脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
「ブルーベリーの森あづみの」でメインに栽培しているラビットアイ系ブルーベリーの花が咲き始めました。
同時に下草の花もたくさん咲いて、気持ちのよい季節です。
植物は何で花を咲かせ、散らせるのでしょうか?
「実をならして、種をつくるため。」
植物に詳しい方なら、「遺伝子を多様化するため。」「生息地を拡大するため。」いろいろな答えがありそうです。
生物の循環という視点からも考えてみました。
咲き始めたたブルーベリーの花と「雑草の花」
長野県の安曇野市でラビットアイ系ブルーベリーを栽培すると、西日本や関東と比較して20日から30日ほど開花が遅いと思われます。
収穫時期もだいたい連動して、関東や西日本よりも、そのくらい遅れます。
これは、収穫時期という点では、全国的にブルーベリーが少ない時期に供給できるため、有利な点です。
一方で、この地域は遅霜があり、開花してしまうと花の耐寒性がなくなってしまい、被害で実が減ってしまうおそれがあります。
収量の多いラビットアイ系ブルーベリーとはいっても、収穫可能な可能なかぎり遅く開花してほしいと、いつも思っています。
下草、雑草と呼ばれる植物も小さな花を咲かせています。
以前は、牧草を栽培していた畑でした。
牧草を刈り取って、持ち出していた環境から、刈り取った草が残る環境になりました。
数年間、有機物が徐々に堆積して、有機物の多い、軟らかく、肥沃な土壌になってきました。
同時に、そのような環境に生えやすい、ハコベやヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリなどが増えてきました。
これらの下草は、耕して、肥料を与えても、増えてきます。
しかし、耕してもいませんし、肥料も非常に少量の有機でスタートし、現在では、必要性を感じなくなったので、無肥料で栽培しています。
刈草や生きている植物の働きで、土壌が変化してきていると感じています。
生物の循環と花
花が集めてくれる「天敵」
植物が花を咲かせると、蜜を求めて、昆虫が集まってきます。
それにより、花粉が運ばれて、遺伝的に多様な、子孫が残っていきます。
代表的なものはミツバチですが、ヒラタアブや寄生バチなども非常に多く集まってきます。
蜂というと、イメージされるのは、針をもつ比較的大型の蜂ですが(ミツバチも全体の中では比較的大型だと思います)、
寄生バチなどの種類や数の方が圧倒的に多く、蜂界(?)では主流のようです。
これらのハチは、成虫は蜜を食べますが、
幼虫は蛾や蝶の幼虫に寄生します。
作物を食べる蛾や蝶の幼虫にとって脅威の天敵で、作物を守ってくれます。
それもあってか、ここ2、3年は害虫は全く、取っていません。
大発生せずに勝手に減ってしまうためです。
雑草でも園芸種でも、畑に、花が多い環境というのは、大切ではないかと私は思っています。
花が増やしてくれる菌根菌
花は、窒素化合物などが豊富に含まれているため、子孫を残すという役割を終えて、地面に落下する現象が長い間、不思議に思われていました。
たしかに、地面に落下するので、植物自身の栄養分になるとも言えますが、
落葉前の葉緑体のように、直接吸収してしまった方が効率が良いように思います。
多くの植物に共生するアーバスキュラー菌根菌(AM菌根菌)の研究者のコラムで興味深い内容をみつけました。
花には菌根菌の菌糸の生長を促進する、ポリアミンやフラボノイドなどの物質が豊富に含まれているため、共生する菌根菌のために、花びらを落下させているという説です。
AM菌根菌の生育は、生きた植物の根や菌根菌を増やす、「菌根菌フレンドリー」な物質が大切で、通常、生物が循環する環境では供給されます。
花を構成している物質もそれにあたります。
そう考えると、ソメイヨシノなどは、かなり気前よく、周りにも菌根菌を活性化する花びらを撒いていてくれることになります。
ブルーベリーなどのツツジ科に共生する菌根菌としてはエリコイド菌根菌が有名ですが、ほとんどの植物と共生しているアーバスキュラー菌根菌はブルーベリーにも共生することが知られています。
そういう意味でも、野菜や、果樹などの畑に「花」があることのメリットは計り知れないように思います。
部屋に花を飾ると、心が和むのは、世界共通です。
もしかしたら、私たちも、本能的に花のある環境を好んでいるのかもしれませんね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※「にほんブログ村」のブログランキングに参加しています。 よろしければ、画像をクリックしていただけるとランキングに反映され、励みになります。