ブルーベリー農園の土をつくる「草」~きみの根は~vol704

ブルーベリー
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脱サラ元公務員、現在はブルーベリー&パーマカルチャーの農園をやっています 神崎辰哉(かんざきたつや(@ttykanz) )です。

農園の名前は長野県安曇野市、北アルプスの山麓で「ブルーベリーの森あづみの」といいます。

有機JAS認証を取得した「オーガニックブルーベリー」を栽培しています。

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最近ハーブを植えていて、畑の土をよくみる機会がありました。

草生栽培をやって、5年目。

草にはいつも助けられています。

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草の堆肥の層ができあがる

(2019年にブルーベリーを植えたときの畑の様子。オーチャードグラスが全面に生えている)

ブルーベリーの栽培を一番最初に始めた畑は、前の耕作者さんが牧草を栽培していました。

オーチャードグラスが多く、ホワイトクローバーも混じっている感じでした。

牧草の栽培地は、家畜由来の堆肥が多く投入されていることが多いため、他の作物を育てる際には、土壌のバランスに留意する必要があります。

しかし、私の最初のブルーベリー畑は、住宅地に接していることもあり、家畜由来の堆肥は投入していなかったそうです。

肥料などもやっていない環境で、成長してきたオーチャードグラスを刈り取っていたようでした。

その頃は、刈り取ったオーチャードグラスはエサ用に持ち去っていたと思います。

私がブルーベリーを植えて管理し始めてからは、刈り取った草は、そのまま堆積していきますので、土がどんどん豊かになっていっているように思います。

刈草はどんどんつもり重なっていき、堆肥化した数cmの層になっています。

(堆肥化した刈草(枯草))

雑草の種も混じっています。

草本の種は、一般的にたくさんできますが、植物間の競争でほとんどは発芽することができず、土に還って、リン酸などの供給源ともなります。

もし、1cm(0.01m)の厚さの刈草(枯草)の堆肥化層を層腐葉土に換算した場合、1反(10a,1000m2)あたり、以下のようになります。

0.01(m)×1,000(m2)=10m3

10(m3)×1,000(L/m3)=10,000(L)

10,000(L)×0.4(kg/L)=4,000(kg)=4(t)

※腐葉土の比重を400(g/L)として換

少なくとも2cm以上はこの層があると思いますので、かなり少なめに見積もっても、1反(10a,1000m2)あたり、8t以上の堆肥が堆積していると言えます。

栄養分の供給のほか、土壌を守り、小動物や微生物のエサや住処になります。

根の周りに発達する団粒構造

少し穴を掘ってみると、根のまわりに団粒構造が発達していることがわかります。

「団粒構造」というのは、土の粒子が、大小のお団子状の立体構造をつくり、

大きな隙間からは、余分な水が排出され、小さな穴には植物がいつも利用できる水が保持されるという構造で、多くの植物にとって住みやすく、同時に微生物や小動物も豊かになる構造です。

団粒構造は、微生物がエサとなる有機物を分解する過程で分泌される物質が糊のようになって、粘土の粒子や有機物などで粒をつくりながら出来上がっていきます。

植物は、共生菌や細菌類を根のまわりに、栄養分等を分泌させることで集めます。

そのため、植物に根の周りは、もっとも団粒構造ができやすい場所となります。

通気性、排水性、保水性、生物性(微生物)といった植物の根にとってよい環境を自ら作っているとも言えます。

以前、「季刊地域(農文協)」という雑誌で、映画評を依頼され執筆したことがありました。

そのドキュメンタリー映画『To Which We Belong(君の根は。大地再生にいどむ人びと)』」の中でも、研究者が根の周りに微生物がつくる構造について、チェックしている場面がありました。

そのほか、根が枯れることで、できる隙間は排水性をよくしたり、根自体がカリウムなどのミネラルが豊富なので、土に還元されていきます。

(糸状菌の菌糸が絡みつく枯草。「これは生きていない有機物」を分解する分解菌)

共生菌の一つであるアーバスキュラー菌根菌(AM菌根菌)は多くの植物の生きた根の部分で共生するため、基本的に植物がたくさんある場所に多く生息します。

ブルーベリーなどのツツジ科植物に共生する菌根菌としてはエリコイド菌根菌が知られていますが、アーバスキュラー菌根菌(AM菌根菌)はブルーベリーとも共生し、同時に感染(共生)している例もあるそうです。

冬の間のマルチング

今年は、9月下旬まで人が来ていたので、草刈りは10月近くまでやっていましたが、

基本的に私は、9月下旬くらいから草刈りをやめています。

気温が下がってくると、枯れて倒れ込み、冬の寒さから土を守る有機マルチになるためです。

枯草となった夏草の下で春の草が寒さに耐えて、また春に元気に生育します。

夏の間は、草や刈草が保湿効果、遮熱効果を発揮し、土壌や作物を守ってくれます。

ありがとう草たち

今年の収量は昨年の2倍も声、粒も大きい物が増えました。

草が土がブルーベリーの生育を助けてくれているのは本当にありがたいと思っています。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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