脱サラ、元地方公務員、最近まで某農業法人にてブルーベリーの栽培をやっておりました。かんざきたつや、36歳です。
現在は、農業法人を退職し、独立起業の準備をしており、子どもたちの笑顔あふれる、「たくさんのひとたちの思い出づくりをお手伝いするブルーベリー農園」を創るべく、日々まい進しております。
脱サラ(脱公務員)の経緯や、農業、そしてブルーベリー観光農園を志した経緯、やりたい農園のコンセプトなどについては、以下の過去記事をご覧ください。
起業のため、某農業法人を退職し、現在は、ブルーベリー観光の開園準備を本格的に始めており、長野県安曇野市で農地を探しています。
何だか、もう少しで見つかりそうな気がしています。
☆こうご期待☆
今回は、「信州スタートアップスクール~農業・稼業で新しい事業をつくるには~」(講師:株式会社みやじ豚 代表取締役社長 宮地勇輔 氏)に参加してきました。
「信州スタートアップスクール」とは、長野県内の創業支援事業として、年数回、テーマ毎に開催されている勉強会です。
以前、妻が参加しており、昨日妻から情報をもらって、急遽参加しました。
1.気になるみやじ豚とは???
(1)みやじ豚
「みやじ豚」とは、今回の勉強会の講師の宮地勇輔氏が社長を務める、株式会社みやじ豚(神奈川県藤沢市)が生産する、ブランド肉のことです。
一頭の豚に十分なスペースを確保し、兄弟のみ一緒の区画で飼う、といった「ストレスフリーな環境」で飼育することにより、臭みのない肉を生産しているそうです。
宮地社長の実家は、もともと家業として養豚業を営んでいましたが、以前は、生産した豚を農協に出荷するごく普通の畜産農家だったそうです。
しかし、現在は、「みやじ豚」というブランドをプロデュースし、知名度を高め、定期的に「みやじ豚BBQ」などのイベントを定期開催しています。
(2)印象に残ったビジネスモデル
㈱みやじ豚は、通常の養豚業とは少し異なるビジネスモデルをとっており、
①豚肉はすべて農協へ出荷
②農協から食肉加工所へ
③食肉加工所から卸問屋へ
④卸問屋から小売店へ
・・・とごく普通の流通に載せます。
しかし、自社のウェブサイトでも、オンライン注文を受け付けています。
そのため、注文がはいった場合は、この続きが存在し
⑤オンラインショップからの受注
⑥卸問屋へ発注
⑦卸問屋から注文者へ発注(㈱みやじ豚名義で発送)
あれ?直販じゃないの?
・・・そうです。厳密には直販でないそうです。
ブランド化というと直販、自社製造といった先入観がありますが
自社では直接在庫をもたずに、販売だけをしているんです。
これは、一般に「ドロップシッピング」※1というビジネスモデルで、農業分野以外の多くの製品で採用されている手法だそうです。
自社での、在庫リスクを最小化したビジネスモデルです。
「1頭の豚で2回商売する」手法です。
食肉であれば、自社で食肉の保存・管理・在庫の処分などを行うのは、大規模な投資が必要になり、リスクが大きくなります。
しかし、この手法であれば、販売単位での利益が小さくても、確実に入る上に、リスクは全くありません。
農業は、青果や食肉、いわゆる「生もの」を扱うので、このような手法がむしろ向いている業界かもしれないと思いました。
私が以前、働いていた農業法人では、その日に収穫したブルーベリーを翌日発送分として仕分けをして、残ったものは、貸冷凍庫へ入庫し、冷凍ブルーベリーの注文があった場合や自社での加工で必要となった場合に再び出庫していました。
貸冷凍庫の費用はなかなか高額であり、しかも在庫は増え続けていました。在庫が増えれば増えるほど、冷凍庫の費用は増えていきます。
冷凍ブルーベリーの出荷先が安定して確保できれば「ドロップシッピングモデル」を応用することが可能かもしれません。
2.家業を継ぐことも実は大変なんですね!
(1)家業を継ぐ
お父さんは「これからはもう農業では食っていけない。東京へ出て会社勤めをしろ。」といっていたそうです。
その言葉どおり・・・なのかわかりませんが、宮地氏とその弟さんは、東京の大学へ行き、東京の会社で働いていたそうです。
しかし、宮地氏は、家業のことが頭から離れず、元々起業に関心があったこともあり、実家に戻り、家業を継ぐことを決意したそうです。
奇しくも、弟さんと同じタイミングで実家に戻ることになり、生産は、お父さんと弟さんが、販売は宮地氏が担当することとなったそうです。
(2)家業を継ぐ人たち
宮地氏は、家業に新たな付加価値をつけ、ビジネスモデルを変えていくことに成功しており、家業を継ぐことに「成功」しているともいえます。
しかし、家業を継ぐことには一般的にはネガティブなイメージがあることが多く、特に農家の後継ぎとなると3K「きつい・きたない・きけん」といったイメージが先行しており、上手く事業継承できないケースも多いそうです。
そのような状況を変えていき、農業を新3K「かっこよくて・感動があって・稼げる」産業にすべく「農家のこせがれネットワーク」といった組織を作って、農家の事業承継を支援してきたそうです。
また、家業の仕事って実はとても多くて、日本の97%くらい、何らかの家業に相当するそうです。
事業の承継は、農業だけではなく、他の産業でも同様の問題であり、産業の枠を超えた事業承継の支援も行っているそうです。
ちなみに、宮地氏は、農業を存続させていくには、新規就農者の支援よりも、農家を継ぐ者を支援していく方が、失敗が少なく、効率的で有効だと言っていました。
新規就農者側の筆者としては、少し複雑でしたが、産業全体の活性化を考えれば、最もな話です。
でも、新しくやりたい人にも、是非、門戸は開けておいてほしいです(^^;)
(3)事業の寿命は10年?
以前は事業の寿命は30年と言われていたそうです。
現在は10年と言われています。
これは、「会社の寿命」ではなく「ビジネスモデルの寿命」です。
親のやっていた仕事をそのまま受け継ぐのではなく、時代にあった、自分らしいものに変えながら引き継いでいくことが必要となっています。
その部分がむしろ、おもしろいのかもしれません。
「家業を継ぐ」ということは、すごく縛られて生きるイメージをもっていましたが、実際にはもっと自由度が高く、やりがいのあるものではないのかと感じました。
3.プロデューサー視点とは・・
講演の中で「プロデューサー視点とは、『売ること』」という話がありました。
シンプルですが、AKBグループのプロデューサーの秋元康氏もAKBグループを「売ること」が仕事です。
そのために、様々な分野と連携していくわけですが、連携すれば
自分が直接的に全てを持っている必要はなく、誰かの力借りればいいことも実はたくさんあります。
前述の「ドロップシッピング」もそうですね。
農業をやり始める人は、どうしても技術論、職人気質になりがちかもしれません。
農機具や在庫管理の機材もすべて所有し、自分ですみからすみまでやれる技術を身に着けることに執着しがちです(あくまで私の場合です。)
どこまでを自分がやり、どこまでをやらないのか、ビジネス全体がうまく循環するように全体を俯瞰して検討することが重要だと感じました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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