女性一人でもブルーベリー栽培はできる?体力より大切な農業の工夫

以前、うちの農園に見学に来られた女性の方から、こんな質問をされたことがあります。

「女性一人でも、ブルーベリー農園を運営できますか?」

おそらく、この質問の背景には、

「農業は体力や筋力が必要なのではないか?」

という疑問があったのだと思います。

たしかに、農業には重いものを運んだり、機械を扱ったりする作業があります。

そのため、「農業=体力勝負」というイメージを持つ方も少なくないでしょう。

では、実際にブルーベリー農園を運営する場合はどうなのでしょうか。

私の経験から言えば、栽培方法や販売方法にもよりますが、現在のうちの農園のような形であれば、女性一人でも十分に可能だと思います。

もちろん、これは「農業には体力が必要ない」という意味ではありません。

大切なのは、どのような作物を、どのような方法で育て、どのように販売するのかによって、必要な体力は大きく変わるということです。

目次

ブルーベリー栽培は「重労働」より「繰り返し作業」が多い

ブルーベリー農園の作業を考えてみると、収穫や剪定など、同じような作業を繰り返す場面がたくさんあります。

たとえば収穫。

一粒ずつ熟した実を確認しながら、丁寧に摘み取っていきます。

剪定も同じです。

枝を一本ずつ見ながら、

「この枝は残すか?」

「この枝は切るか?」

と判断し、それを何度も繰り返します。

こうした作業は、もちろん時間がかかります。

しかし、必ずしも「重いものを持ち続ける作業」ではありません。

むしろ必要なのは、

丁寧に作業を続けること。
細かな違いを見ながら、粘り強く作業すること。

だったりします。

これは、必ずしも筋力の強さだけで決まるものではありません。

私自身も、特別に体力があるわけではありません

ちなみに、私自身も特別に体力があるわけではありません。

農業を始める前から、ずっと体力に自信があったわけでもありません。

そして、現在の農園で働いている私以外のスタッフは、全員女性です。

もちろん、作業内容によっては大変な場面もあります。

それでも、日常的な栽培管理や収穫などについては、女性だからできないというような作業ではありません。

むしろ、農業を続けるうえでは、

「どれだけ力があるか」

だけではなく、

「どうすれば無理なく続けられるか」

を考えることのほうが重要なのではないかと思います。

草刈りも「力」だけで解決する必要はない

農業で「体力が必要」と感じやすい作業の一つが、草刈りです。

夏の暑い時期に、広い農地の草を刈る。

これを想像すると、かなり体力が必要そうに感じます。

実際、草刈りは消耗する作業です。

でも、だからこそ、

「どうやって草刈りをするか」

を工夫します。

たとえば、暑い時間帯を避ける。

乗用モアなどの機械を使う。

そして、そもそも「本当にすべての草を刈る必要があるのか?」を考える。

うちの農園では、草の状態や種類を観察しながら、必要以上に草を刈らない管理をしています。

その一例が「99%刈らない」草管理です。

草をすべて人間の力で抑え込もうとするのではなく、草の性質や季節の変化を見ながら付き合っていく。

そうすることで、作業量そのものを減らすことができます。

つまり、体力をつけることだけが解決策ではありません。

そもそも、体力を使う作業を減らす。

これも農業経営の一つの方法だと思っています。

それでも、少し力が必要な作業はある

もちろん、ブルーベリー栽培なら何でも楽にできる、というわけではありません。

私が思うところでは、特に力が必要なのは「植え付け」です。

ブルーベリーを植えるときには、木材チップを運んだり、敷設したりする作業があります。

これには、それなりに力が必要です。

ただし、植え付けは毎日の作業ではありません。

毎年、大量に植え替えるわけでもありません。

だからこそ、

・一時的に誰かに手伝ってもらう
・運搬機械などを利用する
・作業を少しずつ進める
・植え付け時だけ人手を確保する

といった方法が考えられます。

植樹体験の画像

「一人で農業をする」といっても、

すべての作業を、すべて自分一人の力だけでやらなければならない

ということではありません。

ここは、意外と重要なポイントだと思います。

「一人でできる農業」は、作物選びから始まっている

農業を始めるとき、

「自分に農業ができるだろうか?」

と考える方は多いと思います。

でも、私は少し考え方を変えて、

「自分ができる農業とは、どんな農業だろう?」

と考えてみてもよいと思います。

たとえば、

・重いものを大量に運ぶ作物なのか
・細かな作業が多い作物なのか
・機械化しやすい作物なのか
・収穫時期が集中するのか
・長期間にわたって収穫するのか
・どのような販売方法をするのか

こうした条件によって、必要になる体力や人手は大きく変わります。

以前の記事でも書きましたが、農業に必要な体力は、作物やビジネスモデルによってかなり違います。

だから、「農業は体力が必要だから、自分には無理」と最初から決めてしまうのは、少しもったいない気がします。

「できるか?」より「どうやったらできるか?」

もちろん、規模が大きくなれば、一人ですべてを行うことは難しくなります。

収穫期など、短期間に作業量が増える時期には、人を雇うという選択肢もあります。

逆に、まだ規模が小さい段階なら、できるだけ一人でできる仕組みにすることもできます。

今回の「女性一人でもブルーベリー栽培はできるのか?」という質問について、私なりに答えるなら、

「できます。ただし、体力だけで乗り切ろうとしないこと。」

だと思います。

作物を選ぶ。

栽培方法を選ぶ。

販売方法を考える。

機械を使う。

作業時間を変える。

必要なところだけ人に頼る。

そして、そもそもの作業量を減らす。

こうして考えていくと、

「一人ではできない」と思っていたことの中にも、「こうすればできる」という方法が意外とたくさんあります。

これは、女性に限った話ではありません。

男性であっても、体力だけに頼って農業を続けるのは、決して良い方法ではないと思います。

農業は長く続けていく仕事だからこそ、

「自分の体力に合わせて農業を設計する」

という視点が大切なのではないでしょうか。

「女性一人でもできる農業」という問いは、実は、

「自分らしく続けられる農業を、どう設計するか?」

という問いなのかもしれません。

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この記事を書いた人

脱サラ元公務員。
13年働いた県庁を辞めて、農業法人を経て独立。
ブルーベリー農園を経営しています。

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