「いいものを作っているのに、なぜ売れないのか?」
新規就農を目指す方や、農業を始めたばかりの方から
本当によく聞く悩みです。
そして多くの場合、こう考えてしまいます。
「消費者は、そこまで求めていないのかもしれない」
——しかし、この前提こそが
最大の落とし穴かもしれません。
なぜなら、
「消費者」という人は、どこにも存在しないからです。
この記事では、
農業で売れる・売れないを分ける考え方”についてお伝えします。
ある生産者さんの話を聞いて

先日、ある生産者の方とお話しする機会がありました。
ブルーベリーをとても丁寧に摘み取っているのに、
思ったほど高く売れない。
「もしかすると消費者は、そこまで求めていないのかもしれない」
そう感じて、今後はある程度無選別にして、
低コストで販売していく方向も考えている、とのことでした。
その判断は間違いではない
まず結論から言えば、
その戦略自体はまったく問題ないと思います。
ターゲットを変え、
低コスト・高回転に切り替えることで、
結果的に売上や利益が上がるのであれば、
それは立派な経営判断です。
農業に「正解」はありません。
重要なのは、自分の条件の中で
持続可能な形をつくることです。
ただし、ひとつ違和感があった
一方で、私はある前提に違和感を覚えました。
それは、
「消費者は求めていないのではないか」
という部分です。
「消費者」という人は存在しない

結論から言えば、
「消費者」というひとつの人格は存在しません。
少なくとも、
- どこで
- 誰が
- どのような目的で
この3つが決まらない限り、
購買行動は定義できません。
人によって、まったく違う
例えば、
- 都会に住んでいる人と地方の人
- 若者と高齢者
- 高所得層と節約志向の人
これだけでも、価値観は大きく異なります。
さらに、
- 普段使いなのか
- ちょっとした贅沢なのか
- 贈り物なのか
この「目的」によっても、選び方は全く変わります。
同じ人でも、シチュエーションで判断は変わる
面白いのは、同じ人でも状況によって判断が変わることです。
普段は「少しでも安く」と考える人が、
贈答品になると
「5,000円以上じゃないと失礼」
と、むしろ下限を求めることすらあります。
だから経営判断を間違える

ここがとても重要です。
ターゲットが曖昧なままでは、
すべての判断がブレます。
- 丁寧に作るべきか
- コストを下げるべきか
- 価格を上げるべきか
これらはすべて、
「誰に売るか」次第で正解が変わるからです。
私のブルーベリーが高くても売れる理由

例えば、私の場合。
ECサイトで販売しているブルーベリーは、
毎年すぐに完売します。
しかも、一般的なブルーベリーと比べると、
かなり高価格帯です。
それでも売れる理由はシンプルで、
- 環境や食の安全に関心が高い方
- 本当に美味しいものを求める方
こういった方に向けて商品を作り、
そのコンセプトに合った場所で販売しているからです。
もちろんそれだけではなく、
- 丁寧な栽培
- 味や品質の高さ
- リピートにつながる体験とレビュー)
これらを積み重ねてきた結果でもあります。
マーケティングの本質

正直に言えば、
私も最初から分かっていたわけではありません。
つい、
「消費者はこう思うはず」
と考えてしまう。
そしてその中身は、ほとんどの場合、
自分の価値観の投影です。
しかし実際には、
- 人はそれぞれ違う
- 状況も目的も違う
だからこそ大切なのは、
「買ってほしい人の頭の中を言語化すること」
です。
- どんな悩みがあるのか
- なぜそれを買うのか
- どんな瞬間に価値を感じるのか
そこを理解し、
スムーズに商品を届けられる状態をつくること。
これがマーケティングの本質だと考えています。
最後に、新規就農を考えている方へ

まだお客さんがいない段階では、
ある程度「想像」するしかありません。
しかし、
少しずつお客さんが増えてきたら——
その中で
「この人たちにもっと喜んでほしい」
と思える相手を見つけてください。
そして、
- どうすれば買いやすくなるか
- どうすればもっと喜んでもらえるか
それを徹底的に考えていく。
それが、結果として
価格にも、売上にも、継続性にも繋がります。
