最近、ブルーベリーの森あづみのに、農園見学や視察に来ていただく機会が増えてきました。
農業を始めたい方。
ブルーベリー栽培に興味のある方。
農業関係者の方。
そして、行政機関などからの視察もあります。
県内だけでなく、県外から来ていただくこともあります。
以前から農園見学は受け入れていましたが、基本的には無料で対応してきました。
ところが、見学者が増えてくるにつれて、
「このままでいいのかな?」
と考えるようになりました。
そこで現在、農園見学・視察については、基本的に有料でお受けする形にしています。
今回は、なぜ有料にすることにしたのか。
そして、私が考える「農園見学の価値」について書いてみたいと思います。
農園を見てもらうだけなら、それほど難しくない

農園見学というと、
「畑を案内して、質問に答える」
というイメージがあるかもしれません。
実際、それだけなら、それほど大変なことではありません。
しかし、見学の方が増えてくると、少し事情が変わります。
見学の時間を確保する。
農園を案内する。
質問に答える。
必要な資料を準備する。
場合によっては、事前に質問をいただいて、それについて調べたり、説明内容を考えたりする。
こうして考えてみると、農園見学には、実はそれなりの時間がかかっています。
特に、行政機関や農業関係者などの視察では、
「せっかく来ていただくのだから、できるだけ役に立つ話をしたい」
と思います。
すると、単純に1~2時間農園を案内するだけではありません。
その前後にも、準備の時間があります。
「経験」も、農家が提供できる価値の一つ

農園に来ていただいた方から、
「どうしてこの栽培方法にしているんですか?」
「この品種を選んだ理由は?」
「観光農園はどのように始めたんですか?」
「実際にやってみて、一番大変だったことは?」
といった質問をいただくことがあります。
こうした質問に答えるためには、教科書やインターネットに書いてあることだけでは足りません。
実際に農業を始めて、
やってみて、
失敗して、
工夫して、
またやってみて。
そうして積み重なった経験があります。
もちろん、私の経験がそのまま他の農園で使えるわけではありません。
地域も違えば、土地も違います。
人も違います。
販売方法も違います。
だからこそ、
「これが正解です」
と教えるというより、
「私はこう考えて、こうやってみました」
という実例をお伝えすることに意味があるのだと思っています。
無料だから、良い見学になるとは限らない

以前は、無料で見学していただくことにも特に疑問を持っていませんでした。
「農園を見たい」と言ってくださるなら、できるだけ見てもらえばいい。
そんな気持ちでした。
ただ、見学者が増えてくると、少し違うことも見えてきます。
無料の場合、
「ちょっと見てみたい」
という方から、
「農業を始めるために、本気で知りたい」
という方まで、いろいろな方が来られます。
もちろん、どちらが悪いという話ではありません。
ただ、私の時間も限られています。
そこで、
「せっかくなら、本当に知りたいことがある方に、しっかり時間を使いたい」
と考えるようになりました。
有料にすると、参加者にもメリットがある

そこで、農園見学・視察を有料にすることにしました。
現在は、
基本料金4,400円(税込)
1~2時間、20名までを基本としています。
「見学するのに4,400円?」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、私はむしろ、
有料にした方が、参加者にとって得られるものが大きくなる
と考えています。
なぜなら、料金をいただく以上、
「せっかく来ていただくのだから、きちんと準備しよう」
という気持ちになるからです。
そして、参加される方にも、
「今回、何を知りたいのか?」
を事前に考えていただきやすくなります。
「知りたいこと」を事前に教えてもらう

現在は、見学・視察のお申し込みの際に、
「今回の見学で特に知りたいこと」
を教えていただくようにしています。
これは、単なる受付項目ではありません。
実は、とても重要な質問だと思っています。
例えば、
「ブルーベリーの剪定について知りたい」
という方と、
「これから観光農園を始めたい」
という方では、同じ農園を見ても、見る場所が違います。
「有機栽培について知りたい」
という方なら、栽培方法を中心にお話しした方がいい。
「農業経営について知りたい」
という方なら、販売や価格、仕事の組み立て方についてお話しした方がいい。
つまり、
同じ農園でも、知りたいことによって、見るべきものが変わります。
だからこそ、事前に知りたいことを教えていただく。
そして、できるだけそのテーマに合わせて、当日の時間を使う。
その方が、参加者にとっても有意義な時間になると思っています。
農園見学は「答えをもらう場所」ではない

ただし、私は農園見学を、
「成功する方法を教えてもらう場所」
にはしたくありません。
農業は、地域や条件によって大きく変わります。
私の農園でうまくいったことが、別の場所でもうまくいくとは限りません。
だから、
「こうすれば成功します」
ではなく、
「私はこう考えて、こうやってきました」
という経験をお伝えしたい。
その上で、
「自分だったらどうするだろう?」
と考えてもらえたら、一番いいと思っています。
私自身も、たくさんの農園を見てきた

考えてみれば、私自身も農業を始める前から、たくさんの農園を見てきました。
農業法人で働いていた頃も、独立する前も、実際の農園を見学したり、視察したりしてきました。
農園を見て、
「これは面白いな」
と思ったり、
「自分ならこうするかもしれない」
と思ったり。
実際の現場を見ることで、本やインターネットだけでは分からないことがたくさんありました。
そして今度は、自分が見てもらう側になっています。
そう考えると、農園見学というのは、
経験を一方通行で教えるものではなく、経験を次の人につないでいくもの
なのかもしれません。
「時間」にも価値がある

農業をしていると、
「畑にあるもの」には価値を感じやすいです。
ブルーベリー。
苗木。
農産物。
商品。
でも、実際には農家が持っているものは、それだけではありません。
これまで積み重ねてきた経験。
失敗から学んだこと。
判断してきたこと。
そして、それを整理して伝える時間。
こうしたものも、農家が提供できる価値の一つなのだと思います。
今回、農園見学を有料にすることにしたのは、
「無料で対応したくないから」
というより、
自分の時間や経験も含めて、きちんと価値として扱ってみよう
と思ったからです。
小さな農園でも「サービス」はつくれる

農業というと、
「何を作るか」
ばかりを考えがちです。
もちろん、作物を育てることは農業の中心です。
でも、農業を仕事として考えるなら、
「自分は何を提供できるのか?」
という視点も大切です。
農産物を販売する。
収穫体験を提供する。
農園を見てもらう。
知識や経験を伝える。
相談に乗る。
こうして考えていくと、農家が提供できるものは、意外とたくさんあります。
大きな設備がなくても、
新しい施設を建てなくても、
今までやってきたことの中に、価値が眠っていることがあります。
今回の農園見学の有料化も、その一つです。
「見る」から「学ぶ」へ

農園見学に来ていただく方には、
「農園を見て終わり」
ではなく、
「自分の農業や仕事について考えるきっかけ」
を持ち帰っていただけたらと思っています。
そのために、
何を知りたいのかを事前に聞く。
必要であれば資料を準備する。
当日は、そのテーマについてできるだけ具体的に話す。
そして、質問にもできるだけお答えする。
そんな形で、これからの農園見学・視察をつくっていきたいと思います。
もし、
「ブルーベリー農園を実際に見てみたい」
「観光農園について知りたい」
「新規就農について話を聞いてみたい」
「農村での仕事づくりについて相談したい」
という方がいれば、ぜひ一度、実際の農園を見に来てください。
きっと、写真や文章だけでは分からないことがあると思います。
そして私自身も、
「農園を見てもらうことで、何を持ち帰ってもらえるだろうか?」
ということを考えながら、これからも受け入れていきたいと思っています。

