脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
「ブルーベリーの森あづみの」では、ブルーベリーを「草生栽培」しています。
草生栽培というのは、下草(牧草だったり雑草だったりいろいろなパターンがあります)を生やしながら栽培する方法のことです。
今回は、ブルーベリー観光農園をやってみて、草生栽培のメリット・デメリットについて書いてみました。
ブルーベリー観光農園での草生栽培のメリット
栽培面でのメリット
草を生やすことで、得られる栽培面でのメリットは、たくさんあります。
一つは、草生栽培により「水はけがよくなる」ことです。
植物の根が地中に深く張り、物理的に水はけがよくなるほか、植物が根のまわりに微生物を呼び寄せるため、土壌が団粒構造を形成しやすくなります。
水はけと水持ちを両立させる団粒構造は、植物と微生物の共同作業によってつくられるため、作物が生育しやすい環境になります。
ブルーベリー栽培で最も大切なのは「水はけのよさ」ですので、かなり重要な点です。
また、植物があることで、農園に住む生物が多様化し、害虫がいてもそれを食べる天敵もいるといった環境をつくるので、害虫の被害が小さくなります。
こういった環境づくりは、無農薬で栽培する場合にはとても大切なことです。
さらに、植物が地表を覆うため、夏の日差しからの遮熱効果が高く、作物を守ったり、土壌が乾燥しにくくなることもメリットです。
最近、夏の猛暑が激しく、夏の暑さ対策が特に重要であることから、今後ますます重要となる点です。
刈り取った草も、堆肥化し、土を良くしてくれます。
非常にサスティナブルは管理方法だと言えます。
(↑刈草は徐々に堆肥化して、土を良くします)
観光農園でのメリット
「観光農園」という観点からはどうでしょうか?
一つは草の緑により景観がよくなるという点です。
(↑緑は、景観上も優れている)
管理がゆきとどいているという前提になりますが、緑の多い環境は、景観上も優れており、自然とのふれあいなどを求めるお客様には、とても良い環境を提供をすることができます。
また、前述の草による遮熱効果はお客様にとっての快適さにもつながります。
コンクリートや防草シートなど人工物は、夏の照り返しが激しいため、より暑く感じてしまいます。
私自身、以前農業法人で働いていたときに、防草シートを全面にはっていた圃場で、作業していて、倒れそうになったことがあります。
草が生えることで、体感温度は全く違ってきます。
さらに、草があることで、カエルやトンボ、バッタなど、いろいろな生き物が増えるので、それらは天敵効果意外にも、子どもたちを楽しませてくれて、
草は子どもたちに遊び場を提供することにつながります。
(↑虫がたくさんすんでいるので、子どもたちを飽きさせません)
ブルーベリーでおなかが一杯になっても、子どもたちは飽きることなく、遊ぶことができ、大人もゆっくりとブルーベリーやスウィーツを楽しむことができるのです。
(↑トンボもたくさん飛来します)
ブルーベリー観光農園での草生栽培のデメリット
栽培の面でのデメリット
栽培面でのデメリットは、実はあまり感じたことがないのですが、あえて言うならば、
特に樹が小さい頃は、油断すると、草の勢いにブルーベリーが埋もれそうになることです。
(↑特にブルーベリーが小さい頃は草に埋もれやすい)
草の勢いに負けるというのは、「光が遮断」と「根の競合」が主なものだと思います。
養分のとりあいという表現がされる場合もあるのですが、元々、圃場全体の養分全てを植物が利用できるわけではないので、私はあまり重要視していません。
ブルーベリーの周りには木材チップでマルチングしてあるので、すぐ近くにあまり生えてくることはないのですが、まわりの草丈が大きくなると、日の射す方向により、日陰になることもあります。
しかし、ブルーベリーは思っているほど、日光を必要とするタイプではないように思います。
ブルーベリーのようなツツジの仲間の低木はもともと、森林の中では上層にもっと大きい木があることが多いので、そういう傾向があるかもしれません。
むしろ、真夏などは、多少日陰の方がいいのかもしれません。
余談ですが、森林の中の低木は、進化の過程でいうと、高木よりも進化している部類で、あえて、低木になった生物が多いそうでう。
高木になると、光を獲得する競争に負けると生き残れませんが、光をあまり必要としない低木は、全体的に、生き残る確率が高くなるといった戦略のようです。
周りの草が大きくなって、ブルーベリーがぱっと見、覆われているように見えても、実はあまり問題なさそうに見えるのですが・・・
農地や観光農園としての快適な景観にも配慮しながら、やりすぎない程度に草を刈り、整えている感じです。
定期的な草刈りは必要ですが、乗用草刈り機で刈りにくい場所なるべく作らないなど、農園のレイアウトなどを工夫することで、労力や時間を少なくしています。
観光農園でのデメリット
観光農園としての草生栽培のデメリットは、草を常に、整えておくことが必要だという点です。
(↑観光農園のオープン期間中は、草刈りを通常よりまめにやってます)
草が人間に与える印象で、まばらの長さに生えていると、「荒れた」印象を与えてしまいます。
そのため、ヘアカットのように、整えるように、草を刈っています。
観光農園の場合、栽培で最低限必要な頻度よりは、草刈りの回数が多くなります。
乗用で刈っているので、あまり大変ではありませんが、もちろん、開園中は危ないのでやりません。
草刈りが閉園時間中か休園日に限られる点も草生栽培のデメリットかもしれません。
お客さんの靴が汚れるといったことは、実はほとんどなく、水はけがよく土が露出していないので、あまり汚れないようです。
しかし、急な雨などが降ったときに、草が濡れて、お客さんの靴が濡れてしまうことが考えられます。
昨シーズンは途中から、無料で靴カバーを提供することにしました。
(↑急な雨対策に靴カバーを用意してます)
ベビーカーなどには対応できていないと思っていたのですが、
昨年、来ていただいたお客様で「ベビーカーでも結構大丈夫だよ。」と言っていただけたことがありました。
わずかな傾斜がありますが、凹凸があまりなく、タイヤがあまり沈み込んだりもしないからかもしれません。
(↑ベビーカーでのお客様。バッタをみつけた?)
農園にきていただいた、お客さんに実際にいろいろお聞きしながら、さらにニーズを研究していきたいと思います。
まとめ
総合的にみて、うちの農園の場合は草生栽培は観光農園という面でもメリットの方が大きいと感じています。
ブルーベリーの森あづみのは、自然の力を活かした栽培・摘み取り体験、やサスティナブルな運営などをテーマにしておりますので、コンセプトにはあったものですが・・・
このあたりは、農園のコンセプトやターゲット層によっても全く意味が違ってきますので、
自信のやりたい方向性なども踏まえて、選択していくことが大切だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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