脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。
農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。
農作物の栽培というと、肥料を作物に与える印象があるかもしれません。
農法によって、無肥料であったり、少ない肥料であったり、たくさん与えたりと、いろいろバリエーションはあると思います。
さらに、野山の植物は、肥料などは与えられないので、別の仕組みで栄養分を得ています。
今回は、「リン酸」の供給源について、自然の状態に近い場合ではどのように与えられるのか、について書いてみました。
リン酸は海底からやってきた
窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)は、3大元素と呼ばれます。
3大元素は、植物を構成していたり、利用している量が多いというだけで、3大元素だけが充実していればいいというわけではないのですが、一般的には重要視されています。
そのうちのリン酸(P)は、呼吸作用や体内のエネルギー伝達、生長、分けつ、根の伸長、開花、結実に関与しています。
「実肥え」とも呼ばれ、結実以外にタマネギの肥大などにも重要です。
植物が利用しているミネラル分は、もともとは地球の内部に含まれている鉱物でした。
火山の噴火などで、地上や海底に噴出され、地表面に現れてきたものだと言われています。
リン酸は、もともと海底に噴出されたものが、プランクトンにより接種され、プランクトン⇒魚⇒鳥⇒鳥のフンで地上へ、という流れで、地上に増えてきたもののようです。
現在、日本全国の畑には、リン鉱石から作られた化学肥料由来のリンが大量に蓄積されているそうですが、もともとは、ゆっくり、ゆっくりと地上に増えてきたものです。
自然のリン酸の供給源
リン酸は、自然界では、主に「動物(鳥や虫などの小動物含む)のフンや死骸」、「植物の種」から供給されます。
特に動物は、人間も含めて、リン酸で構成されている割合が高く、一般的に体内にリンを蓄える傾向があります。
リン酸は土壌中では、腐食やアルミニウムなどにキレート(結合)されてしまうことが多く、あまり動かない物質です。
そいう意味では、動物がリン酸を運んでいるとも言えます。
植物に吸収されたリンは、それを動物が食べ、動物がフンをしたり、死んでしまうことで、再び土壌に戻っていきます。
また、植物の種にはリン酸が含まれており、発芽しなかった大量の種は、そのまま土壌へ戻されます。
なお、有機農業などでは、植物の種に含まれるリン酸と同じ効果のある「米ぬか」で疑似的にこの効果をもたしているのではないかと思われます。
樹木と鳥のWINーWINな関係
実をつける樹木は、鳥に実を食べてもらうことで、子孫を広げることができますが、それだけでなく、鳥がたくさんくることで、鳥のフンからリン酸を得ることができます。
晩秋に広葉樹林を歩くと、よくみかける「ヤドリギ」は、根をもたずに、他の樹木に寄生して生きる植物です。
一方でヤドリギは、鳥が好む実をつけるため、鳥がたくさん集まります。
鳥を呼んでくれるヤドリギは、「寄生」されている宿主にとっても、メリットがあり、「共生」に近いのではないかと、私は考えています。
また、サバンナの乾燥地帯に生えるある植物は、シマウマなどにある程度食べられると、「味」を悪くする物質を出すそうです。
初めから、味を悪くすればいいのに・・・と思いますが、もしかしたら、動物がやってきてフンをしてくれることを狙っているともいわれます。
植物は、私たちが思っているよりも「食べられたくない」とは思っていない、要はバランスの問題だと考えているのかもしれません。
このように、樹木などにとって、鳥や動物が近くで活動することは、食べられるリスクもありますが、大切なことでもあるようです。
生物の多様性の意味
無農薬の栽培で、「多様な生物」が住んでいる環境がよいとされています。
今まで私は主に、微生物も含めて害虫天敵などのバランスがとれた環境をつくるという意味でとらえていました。
それででなく、「ミネラル分の循環」という面からも重要だと言えそうです。
生物の数が増えて、ミネラルの循環を作っていくことで、
資源を枯渇させることなく、ずっと続けていける農業、サスティナブルな農業へつなげていけるのかもしれません。
(参考書籍)
〇続無肥料栽培を実現する本(岡本よりたか、マガジンランド)
〇図解でよくわかる 土・肥料のきほん(一般社団法人日本土壌協会監修、誠文堂新光社)
最後までご覧いただきありがとうございました。
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