「収穫技術」

ただし、この美味しさには大きな条件があります。
十分に熟した実だけを収穫すること。
これが何より重要です。
熟していないラビットアイ系では、
- 皮が気になる
- 種を感じやすい
- 渋みが残る
といった印象になりやすく、本来の魅力を十分に発揮できません。
ハイブッシュ系の場合は未熟果では酸味が出ることが多いですが、
ラビットアイ系では酸味よりも「渋み」が目立つ場合があります。
つまり、
収穫時期の見極めが品質を大きく左右する品種
なのです。
逆に言えば、
熟した実を見極められる収穫技術があれば、その美味しさは大きく引き出せます。

ラビットアイ系は樹上で比較的日持ちするため、完熟を待って収穫しやすいという特徴もあります。
これは収穫技術を活かしやすい品種とも言えるでしょう。
地域によって評価が変わる品種でもある

ラビットアイ系は地域によって評価が大きく変わる品種でもあります。
関東や東海地方の生産者の方と情報交換をすると、
「評価される品種」
が違うことをよく感じます。
もちろん収穫方法の違いもあるかもしれません。
しかし私は、それ以上に地域との相性が大きいように思っています。
長野県では昔から北部ハイブッシュ系が主流でした。
一方、ラビットアイ系が熟すのは梅雨明け後の8月。
この時期は、
- 雨が少ない
- 晴天が多い
- 日照時間も長い
という条件になります。
完熟させやすい環境が整いやすく、ラビットアイ系には適した地域なのかもしれません。
さらに近年は温暖化の影響もあり、冬の寒害もほとんど見られなくなっています。
「暖地向き」という従来のイメージだけでは判断できない時代になってきていると感じています。
品種だけでは品質は決まらない

「ハイブッシュ系だから高品質」
「ラビットアイ系だから品質が劣る」
そんな単純な話ではありません。
土地に合った品種を選び、
その品種の特性を理解し、
そのための収穫技術を磨く。
その積み重ねによって、本来の魅力は大きく引き出されます。
私の農園でもラビットアイ系ブルーベリーを全国へ発送していますが、多くのお客様から嬉しい評価をいただいています。

それは、品種そのものではなく、
「その品種の魅力を最大限に引き出すこと」を大切にしている結果だと考えています。
まとめ|技術とは「栽培」だけではない

新規就農を目指す方ほど、
「どう育てるか」
に意識が向きがちです。
もちろん栽培技術は重要です。
しかし品質を決める技術は、それだけではありません。
「いつ収穫するか」
という収穫技術も、商品の価値を大きく左右します。
そして、その技術は品種や地域の特性を理解しているからこそ身につくものです。
品種の評判だけで判断するのではなく、
自分の地域で、魅力をどう引き出せるか。
そんな視点を持つことが、これからの農業経営ではますます重要になっていくと私は考えています。
新規就農・ブルーベリー栽培のご相談について
私は長野県安曇野市で有機ブルーベリー農園を経営しながら、新規就農やブルーベリー栽培についてのご相談もお受けしています。
「どの品種を選べばよいのか」
「自分の地域には何が向いているのか」
「収穫・販売まで見据えた農園づくりをしたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
品種のカタログスペックだけでは見えてこない、実際の経営や現場で培った経験をもとに、一緒に考えさせていただきます。
