2026年のブルーベリー生産が、ひと段落しました。
今年の生産を振り返ってみると、
「前半は例年になく絶好調。後半は例年になく絶不調」
という、かなり極端な一年でした。
農業をしていると、毎年同じようにはいかないことを実感します。
ただ、今年は特にその振れ幅が大きく、
「自然を相手にする農業では、どう備えるか」
「栽培だけではなく、経営としてどう対応するか」
を改めて考えさせられる一年となりました。
今回は、2026年のブルーベリー生産を振り返りながら、そこから見えてきたことを書いてみたいと思います。
8月は、例年になく順調だった

今年の8月は、ブルーベリーの生産にとって非常に良い条件が続きました。
猛暑というほどの極端な暑さではなく、適度に夕立もあり、乾燥しすぎることもありませんでした。
昨年は、猛暑と雨不足の影響から、ブルーベリーの果実にシワが出てしまうことが増えました。
ところが今年は、そのような問題がほとんどありませんでした。
果実の状態も良く、順調に収穫を進めることができました。

さらに、樹が成長したことで収量が増えた品種も多く、
「今年はかなり生産量が増えそうだ」
と感じていました。
実際、8月までの状況は、これまでの経験から見てもかなり好調でした。
樹が成長すると、収量だけでなく「熟期」にも変化が出てくる

一方で、今年は少し興味深い現象も見られました。
樹が成長して花芽が増え、実の量が増えた品種では、昨年より熟期が遅れたり、収穫できる時期のばらつきが大きくなったりしました。
これは、単純に
「樹が大きくなったから収量が増えた」
だけではありません。
剪定の仕方や花芽の量、そして最終的に樹についている果実の量によっても、収穫期に影響が出てくるように感じています。
昨年あたりから一部の品種で感じていたことであり、実際に剪定方法を変えたりもしました、今年の状況から、その見解は間違っていないと実感したので、さらに改良を加えていきたいと思います。
もちろん、品種やその年の気象条件によっても変わります。
まだまだ観察していく必要がありますが、樹が成長して生産量が増えてくると、これまでとは違った栽培管理が必要になってくる。
そんなことを実感した一年でもありました。
これは、農業を始めたばかりの頃には、なかなか見えてこなかった部分です。
9月に入ると、一気に状況が変わった

ところが、9月に入ると状況が一変しました。
台風や秋雨前線の影響もあり、長雨が続きました。
ブルーベリーにとって、雨が続くことは決して良い条件ではありません。
夕立のような短時間の雨が降る場合はあまり被害はありませんが、長い時間をかけて降る雨には大きく影響を受けます。
果実が割れたり、傷んだりするものが増え、収量は大きく減少しました。
その影響で、ブルーベリー狩りも例年より早く閉園することになりました。
8月までの好調ぶりを考えると、その落差はかなり大きなものでした。
正直なところ、
「ここまで頑張ってきたのに……」
と、心が折れそうになる瞬間もありました。

しかし、農業では、そこで立ち止まってしまっても状況は変わりません。
まだ収穫できるブルーベリーがあります。
そして、お客様からいただいている注文もあります。
そこで、長雨の影響を比較的受けにくかった中晩生品種を中心に、残った果実をできる限り収穫していきました。
結果として、発送注文については、受注した分をすべて完遂することができました。
これは、今年の中でも大きな収穫の一つだったと思います。
「多様な品種」が、リスク分散になった

今回の経験を通して、改めて感じたことがあります。
それは、
多様な品種を育てておくことが、農業経営上のリスク分散につながる
ということです。
ブルーベリーは品種によって、収穫時期がかなり異なります。
そのため、少数の品種だけに生産を集中させるのではなく、早生から中生、中晩生まで、ある程度幅を持たせておく。
そうすることで、ある時期に気象条件が悪くなっても、別の時期に収穫できる品種が残っている可能性があります。
もちろん、品種を増やせば良いという単純な話ではありません。
品種が増えれば、剪定や収穫、販売などの管理も複雑になります。
それでも今回、
雨による被害も基本的に熟している実におきやすいため、まだ熟していない中晩生の品種により助けられました。
「収穫時期の異なる品種を持っていること自体が、一つの経営上の備えになる」
ということを、実際の生産を通して強く実感しました。
農業では「豊作のとき」だけを基準にしてはいけない

今年の経験から、もう一つ考えるようになったことがあります。
それは、生産量だけではなく、どの時期に、どれだけ生産できるのかを見ることです。
今年は8月が非常に好調でした。
一方で、9月は長雨によって大きく生産量が落ちました。
そう考えると、今後は販売についても、比較的気候が安定している8月の受注割合をもう少し増やすことを検討していきたいと思っています。
それに合わせて、
- どの時期に注文を受けるか
- どの時期にどれだけ収穫するか
- どこに人員を配置するか
- どの品種をどの販売先に振り分けるか
といったことも、改めて考える必要があります。
つまり、栽培だけを考えるのではなく、
「生産・販売・人員配置を総合し一つの経営として考える」
ということです。
これは、新規就農を考えている方にも、ぜひ意識してほしいところです。
それでも、2026年の生産量と売上は前年を上回った

ここまで書くと、2026年は散々な一年だったように感じるかもしれません。
しかし、年間を通して見ると、少し違った結果になりました。
8月の好調もあり、年間の生産量は前年を1割以上上回ることができました。
売上も、2割以上前年を上回りました。
トータルでみると、結果自体は決して悪くはありませんでしたが
正直なところ・・・
「もし9月の長雨がなかったら……」
という気持ちはかなり残りました。
もう少し収穫できたはずですし、もう少し販売できたはずです。
それでも、今年のような厳しい気象条件があった中で、前年以上の生産量を確保し、一定以上の結果を残せたことは、自分自身にとって一つの自信になりました。
そして何より、
頑張って実をつけ、最後まで収穫させてくれたブルーベリーたちに感謝です。
新規就農では「うまくいく方法」だけでなく「うまくいかなかった時」を考える

新規就農を考えている方と話をしていると、
「どの品種を植えればいいですか?」
「どれくらい収穫できますか?」
「どうすれば売上を伸ばせますか?」
といった質問を受けることがあります。
もちろん、これらも重要です。
ただ、実際に農業を続けていると、
「うまくいく方法」だけを考えていても足りない
と感じます。
むしろ、
「もし収量が半分になったらどうするか」
「雨が続いたらどうするか」
「予定していた時期に収穫できなかったらどうするか」
「人手が確保できなかったらどうするか」
といった、想定外への対応を考えておくことも重要です。
農業では、自然そのものをコントロールすることはできません。
だからこそ、
自然を変えるのではなく、自然による振れ幅を受け止められる経営をつくる。
私は、そこに農業経営の面白さの一つがあると思っています。
まだまだ農園のポテンシャルは高い

2026年は、非常に振れ幅の大きな一年でした。
前半の好調と後半の苦戦。
その両方を経験したことで、これまで見えていなかった課題も、逆に強みも見えてきました。
そして、年間を通して見ると、前年を上回る生産量と売上を確保することができました。
そう考えると、
この農園には、まだまだ伸ばせる余地がある。
そう感じています。
樹が成長し、生産量が増えてきたからこそ、今までとは違う栽培管理が必要になってきました。
販売方法についても、気候や収穫時期を考えながら、さらに改善できる部分があります。
人員配置についても、より効率的な形を考える余地があります。
つまり、農園そのものが次の段階に入ってきたのだと思います。
来年は、今年の経験を「改善」に変えていく

農業では、毎年すべてが思い通りになることはありません。
だからこそ、その年に起きたことを、
「今年は大変だった」
で終わらせるのではなく、
「では、来年はどうするか」
につなげていくことが大切だと思っています。
2026年の経験を踏まえ、
- 品種構成
- 剪定や花芽の調整
- 収穫時期
- 受注時期
- 販売量の配分
- 人員配置
などを見直しながら、より安定した生産・販売につなげていきたいと思います。
もちろん、来年も天候次第で想定外のことは起こるでしょう。
それでも、今年の経験があれば、以前より少しだけ準備した状態で、その変化を迎えることができます。
自然をコントロールするのではなく、自然と向き合いながら、自分たちが変えられる部分を一つずつ改善していく。
これからも、ブルーベリーたちの状態をよく観察しながら、栽培だけではなく経営面も含めて、コツコツと取り組んでいきたいと思います。
そして、来年は今年以上に良い形で、この農園の力を引き出せるように。
2026年の経験を、次の一年につなげていきます。