脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
農業に関わらず、何らかの「事業」をやっていると、「行政機関」と関係すること出てきます。
許認可や補助金などの申請手続きなどが関係あるためです。
実は、私自身も2つの県の県庁で10年ちょっと、行政の仕事をしていました。
今は、逆の立場で行政機関の人と接しています。
そういった、2つの視点から、「行政機関」との付き合い方やコツなどについて書いてみました。
自分でもよく勉強してから相談する
相手まかせにしない
まず、大切なことは、行政機関に相談するときは、
相手任せにせず、制度や法令などについて、自分でもある程度把握してから相談することだと思います。
行政機関の人もいろいろなタイプがいますが、
必ずしも、親身になってくれる人ばかりではありません。
また、人事移動などで、必ずしも精通している担当者ばかりではありません。
そのため、自分でも勉強して、疑問点を確認にいくくらいの方が確実にスムーズにいきます。
私は、補助金でも許認可でも、
関係する法令(法、施行令、施行規則など)や例規(要領要綱など)は自分でも一通り全部読んでから話にいくようにしています。
行政が普通に間違えていた事件・・・
行政の担当者は、3年程度で異動して、全く違う分野の仕事をすることも少なくありません。
担当者自体が、精通していないことも実際にはあります。
これは、私が個人事業主になってから、実際にあったことですが・・・
ある許認可手続きをやっていたところ、これまで、その部署が処理していた手続きに誤りがあることがありました。
法令の解釈自体に誤りがあり、適用している条項自体が別ものでした。
それにより、手続きの種類が変わってきます。
その解釈で、手続きに関わる労力と処理に関わる期間が、申請者側も行政側も相当違ってくることになります・・・。
具体的な内容は差し控えますが、正直「冗談じゃない!」というレベルの話です。
私が、自分でも勉強し、制度的なものをある程度理解していたため、誤りに気が付くことができ、事なきを得ましたが・・・
何故、これまで、そんなことになってしまっていたのか・・・正直驚きでした。
そういった「事故」を防ぐ意味でも、自分でもなるべく把握しておくことが大切です。
制度の調べ方
法制度には、
法(法律)>施行令(政令)>施行規則(省令)
といった法令関係。
行政機関の内規や処理方針としての、
「事務処理要領」「事務処理要綱」「技術的基準」
といったものが紐づいています。
最近では、ほとんどのものがインターネットで公開されていますので、少なくとも国で発出しているものは見ることができます。
県や市町村では公開していないこともありますので、疑問があれば、なるべく見せてもらうようにしています。
程よい距離感で接する
行政の「指導」は「任意のお願い」です
行政行為には、おおまかに「行政処分」と「行政指導」があります。
行政「処分」は、命令や許可など、法令に基づいて拘束力のあるものです。
一方、行政「指導」は、「任意のお願い」のことです。
指導という言葉から誤解を生みやすいですが、義務ではないけれども、制度や行政の運営上、「そうしてほしい」「そうあるべき姿」へ誘導するため、
行政側が「任意の協力」を得るものです。
身近な例かはわかりませんが、警察の「任意同行」もこれにあたります。
行政の人でも、行政指導に意味がよくわかっていない人や、「義務」なのか「任意」なのか、混乱して説明している人も少なくありません。
行政機関で定められている要領や要綱も、法令で規定されていなければ、ただの事務を実施するための「内規」でしかないので、
厳密に言えば、内規に書かれていることでも、法令等で求められていなければ、行政機関以外の人は拘束されません。
私が現役の頃から思っていたことですが、行政の人でも、なぜかこのような根本的なことを理解していない人がけっこういます。
任意のお願いといっても、背景に許認可や補助金の交付などの関係性があると、無言の圧力となり、比較的言うことをきく人が多い傾向は確かにあります。
何も考えずにやっていれば、「行政指導」の意味を勘違いしやすいのかもしれません。
制度を理解していると対等に交渉ができる
前述の法令や制度を理解していると、どこまでが「義務」なのか、どこまでが「任意」なのか、自分がはっきりわかった状態で話をすることができます。
内容にもよりますが、「指導」によっては莫大な資金や労力がかかる場合もあるため、大切なポイントです。
また、自分である程度理解していれば、前述のような相手側の解釈の誤りなどに気が付くこともできます。
私が、現役の行政マンだった頃は、必ずそこを整理して対応をしていました。
担当者である自分が危なかったからです。
当時は、メガソーラーなどの森林の開発が非常に多く行われており、その許認可などを担当していました。
義務ではないことを、事業者の負担で行わせると、大きなトラブルなることもあります。
大きなお金が動くため、弁護士が同行してきたり、地元の住民が反対してて板挟みになるなど、
常にトラブルと隣り合わせであったため、訴訟になった場合に、そなえて判例なども調べたりもしていました。
任意や義務の部分がはっきり理解していない行政担当者は、これまで対外的な、危機に直面したことがないのかもしれません。
行政と補助金
~補助金は「支払わなければならない」お金~
私は、補助金をもらうことが少ないので、あまり補助金関係で行政の方と接する機会はそんなにありませんが、
農業や林業などは非常に多くの補助金があります。
補助金など、お金が絡むと、なんとなく上下関係ができてしまうことがあります。
しかしながら、補助金というのは、行政として支援すべき内容について要件が満たされていれば、
公に「支給すべき」お金です。
支給することが、公共のためになる(ということになっている)からです。
行政同士の関係でも、地方自治体と国は法律上は対等ですが、
地方交付税交付金などの財源の多くの国の予算が握っていたり、地方自治体も国の補助金をもらっているので、
なんとなく、国>県>市町村という優劣関係になってしまいがちでした。
単純に、支給する相手側に「よく思われない」と面倒だからです。
本来は全て対等な関係です。
おもしろいのは、同じ機関でも部署が補助金に関係あるかによっても違いがあることです。
例えば、補助金を支給に関係ある国の部署はちょっと上から目線なのに、
補助金に関係のない国の研究機関などはちょっと腰が低いという印象がありました。
支給している機関や担当者は、単に役割にすぎませんので、
「支給してやっている」と、もし、思っているとしたら、大きな勘違いです。
補助金があるということは、背景はいろいろあるにしても、公に、公共の福祉に資すると認められている行為だということです。
「支援に値することをしている」ということは、ある意味では「もらって当然」とも言えるものです。
公的なお金を頂いていることや、
手続きに色々と尽力してくれる行政の担当にもそっと感謝しつつも・・・
補助金をもらうこと自体が何らかの優劣関係に繋がるものではないことは、お互いに忘れずにいたいものです。
行政の人も人間です ~感謝されることが少ない仕事 ~
行政はお客さんを選べない
行政の仕事というのは「褒められることが少ない」仕事です。
成果がわかりにくく、まじめに仕事をしても、
何故か「税金で食わしてやっている」という発想の人までいます。
行政機関で働いている人も税金は払っているのですが(笑)
行政にクレーマーが多いのは、「お客さんが選べないから」ではないかと思います。
民間企業であれば、極端なことを言えば「顧客」以外の人はそれほど大切ではないので、
あまりに、ひどいクレーマーは、「あなたはお客様ではありません」という対応をすることもできます。
一方、行政機関は、国民や県民、市民が顧客です。
行政サービスを選ぶことはできませんが、行政側も顧客を選ぶことができません。
そのため、クレーマーと呼ばれる人にターゲットにされやすい傾向があります。
私が現役の行政マンだった頃も、多くのクレーマーがいて、無駄な時間と気力が削られていき、非常に大変だった思い出があります。
対等なパートナーとして、リスペクトしながら接していく
行政の仕事は褒められることが少ないですが、
一方で行政機関が機能してくれなければ世の中がうまく回っていかないのも厳然たる事実です。
業務の範囲でしか動けなくても、融通がきかなくても、その仕事をしてくれるからこそ、
世の中が成り立っていることはたくさんあります。
私が新規就農で農地を探していたときなども、行政の方がつないでくれたからこそ、今の農地をお借りすることができました。
本当に感謝しています。
そういった感謝をしっかり伝えたり、
やらなければならないことはやるけど、言うべきことも言う。
お互いに協力できることは、協力する。
立場は違いますが、対等なパートナーとして、人としてリスペクトしながら接していくことが大切だと思っています。
まとめ
私が前職で行政の仕事をしていたので、ちょっと思い入れが強すぎて・・・なんだか長々と書いてしまいました。
一番言いたかったのは、頼るところは頼りつつも・・・・対等なパートナーとして、
やるべきことはやるし、言うべきことは言うというスタンスが大切だということです。
自分の主張の丸投げだけでは単にクレーマーになってしまうので、リスペクトも忘れずに・・・
行政機関とはそういった距離感がいいのではないかと思っています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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