脱サラ、元地方公務員、最近まで某農業法人にてブルーベリーの栽培をやっておりました。かんざきたつや、36歳です。
現在は、農業法人を退職し、独立起業の準備をしており、子どもたちの笑顔あふれる、「やすらぎと思い出づくりをお手伝いするブルーベリー農園」を創るべく、日々まい進しております。
脱サラ(脱公務員)の経緯や、農業、そしてブルーベリー観光農園を志した経緯、やりたい農園のコンセプトなどについては、以下の過去記事をご覧ください。
起業のため、某農業法人を退職し、現在は、ブルーベリー観光の開園準備を本格的に始めており、長野県安曇野市で農地を探しています。
ご協力頂いている皆さま、本当にありがとうございます。
こうご期待☆
ブルーベリーの栽培にあたり、
その栽培方法はいくつか選択肢があり、悩んだ末に決定しました。
今回はそのことについて書きたいと思います。
1.栽培方法いろいろ
ブリーベリーの栽培方法として、多くの専門書には、畑などの農地に直接植える方法(地植えともいいます)が解説されています。
しかし、実際には、ポットなどの容器を用いた栽培方法なども行われています。
私が、以前働いていたブルーベリー農園では、ポットでの栽培が主体でした。
(1)土耕栽培(地植え)
いわゆる、農地に普通に植える方法です。
日本へブルーベリー栽培が導入されてから、これまで、この方式を中心に栽培がおこなわれてきています。
野菜でいうところの露地栽培(ハウスなど施設でなく、普通に畑で栽培する方法)にあたり、設備が必要最小限であるため、初期費用が安くなります。
根を張る空間を制限していないので、適切な栽培管理により、根がしっかりと張り、健康に長生きさせることができます。
しかし、粘土が多い土など水はけが悪い畑では、水はけをよくするための工夫が必要になります。
例えば、明渠(排水路)、暗渠(地下排水路)などの設置や、畑などで耕盤(トラクターなどの使用や化学肥料の使用などで、できた水がしみこみにくい層)を破砕する工事などが必要になります。
また、植えたら、基本的に移動できません。
何らかの事情で枯れてしまった場所を埋めるために、新たに小さい苗を植えることになり、その場所は、また一からのスタートになってしまいます。
土質の見極めがうまくいかなければ、成長が悪くなり、失敗するリスクもあります。
メリット
- 大規模な施設が要らないため、初期費用が安い
- 根の張る範囲を制限していないため、適切な栽培管理により頑強に育つ
デメリット
- 植える場所の性質により改良が必要
- 一度植えたら移動できないため、枯れた場合の植え替えによるロスが生じる。
- 土質の見極めを誤ると失敗するリスクがある。
(2)ポット土耕栽培
ポットに土を入れて植える栽培方法です。
私が以前働いていた農業法人ではこの方式でした。
家庭菜園などで栽培する場合はよく用いられます。
20~100L程度のプラスチックのポットにピートモス、鹿沼土を混合したものを入れて、植え付けます。
ポットに水はけのよい酸性土壌を再現しているため、生育に適した環境が一定程度確保されます。
これにより、農地の土の性質などに関係なく、栽培することができます。
水はけの悪い水田跡地や極端な話、コンクリートの上でも栽培できます。
しかし、ポットでの栽培は、水やりをより頻繁に行う必要があります。
株の数が多くなれば、とても一ずつ水やりはできないので、潅水装置などを設置する必要があります。
その分、設備費用とポットや土などの資材費用が大きくなります。
安定した水源を確保できることが必須状況であり、自動潅水(自動で一定量の水をやる装置)を設置する場合は、電源も必要になります。
また、成長に応じてポットを大きくしていく作業が必要になります(これがけっこう大変です・・・。)
根の張る空間を制限しているため、根詰まりがおこりやすくなるため、樹勢の維持が困難であり、15~20年程度で株の更新が必要になると思われます。
(メリット)
- 水はけなど土壌の状態が栽培に適した環境に一定程度確保される。
- 場所を選ばすに栽培をすることができる。
- 植えてからも移動が可能。枯れても入れ替えが容易。
(デメリット)
- 潅水装置やポット、土などの初期費用が大きくなる
- 水源と電源(自動潅水の場合)が必要
- 成長に応じて大きいポットへ植え替え作業が必要になる
- 根の張る空間を制限しており、根詰まりなどによって、長期間株の健康状態を維持することが難しく、株の入れ替えが必要。
(3)ポット水耕栽培(養液)
水とスポンジ状の資材を用いて栽培する方法です。
基本的な設備はポット土耕栽培と同じですが、土ではなく、生花などに用いられるオアシスのようなスポンジ状の資材をポットなどの容器にいれて栽培します。
潅水装置から、養液(肥料などを混合した水)を点滴潅水して、栽培することで、土耕栽培よりさらに安定した栽培環境を確保することができます。
また、最大のメリットかもしれませんが、生育が早く、開園までの期間を1年以上短縮できるようです。
水耕栽培資材と比較して、より均等に酸素がいきわたっていくため、根詰まりがおこりにくく、20年弱での栽培では、いまのところ問題ないという情報もありました。
初期費用は、これまでのものと比較し、最大になります。
(メリット)
- 養液と水耕栽培により、生育に適した環境が安定的に確保される。
- 成長が早く、栽培期間を短縮できる。
- 場所を選ばすに栽培をすることができる。
- 植えてからも移動が可能。枯れても入れ替えが容易。
- ポット土耕栽培と比較して、根詰まりなどが起こりにくい。
(デメリット)
- 潅水装置やポット、水耕栽培資材などの初期費用が大きくなる(最大)
- 水源と電源(自動潅水の場合)が必要
- 成長に応じて大きいポットへ植え替え作業が必要になる
- 根の張る空間を制限しており、根詰まりなどによって、長期間株の健康状態を維持することが難しく、株の入れ替えが必要と思われる(土耕よりは長い実績がある。)
2.何を大事にしたいか
「ポット水耕栽培」は初期費用がダントツに高いですが、費用の確保が可能であれば、栽培自体の欠点が少ないように思えます。
ブルーベリー観光農園で成功を収めた「ブルーベリーファームおかざき」でもこの方法を採用していまし、今後もこの方式を採用する農園は増えるかもしれません。
栽培設備をパッケージとして栽培している業者によりマニュアル化もされていることから、誰がやっても失敗しにくいという安心感もあります。
ポット栽培の限界があったとしても、20年単位とかで更新していく計画を作ってあれば、問題はないと思います。
実は、当初は私は基本的には養液ポット栽培で考えていました。
しかし、人に話せば話すほど、感じてくる違和感があり・・・
悩私が大切にしたいことは「自然のサイクルに近いこと」や「循環」と「持続性」ではないかと思いました。
たしかに、人工的に生育に良い環境を確保し、維持していけば、植物の生育は良く、
安定した品質のものがより早くできると思います。
しかし、それを維持するためには、常に化学肥料を用いた養液と電気、石油製品の資材が半永久的に投入されることが条件になります。
一方、土耕栽培の場合、
以前、見学に行き、勉強させていただいた、千葉県のエザワフルーツランドの江澤貞雄氏が提唱する、ど根性栽培であれば、植物の潜在的な力を活かすことで、わずかな油粕、木材チップやおがくず、刈り取った雑草などで栽培することができます。
潅水を原則行わないので、潅水装置を動かすための電源なども不要です。
基本的に身近な有機物での栽培が容易であることは、電気などのエネルギー資源や石油製品がなくなっていっても、周辺地域の資源で維持していくことが可能であることを意味します。
自給することも可能かもしれません。
また、有機物と微生物の力で植物が育つという、自然のサイクルにより近い農法であると言えます。
どのような農法を用いても、農業は、純粋な自然ではなく、人間が作り出した人工的な環境で、人工的に食物を作るという行いであると思います。
しかし、人間の行いであるがゆえに、自然から供給されるものを活かして、自然の力を利用させてもらう。
自然のサイクルに近づけて、循環して、持続性が保たれるようにしたいと思っています。
決して、植物工場や最先端技術について否定しているわけではなく、
技術的には大変興味はもっており、メリットもたくさんあると思います。
どのような技術を用いても、植物が健康に育つことができれば、良いものができるはずです。
もしかしたら、論理的な部分によらない、好みに近い問題かもしれません。
どうせやるなら楽しく、納得できる方法でやりたいから・・・
実現可能な範囲を見極めながら、そういう部分も大事にしていきたいです。
3.結論とまとめ
結果的には、ど根性栽培による土耕栽培という結論になりました。
この決断が良かったのかどうかは、数年してわかることかもしれません。
しかし、実現性は確保しながらも、自分が納得できることも大切なことだと思います。
実は、農業法人時代にはポット栽培以外はやったことがないのですが、栽培方法を学びながら進めていきたいと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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